■始まり
子供の頃、宇宙の始まりを想像してワクワクしたことはありませんか。
昔の人も同じように想像し、様々な解釈を考えました。
最新の科学も結局は、その延長線上にあると言えるかもしれません。
宇宙の始まりはどうなっていたのかと、皆気になって仕方ないのです。
■ギリシャ神話
ギリシャ神話では、全ての始めに カオス(Chaos)があったとされます。カオスとは、無、混沌、混乱、あるいは無限の象徴です。
※これは、現代物理学におけるカオス理論の初期値鋭敏性(sensitivity to initial conditions)や、ビッグバン理論のインフレーション(cosmic inflation)に通じる考えです。
Gaia Museum of the Ara Pacis in Roma
そのカオスから生まれたのは、世界(天と地)の象徴 ガイア(Gaia)です。
神話とは単なるお伽話ではなく、世界の始まりについての解釈や、当時の宇宙観を表しています。
■哲学的な問い
古代ギリシャでは、女神ニュクス(Nýx)は「夜」の象徴であり、その娘ヘメーラー(Hēmerā)は「昼」の象徴でした。
これらは物語(神話)というよりも、「概念に名前を付けた」という意味合いが強いものです。
昔の人は、概念や人の感情を神格化して説明したのです。
Eros
例えば、カオスからガイアと共に生まれたとされるエロース(Erōs)は、本来「受苦(じゅく)」を意味する男神です。
なぜ人は苦しむのかという問いに対して、「愛のために苦しむのだ」という哲学的な答えの神格化です。
ちなみに、塾(じゅく)とは無関係です。
塾に通えるのは、幸せの象徴です。(たぶん)
■戒め
人は時に、あまり良くない感情も持ち得ます。
ネメシス(Nemesis:復讐)、アパテー(Aphate:欺瞞)、モーモス(momos:非難)、オイジュス(Oizys:苦悩)、エリス(Eris:争い)などは、全て夜の女神ニュクスから生まれたとされます。
夜の闇の深さは人を惑わせる場合があると、ギリシャ神話は伝えたいのかもしれません。
ate
夜の女神ニュクスから生まれた神のうち、最も恐ろしいのは、アーテー(ate)とされます。
アーテーは、迷妄(めいもう)による堕落・破滅の女神です。
古代ギリシアにおいて、神話は人々への戒め(倫理)でもありました。
■神話の終わり
ギリシャ神話はやがてローマ神話へと移り変わり、その動きをピタリと止めます。
その後ヨーロッパに広まった一神教には、「複数の神々」という概念がなかったからです。
Gutenberg Bible A.C.15
聖書では、「ただ一人の神が7日間で世界を創りあげた」と、宇宙の始まりについて説明しています。
その後、エデンの楽園に住んでいた人間は、禁断の果実を食べるという罪を犯したそうです。
これを、原罪(original sin)と言います。
■原罪
Adam und Eva im Paradies Peter Paul Rubens 1617
原罪とは、具体的には何を指すのでしょうか。
禁断の果実を食べて人間が堕落したのなら、単純に考えて最初の罪とは「食べたこと」です。
聖書では、その罪により堕落した人間は楽園から追放され、地上に住むようになったとされます。
一方、ギリシャ神話では、女神アーテーは全知全能神ゼウスの怒りを買い、天上界から追放されてしまいました。
人間を堕落に導く女神アーテーが地上で暮らし始めた時から、人間は愚行を繰り返すようになったとされます。
聖書とギリシャ神話は全くの別物ですが、どことなく似ているような気がしませんか。
人を堕落させたのは、聖書では「食べたこと」、ギリシャ神話では「アーテー」です。
どちらも、ate です。
ねづっちです。
いや、そういうことではなく。
英語を習い始めた頃、eat→ate とはずいぶん不思議な活用をするのだなと思っていました。
ヒントは神話と聖書の中に見つけました。
この謎を解く本当の鍵は、古代ではなく、意外にも中世、シェイクスピアの戯曲とグーテンベルクの活版印刷にあるような気がしています。
※あくまで私の仮説で趣味や遊びの範囲です。生徒に妙なことは教えません。また私は無宗教です。
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