■誤訳
 
特定言語で書かれた書物が、他言語に翻訳された場合、誤訳は付きものです。
 
両の言語に真に精通するのは難しいことですから仕方ありませんが、聖書などはその典型かと。
 
滅多なことを言うものではありませんが。
 
 
ともあれ、日本人に最も馴染み深い他言語は英語と言えるでしょう。
 
最大の誤訳を探すと、私には、「主語(subject)」という言葉が見つかります。
 
 
 
■Subject
 
語源に忠実に分解すれば、次のようになります。
 
 
Sub … 下に
ject … 投げる
 
 
転じて、「服従」「屈服」のような意味となります。
 
 
(用例)
You're subject to the laws of this country. 
あなたはこの国の法律に従わなければならない.
 
a British subject  
英国民
 
 
subject とはつまり、「従者」です。
 
 
一方、日本語の「主」は本来宗教用語であり、「あるじ」「ぬし」を意味します。
 
分かりやすく、「神」と言っても良いでしょう。
 
 
"subject" を「主」と訳すことは、「神」を「従者」と訳すようなものです。
 
これはいったい、どうした矛盾でしょう。
 
 
 
■Object
 
文法用語としては、「目的語」と訳されるこの言葉。
 
誰の何の「目的」なのかと、疑問を持たれることも多いはず。
 
 
Ob … 逆側に
ject … 投げる
 
 
法廷ドラマなどには、よく「Objection!(異議あり!)」といったフレーズが登場します。
 
Object とはつまり、「逆のもの」という意味です。
 
 
また、Object には彫刻などの「作品物(オブジェ)」といった意味もあります。
 
「モノ」はいつも、観測者の逆側にあるからです。
 
 
 
■Verb
 
 
S   V   O
 
 
これはつまり…
 
 
Subject     Verb      Object
 
 
英文法とは何故か、西洋的美意識の象徴たる、完全左右対称。
 
Verb を中心に、「従者」とその「対象物」が置かれます。
 
Verb は「動詞」などではありません。
 
元は word「言葉」が変化したものであり、一種の命令です。
 
 
 
 

In the beginning was the Word

and the Word was with God, 

and the Word was God.

 

太初に言あり 

言は神とともにあり 

言は神なりき

 

ヨハネによる福音書 第1章第1節

 
 
 
 
 
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。また、最近の記事はちょっとアレなので昔風に戻してみました。
 
 
 
 
 
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