212 番外編 キミの頭のナカ | エルネア王国モニカ国の暮らし。

エルネア王国モニカ国の暮らし。

エルネア王国の日々の備忘録です。妄想もかなりあります。モニカ国。他のゲームの事も気ままに書いていこうと思います。
多忙のためのんびり更新中です。アイコンは旧都なぎ様のきゅーとなクラシックメーカーより。

任天堂Switch版エルネア王国を元に書いています。
 
今回は番外編、短編集となります。
 
①キミの頭のナカ
②ローデリックがリンゴが嫌いな理由
③あの日の舞台裏。バルナバ編
 
 
 
 
 
 

 

①キミの頭のナカ

 

 
 
ある日。
 
 
リンゴとティアゴは、薬師の森に向かって歩いていた。
 
仕事のため、キノコや薬草を採りに行く途中だった。川辺を通りかかると、キャラバンの横に見慣れない人が露店を開いていた。
 
布を被って、占い師の風貌だった。
 
リンゴ「ねえねえ、あれって占い師?」
 
リンゴは立ち止まって、ティアゴの服の端を引っ張って、占い師らしい女性を見た。
 
ティアゴ
「そうだね。たまに来るんだよね、ああいう人が....なに、興味あるの?」
 
リンゴが目をキラキラさせているのでティアゴは仕方なく露店に近づいた。
 
ティアゴ(女の子ってこーゆーの好きだよなぁ)
 
『運勢占い・相性占い』
 
定番の占いの下に
 
『脳内占い』と書いてあった。
 
「いらっしゃい。何か占いますか?」
 
占い師の女性は、二人を見るなりニヤリと笑った。
 
「これはこれは、なかなか面白い関係みたいですね」
 
リンゴ「ん?そうですか?」
 
「お互い相手がいるのに、好き合ってるんでしょ?大変ねぇ」
 
第三者に改めて言われてティアゴとリンゴは目を丸くし、驚いた。
 
リンゴ「ち、ちがっ..」
 
リンゴは慌ててキョロキョロと周囲を見回した。幸い、誰もいなかった。
 
「何を占います?相性占い?」
占い師はにこりと営業スマイルをして二人を交互に見た。
 
リンゴ「いえ・・」
どんな結果が出ても虚しいだけだと思った。
「この脳内占いってなんですか?」
 
「その人が、普段何を考えているか分かります。ちなみにこれは、機械が算出します」
 
ティアゴ
「ふ〜ん...どうせリンゴは、食べ物の事ばかりしか考えてないだろうなぁ」
 
リンゴ「失礼な!そんなことないよ」
口を尖らせて抗議する。
 
ティアゴ
「じゃあ、占ってもらおうか。この子の脳内占いお願いします」
 
ニヤリと笑い、ティアゴは占い師にビーを払った。
 
リンゴは紙に名前を書くと占い師はよくわからない機械にそれを入力した。
 
 
「では、これがリンゴさんの脳内イメージです」
 
 プリントアウトされた紙に、リンゴの脳内イメージが書かれてあった。

 
 
 
ティアゴ
「うわー...食い物に金、思った以上に卑しい感じが..」
 
まさかここまで想像通りとはとティアゴは苦笑した。
 
 
リンゴ「なにこれー?!」
 
 
ティアゴ
「秋なんて、食い物のことしか考えてないから、この占い当たってるでしょ」
 
リンゴ「当たってない..」

ティアゴ
「パチャグラタンのことしか考えてないでしょって前聞いたら、バーナソテーのことも考えてるって答えてたけど?食い物のことしか考えてないような?」


リンゴ
「そんなことないよー!じゃあティアゴ君のもやってもらおう」

自分だけ占われてこの言われようは嫌だとリンゴは占い師から紙とペンを受け取る。
 
ティアゴ「俺はいいよ...」
 
拒否する本人を尻目にリンゴはお金を払い、勝手にティアゴの名前を書いた。
 
 
「これがティアゴさんの脳内イメージです」
 

 
 
