■役に立たない機械

Amazonで無駄なお買い物シリーズ。



スイッチを押すと箱の中からスイッチを戻す指が出てくる、まったく役に立たない機械。

後悔はしていません。




「役に立たない機械」で思い出されるのは、ブルーノ・ムナーリ。


イタリアデザインの父、デザインの神様とも呼ばれ、多くの分野で活躍したアーティストです。




■未来派とブルーノ・ムナーリ


20世紀初頭のイタリアにおいて、「機械文明の賛美」「伝統芸術の破壊」を掲げて生まれた前衛芸術運動、未来派(フューチャリズム)


若きブルーノ・ムナーリはこれに大きな影響を受けるも、未来派がファシズムへ傾倒して以降は、独自の路線を歩み始めます。



『役に立たない機械』 1934/1983

『読めない本の試作』 1955

機械化の象徴たる未来派に分類される彼が発表したのは、「役に立たない ・・・・・・機械」。

一見、挑発的とも取れるこれらの作品は、アンチテーゼを超えて彼がたどり着いた、無用の美と、遊び心の体現でした。



■教育とブルーノ・ムナーリ

膨大な作品と著作を残した、ブルーノ・ムナーリ。

何より情熱を注いだのは、子どもたちへの造形教育です。

ー 未来の社会はすでに私たちの中に、つまり子供たちの中にある ー

『ファンタジア』

描いてみよう、やってみようシリーズ。


実験的なアイディアが詰まった絵本は、後世に残る名作ばかり。

作者自身が楽しんで作ったことが、よく分かります。


ー 子どもの心を 一生のあいだ

     自分の中に持ち続けるということは

      知りたいという好奇心や わかる喜び

       伝えたいという気持ちを 持ち続けるということ ー


『ムナーリのことば』





■役に立たない人


「将来のために勉強が役立つってことを、うちの子に分からせてやってくれませんか?!」


たまに言われます。

皆さんきっと、尋ねる相手をお間違え。

好奇心や遊び心はたぶん、実用性のずっと外側にあって、私はたぶん、役にたたない方の先生。









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