また、それと同じくらいの時間を使って、まだ起きていない、好ましい未来や好ましくない未来について、想像したり、心配したり、不安に思ったりすることに費やしてていることにも気づくだろう。
たとえば、帰宅途中に出合った知人と世間話が終わって別れた瞬間に、直前まで知人と話していた内容を反芻し、つまらないことを言ってしまった・・とか、今日はなにか冷たい感じだったな・・といったようなことを考えるのに、かなりの時間とエネルギーを使っていたりする。
夕日が空に美しいグラデーションをつくっていたとしても、ああ奇麗だな・・・と思った次の瞬間には、夕食は何だろうかとか、今日は汗をかいたから先にお風呂に入ろう、きっとビールが美味しいぞ、などと考えている。
旅行先で、名所や文化遺産や有名な街を、過密なスケジュールで見て回り、写真を撮り忘れぬよう必死になり、感動してもすぐに、その美しさや壮大さ思い浮かんだことを話し始め、今その瞬間のストレートな経験を心で感じることなく、すぐに頭の中の記憶に置き換える。
美味しい料理も、口に入れて咀嚼する間もなく同伴者に話しかけ、これは有名な○○という調理法で○○の香辛料を使っている、などと過去の記憶と知識を思い出すのに頭の中はめまぐるしく働き、そのものの味を無心に感じる暇がない。
一日中さまざまなことに思いを馳せることに忙しく、今このとき、この瞬間を充分に味わい、意識し、感じる、ということをしないまま過ごしてしまうことが多くないだろうか。
たとえば、朝、耳を澄ましていると、エサをねだる小雀の甘えたような鳴き声や、ヒヨドリの仲間を呼ぶ甲高い声、カラスのバサバサという羽ばたき、微かに聞こえる虫の羽音、そういったものが明るい日差しと澄んだ空気を通して聞こえてくる。さわやかな風がほおを撫で、ほんのりと花の香りを感じる。ただ何も思い浮かべずに、感じる。見る。聞く。嗅ぐ。
ほんとうに見ないままに見て、ほんとうに味わうことなく食べ、ほんとうに感じないままに触れ、ほんとうに聞かないままに聞き流す。そんな生活をしていないだろうか。
今この瞬間に意識を集中する。
今この瞬間の自分の心の動きに注意を払う。
すると心のレンズから曇りが取り除かれ、ほんのちょっと違った世界が広がる。
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今日も豊かな一日でありますように!

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