 
ティアゴ「・・・・・」
 
リンゴ
「一匹狼のくせにお友達のことで悩んでるの?」
 
リンゴは吹き出しそうなのを必死で堪えている。
 
 
ティアゴ「この機械狂ってると思う」
 
ティアゴの言い分にリンゴは声を出して笑ってしまった。
 
ティアゴ
「リンゴ、ちょっと顔かして」
 
ティアゴはリンゴの肩に腕をまわした。これは悪いことが起こる予兆だ。
 
リンゴ
「ご、ごめんなさいー!!だって、面白くて、ティアゴ君の反応がすごくかわいいからー!」
 
ティアゴ「・・・」
 
ティアゴは無言でリンゴのほっぺたをむにゅーっと引っ張った。
 
リンゴ「ふぇ〜ごめんなしゃい〜」
 
されるがまま、ほっぺを引っ張られるリンゴ。
 
 
バーニー
「リンゴちゃんに過保護なティアゴ君がリンゴちゃんに暴力的なのは珍しいね?」
 
 
面倒なメンツが、同時に現れた。
 
 
リリー、バルナバ、イマノル、バーニーがちょうどここを通りかかった。
 
 
リリー
「なにしてるの、二人とも」
 
逃げられないようにがっしりとリンゴの肩に腕を回し、ほっぺたを引っ張るティアゴにリリーは意味深な視線を送ってきた。ティアゴはその視線に恐れをなして、リンゴを解放した。
*ティアゴはXとリリーには逆らえない。
 
イマノル
「導師とリンゴはこうしてじゃれ合うのが日課なんだよ。朝飯食べるのと同じ」
 
ティアゴ
「リンゴが、俺のことをいじめるので仕返ししていたんです。イマノル、変な言い方するな。いつもやってるみたいじゃないか」
 
イマノル「いつもですよね?」
 
ティアゴ「滅多にしない」
 
バルナバ「いじめる?」
 
リンゴ「だって、こんな結果、かわいすぎて」
 
リンゴはまたクスクス笑った。
 
リンゴの手にある、ティアゴの占い結果を、ティアゴは慌てて奪おうとすると、イマノルが先に奪った。
 
イマノル
「一匹狼の導師の脳内...」
 
リリー「ティアゴ君は悩みが尽きないね..」
 
皆がティアゴの結果を見て何かいっている。
 
バーニー「ティアゴ君かわいい、、」
 
ティアゴ
「こんな公開処刑みたいなの、可笑しいです。ここにいる全員、占って下さい」
 
ティアゴは占い師に金を払った。
 
 
四人の結果はこうなった。


 
 
ティアゴ
「リリーさんは悩みに食...ちょっとリンゴに似てるけど、人間らしいというかリリーさんらしいけど...バルナバさん..」
 
ティアゴはバルナバに冷たい視線を送った。
 
バルナバの結果は「嘘」の文字しか並んでいなかった。
 
 
リリー
「バルナバって嘘つきなんだ...じゃあ、あの時のことも全部..」
リリーはバルナバをチラリと見た。
 
バルナバ
「誤解だよ、これ占いでしょ?!遊びなんだから!」

一体いつのことをリリーが言ってるんだとバルナバは分かりやすく慌てた。
 
リンゴ
「バーニーさん、真面目な感じなのに遊びばっか。あと中心に悩み..」
(バーニーさんの悩みってなんだろう?・・・コイツか)
 
リンゴは飄々としているイマノルを横目で見た。
*イマノルはバーニーの娘と付き合っており、山岳長子同士は結婚できないため、このままいけば最悪お互いの家は断絶する。バーニー人生最大の悩みはイマノル以外いないだろうと思われる..
 

ティアゴ
「イマノル、お前のこれはなんだ..」
 
イマノルは休むの文字ばかりと『遊』と『家』完全に引きこもりのような脳内となっていた、
 
イマノル
「うわーバレたか、、本当はずっと家で寝ていたいんですよ」
 
バーニー
「お前は働け、死ぬ気で働け」
 
バーニーは自分の結果を完全に棚に上げてイマノルを睨みつけた。イマノルは苦笑している。
 
ティアゴ(うわぁ、バーニーさん怖...)
 
普段穏やかなバーニーの厳しい視線と言葉にティアゴは引いた。
 
四人が去り、静かになると、リンゴはポツリと言った。
 
 
リンゴ
「ねえ、私、占いたい人が一人いるんだけど」
 
ティアゴ
「うん、俺も。もしかして同じ人かな?」
 
 
リンゴ「同時に名前言ってみようか」
 
 



 
ティアゴ・リンゴ「「ローデリック」」
 
 
二人の意見は一致した。顔を見合わせてニヤリと笑う。
 
ローデリック本人の承諾なく占ってもらうことに。
 
 
さて、ローデリックの脳内イメージはどうなっているのでしょう。
 
 
 
 
 

 
 
彼は想像以上に、成人男性らしい脳内だった。
 
 
ティアゴ「アイツスケベだな..」
 
 
ティアゴとリンゴは顔を見合わせて笑った。
 
 
 
 
 
*提供は、脳内メーカーです!
姓は入れず名前のみで占いました。
 
 ちなみに、バーニスちゃんの結果は、バルナバと全く同じでした。


 
 
 
②ローデリックがリンゴを嫌いな理由
 
 
 
ある日の夕刻...
 
久しぶりにローデリックとティアゴという組み合わせで酒場にきていた。
 
二人は、ローデリックがリンゴに暴言を吐いた日から酒場にきていなかった。
 
酒を飲みすすめてしばらくはリリー隊長とジェレマイアによる鬼特訓の話をしていた。
 
リリーよりもジェレマイアの方が鬼のように恐ろしいと聞いて、ティアゴは人は見かけによらないなと笑った。
 
 
ティアゴ
「最近、嫌いという割にリンゴを釣りに誘ったりしてるみたいだけど、なんでお前はリンゴのこと嫌いだったんだ?」
 
ローデリック
「さあ、どうだったっけ」
 
ティアゴ
「__人にあんなに暴言吐いておいて、そんな忘れるような理由じゃないだろ。なんかされたか、言われたか、殴られたか蹴られたか?」
 
ローデリック
「あの日酒場で会った時が初対面なはず」

ティアゴ
「尚更、なんであんな暴言を吐いたのか気になるじゃないか。」
 
ローデリック
「噂は聞いてた。おじさんキラーだとかなんとか。お前とデキてるとか、昔お前に毒舌吐いてたとか」
 
ティアゴ
「おじさんキラーと毒舌は当たってるな。毒舌は常に吐いてたわけじゃない」
 
ローデリック「全部当たってるだろ」
 
ティアゴ
「俺がリンゴといたのは護衛のため。騎士隊に入ったなら、レッドの話は聞いてるだろう。」
 
ローデリック
「今じゃ誰も本当にデキてるなんて思ってる人はいないだろうな、お前らと接してる人以外はな」
 
ティアゴ
「っていうか話逸らすなよ」
 
ローデリック
「・・・本人には言うなよ、あの人、ギャンギャンうるさいから」
といいつつ、自分も話逸らしてるし
 
ティアゴ「・・・約束する(多分)」
 
 
[ローデリック視点〕
 
 
ローデリックからリンゴを見ると、こんな風に見えてしまうらしい。

 
 
 

 
 
あの黒い目がこんな風に見えて苦手
 
見てると闇を感じる。
(つまり、同じ瞳のバーニスやガラも苦手なのだが、知り合いじゃないから問題ない)
 
 
 
リンゴ「どうかしたの?ティアゴ君?」
 
自分と会うなり黙り込んで人の瞳をジロジロと見てくるので、リンゴは不安げにティアゴを見つめ返した。
 
 
ティアゴ
「ローデリックって、心底くだらねぇ奴だなーって思っただけ」
 
リンゴ「..それを、なぜ人の顔を見て思うの?」
 
ティアゴ
「さあ...あ、ローデリックに会う時、子供が星の日に被るお面つけるといいよ」
 
リンゴ
「私大人だし、星の日以外でそれを私がしてたらそれはそれでヤバいと思う..」
 
 
 
 
 
 
 
 
☆番外編  リリーを阻止しろ!


この番外編は
 
211年 お互いの幸せを願ってのバルナバ視点です。
 
 
 
リンゴの結婚式直後に出す予定の番外編でしたが遅くなってしまいました...
 
 
 
 
 
 
ティアゴへの想いに悩みながら、リンゴはヴェルンヘルのプロポーズを承諾したその日、ティアゴに婚約おめでとうと言われます。
 
このまま結婚したくない、リンゴは気持ちの整理をつけるためかティアゴに練習試合を申し込みます。本編では書かれていないが、リンゴは負けるつもりで練習試合を申し込みました。
 
 
 
ティアゴは断るが、リンゴから再度の申し入れに渋々承諾。
 
 
二人は王立闘技場で向かい合うが...
 
 
 
先制したティアゴは攻撃を途中でやめ、リンゴも攻撃を途中でやめてしまう。


次のターン、ティアゴは攻撃してこなかった。

ティアゴ
「次はリンゴのターンだよ...」

ティアゴは真っ直ぐにリンゴを見つめながら、静かに言った。



リンゴ「なんで攻撃してこないの?」

リンゴは銃を構えたまま、攻撃も防御もしなかった。






ティアゴ「それはリンゴだって..」







リンゴ
「先制した時点で、ティアゴ君、私に勝てるでしょ?!」


最後まで撃てば、ティアゴは勝っていたはずだった。







ティアゴ
「そんなことできないよ..」





リンゴ「どうして?!」





ティアゴ
「明日リンゴはウェデングドレス着るのに怪我させたら困るだろ!」

王立闘技場に、ティアゴの声が響いた。



リンゴ「・・!」
驚いて目を見開いた。




ティアゴ
「俺に勝てば、スッキリするでしょ?撃ちなよ」



二人は銃を構えたまま、攻撃をせず、無言でお互いを見つめていた。



静寂が、闘技場を包む。



最初からティアゴには勝つ気がない、もう攻撃する気がないことを悟り、戦意喪失したリンゴは、構えた銃を下ろした。


目に涙をためて、下を向いた。




ティアゴも銃をおろして、ゆっくりとリンゴの元に歩み寄った。



ティアゴ「・・大丈夫?怪我してない?」


こんな時だって、ティアゴはリンゴのことを気遣う。

いつだって、そうだった。


リンゴ「・・・怪我はしてない」





二人はしばらく無言だった。





リンゴの目から涙が溢れ落ちて、闘技場の乾いた地面にポツンと落ちて濡らした。


ティアゴ「・・・」

ティアゴは帽子の上から頭を掻いて、リンゴの腕を掴むと自分の方に引き寄せて、転移魔法を使った。


バルナバ
(すごい光景を見てしまった...リリーちゃんが見ていたら大変なことになりそうだ…

今のってどういうことだろう...なんだかまるでティアゴ君も.……完全にあの2人好き同士に見えたんだけど…)

保護者のような立ち位置にいたように思えたティアゴだったが、先程の様子は男女の関係のように見えた。
結婚する前日に、ティアゴの前で涙を流すリンゴ。そんな彼女を人目のつかない場所へ連れていくティアゴ…

その光景は、2人のただならぬ関係を予感させた。

2人のやりとりに戸惑っていたのはバルナバだけではない。

Xが今のは何だったのかしらと混乱しながら言っているのをティムが二人をフォローするような感じで説明していた。

バルナバ
(ティムのやつ、リンゴちゃんと有益な関係?になったからリンゴちゃんを庇ってる?昔惚れた弱みかな..)

この話を長引かせても誰の得にもならない。バルナバはティムに試合をしようと声をかけて、誰もいない闘技場に入って行った。



試合はバルナバの勝利で終わる。



リンゴとティアゴは禁断の遺跡にいる..


あの流れで限られた人しか入れないダンジョンにこもった二人が今何をしているのかと気になるが、流石に入る勇気はないのにも関わらず気づくと禁断の遺跡の前に立っていた。

リリー「なにしてるの?」

考え込んでいると後ろから声をかけられてバルナバは驚いた。

騎士隊長リリー・フォードが艶やかなポニーテールをなびかせながらバルナバに歩み寄ってきた。

バルナバ
「リ、リリーちゃん..キノコでも採ろうかと思って」

リリー
「今から禁断の遺跡に入ろうと思うんだけど、一緒に行かない?」


バルナバ「え?!禁断の遺跡?!」

ダンジョンにいくのは仕事のうちなので、ダンジョンの誘いは大歓迎である。特にリリーほどの実力者であれば上級ダンジョンでは心強い。
だが、今日はタイミングが悪すぎた。

*バルナバとリリーは龍騎士の称号を持っているので二人とも禁断の遺跡に入れます。バルナバが龍騎士になった後にリリーをダンジョンに誘うと禁断の遺跡が候補にありました。
しかし今は候補に禁断の遺跡がない..なぜだ。リリーが禁断の遺跡に行ける、という前提で話をすすめます。

リリー
「一人より二人の方がいいし..キノコ採りたいなら無理にとは..」
乗り気ではないことを察する。

バルナバ「えっと...」

(あの二人は普通にダンジョンを攻略してるのか?してなくて中断して何かしてたら、リリーちゃんにバレる..)

リリー「・・どうしたの?」

難しそうな顔をしているバルナバにリリーは訝しげに聞いた。


バルナバ「禁断の遺跡はやめたほうが..」
あの二人がいかがわしいことでもしてたら、ティアゴ君、リリーちゃんに斬り捨てられそう..

リリー
「・・・都合が悪いならまた今度いこう?じゃあ、またね」

リリーは禁断の遺跡に向かって歩きだす。

バルナバ「ま、待って!」

バルナバはリリーの腕を掴んだ。

リリー「・・バルナバ?一体どうしたの?」

腕を掴む手とバルナバの顔を怪訝そうに交互に見た。

バルナバ
「今日はやめたほうがいいと思う。ほかのダンジョンに行こう」

リリー
「なんか変..禁断の遺跡になにかあるの?」

バルナバ「別になにも..」

(無理矢理連れ出すのもできないし、いつかのティアゴ君みたいに担いで連れ出す事もできないし、そんな事すれば俺の立場が...)
女性のリリーにあまり強引な手が使えずバルナバは苦悩する。

リリー「・・・」

バルナバ「・・・」

リリー「なんか、おかしい。」

バルナバ「そんなことないよ」

リリー
「禁断の遺跡になにかイタズラでもしたの?いい歳して..」

バルナバ「そんなことしてないって」

リリーが歩き出そうとすると、バルナバが腕を掴む力を強める。数秒リリーとバルナバは見つめ合った。リリーはジッとバルナバの心を探るように見つめる。

リリー
「怪しいー..ふぅーん、ティアゴ君あたりにでも調べてもらおうかなー」

リリーは素早く交友欄からティアゴの居場所を調べる。

「ん?禁断の遺跡?」

バルナバ「えっと、リリーちゃん..」

どうしたらリリーをここから連れ出せるのだろうと感銘懸命に考えを巡らせる。


リリー「急いで魔物倒せば追いつけるかな?」

先発している人に普通追いつけないが、リリーなら追いついてしまいそうだ。
そもそも、ティアゴたちが立ち止まってるのか進んでいるのか分からない。

バルナバ
「あの!!おれ、具合が悪い!!」


リリー「え...」

リリーは急に体調不良を大声でカミングアウトしたバルナバを見つめた。
「大丈夫…?!」

具合が悪いとしゃがみ込んだバルナバの様子に慌てた。

バルナバ
「一人で帰れない..家まで送ってほしい」

リリー(なにこの違和感……?)
「うん、いいよ」

体調不良の人を放っておくことは出来ない。違和感を抱きながら、リリーは訝しげにバルナバの腕を自分の肩に回すと歩きだした。

リリー
(具合が悪いというには足取りはしっかりとしてるし、なんか変だなぁ..)

「あ、導きの蝶で山岳兵団の村まで転移すればいっか」

具合が悪い人を長距離歩かせるわけにはいかない。かといってリリーにバルナバをおぶるのは体格的に無理がある。

バルナバ
(マズイ、そうなるとリリーちゃんはとんぼ帰りして禁断の遺跡に突入しそうだ)
「ウィアラさんの酒場にいこう!」

リリー「は?バルナバ、具合悪いんでしょ?」

バルナバ
「どうしても酒場に行かなきゃならないんだ」

リリー「具合が、悪いのに、、?」

そこにティアゴたちが気になったのかXもやってきてた。

X「あらあら、二人とも仲良しなことで」

なぜかバルナバを支えているリリーを見てXはニヤニヤ笑った。

リリー
「X..バルナバったら変なの。具合が悪いっていって一人で帰れないから送ろうとしたんだけど今度は酒場に行くってきかないの」

リリーはXのからかいをスルーして真剣な様子で言った。

バルナバとXは視線があった。バルナバの言動の意味を、Xは分かりきっている。

X「ちなみに、リリーは何をしにここにきたの?」

リリー「禁断の遺跡に行こうと思って」

X(それでバルナバが仮病を……)
Xはにっこりと微笑むと、導きの蝶を取り出した。三人は、ウィアラさんの酒場に転移した。

リリー「だから、なんで酒場なの?」

X「まあまあ、リリーほら座って」

リリー「私ダンジョンに行きたいんだけど」

バルナバ
「明日リンゴちゃん、結婚だね。お祝いに今日は飲もう」

バルナバはリリーから離れ、椅子を引くと、強引にリリーを椅子に座らせた。

リリー「具合、悪いんじゃないの..?」

怪しむとかいうレベルではなく、完全にこの人嘘ついたなという目でバルナバを見ている。
*そういえば、脳内メーカーもバルナバの頭の中は嘘だらけでしたねw

バルナバ
「リリーちゃんとXさんに会ったら治ったよ!!」

リリー「そんな馬鹿な」
目の前にいるバルナバが分からない..

X「さあ、飲みましょう。当然、金持ちランキング1位のバルナバが奢ってくれるんでしょ?」

リリー「そういうあなたは2位のくせに」
頬杖をつきながらXを見る。

バルナバ
「もちろんご馳走するよ。二人ともたくさん飲んで」

リリー「・・・」

どうあっても、二人はリリーをここで足止めしたいらしい。

酒が運ばれてきて、三人で飲んでいると、リリーは立ち上がった。Xも、勢いよく立ち上がる。

リリー「・・・」

X「どうしたの?追加のお酒?」

リリー「・・ううん、なんでもない」

リリーが座ると、バルナバがホッとしたような顔をした。

リリー(おかしい、これはなにかある、絶対おかしい)

酒のつまみを食べながら、リリーはテーブルの下で交友欄からティアゴの居場所を再び調べると、居場所は禁断の遺跡のままだった。

バルナバたちが喋っているのを確認しながら、娘の居場所を調べる。


『禁断の遺跡』

リリーは、リンゴがティアゴに好意を寄せていることは知っている。

211年 そばにいてくれる人

結婚式前日、二人は上位ダンジョンに篭り、そのダンジョンに行けないように自分の前にバルナバとXが立ちはだかっている。


リリー
「二人とも、その年で苦労させてごめんね」

Xとバルナバの苦労は、絶えない..

X「なんのこと?お酒飲むのは楽しいわよ?」

バルナバ
「リリーちゃん、お酒あんまり飲んでないじゃん!もっと飲みなよ!」

二人は酔っ払ってきていた。バルナバの口調がいつもと違ってきている。

二人を振り切るなら今だが、リリーは二人を交互に見ると口許を綻ばせた。

これ以上、大切な友人たちに迷惑をかけてはならない。

リリー
「今日はバルナバの奢りだし、沢山飲みますか」

リリーはニヤリと笑うとポムの火酒を追加注文した。
 
 
(酔ったバルナバが本気で止めにきたら、シャレにならないし..)
 



あとがき

キミの頭のナカ、
たまたまそういえば脳内メーカーってあったなーやってみようかなとリンゴの名前を入れたらあの結果になって、これは書くしかないだろとなって書いた番外編です。

リンゴにぴったりの結果に笑いました。

③あの日の舞台裏。バルナバ視点

やっと書けました。

リンゴの結婚前夜に、

リリーが「なぜか分からないけとバルナバがお酒をおごってくれた」と発言していて、その理由がこのお話です。

リンゴたちは知らないうちに、バルナバによって守られていたのです。



番外編、お付き合いくださりありがとうございます。