ら任天堂Switch版エルネア王国をもとに書いています。
二人については
など。
結婚式を明日に控えたリンゴになぜかティアゴは勝負を挑まれる。
どうせ勝つのはリンゴだからと、渋々了承する。
そして練習試合ははじまった。
先制は、ティアゴのほうだった。
ティアゴ自身驚いていた。
ティアゴはなぜか、二発か三発かで攻撃をやめてしまった。
リンゴもティアゴに僅かに攻撃を入れただけだった。
お互いの視線があって、二人は視線を外せなくなった。
リンゴ「なんで...」
苦しげにリンゴは呟いた。
ティアゴのターン。
ティアゴは攻撃してこなかった。
ティアゴは一撃目に防御を選び、攻撃動作すらしなかった。
ティアゴ「次はリンゴのターンだよ..」
ティアゴは真っ直ぐにリンゴを見つめながら、静かに言った。
リンゴ「なんで攻撃してこないの?」
リンゴは銃を構えたまま、攻撃も防御もしなかった。
ティアゴ「それはリンゴだって..」
リンゴ
「先制した時点で、ティアゴ君、私に勝てるでしょ?!」
最後まで撃てば、ティアゴは勝っていたはずだった。
ティアゴ
「そんなことできないよ..」
リンゴ「どうして?!」
ティアゴ
「明日リンゴはウェデングドレス着るのに怪我させたら困るだろ!」
王立闘技場に、ティアゴの声が響いた。
リンゴ「・・!」
驚いて目を見開いた。
ティアゴ
「俺に勝てば、スッキリするでしょ?撃ちなよ」
二人は銃を構えたまま、攻撃をせず、無言でお互いを見つめていた。
静寂が、闘技場を包む。
最初からティアゴには勝つ気がない、もう攻撃する気がないことを悟り、戦意喪失したリンゴは、構えた銃を下ろした。
目に涙をためて、下を向いた。
ティアゴも銃をおろして、ゆっくりとリンゴの元に歩み寄った。
ティアゴ「・・大丈夫?怪我してない?」
こんな時だって、ティアゴはリンゴのことを気遣う。
いつだって、そうだった。
リンゴ「・・・怪我はしてない」
二人はしばらく無言だった。
リンゴの目から涙が溢れ落ちて、闘技場の乾いた地面にポツンと落ちて濡らした。
ティアゴ「・・・」
ティアゴは帽子の上から頭を掻いて、リンゴの腕を掴むと自分の方に引き寄せて、転移魔法を使った。
二人は禁断の遺跡の前に移動していた。
ティアゴは黙ってリンゴの腕をひいて、そのまま禁断の遺跡に入って行った。
ティアゴ「ステージ6くらいまで行ける?」
リンゴ「..うん」
リンゴは頷き、銃を構えた。
一方、王立闘技場では...
ティアゴとリンゴが、王立闘技場に入った直後に王立闘技場にやっててきた一行がいた。
バルナバとティムは練習試合をしようとやってきたが先客がいることに気がつき、中には入らず外で待機していた。そこに、Xがやってきた。
X
「なになに?試合するのー?」
バルナバ
「うん。先客がいるから終わるまで待ってようかと思って」
X「親子対決かー見学させてもらおうかなー」
Xが闘技場をのぞくと、ティアゴとリンゴが闘技場の真ん中の配置についたところだった。
X「リンゴちゃんとティアゴ..」
バルナバ「へぇ、面白そうな試合だね」
二人の真剣勝負を邪魔しないようにと、三人は入り口からそっと覗いていたのだが、試合展開は全く予想だにしないものだった。
二人は攻撃をしないで銃を向けあったまま動かない。
普段声を荒げないティアゴが、
ティアゴ
「明日リンゴはウェデングドレス着るのに怪我させたら困るだろ!」
と叫んでいた。
二人が転移魔法でいなくなった後
X「...今のどう思う..?」
Xは今の出来事がなんだったのか、混乱する頭を必死で整理しようとしていた。
ティム「えっと...」
昨日の今日の出来事で、ティムは返答に窮した。
送り狼になりそうだから、とティアゴが酔っ払ってリンゴを送るのをバーニーに託した。
昨日の様子をみて、ティアゴがリンゴを大事にしている様子が伝わってきた。
そして今のティアゴの態度...
同じ男として、もし好いてる女性が明日結婚式を控えていたら、同じ行動をとっているかもしれない..
ティアゴに不利になる意見は、リンゴの不利だ。ティムは慎重に言葉を選んだ。
「あの二人、兄と妹、もしくは父と娘のような関係だから...リリーさんとルークさんみたいな?ルークさんってティアゴさんの一歳下だし」
X
「今二人、禁断の遺跡なのよ..なんでだと思う?」
Xは頭を抱えながらさらに問う。
ティム
「人間が撃ちにくいから、魔獣にターゲットを変えたんですよ」
(なんで俺がこんな役目..)
X「.......」
バルナバ「......ティム、試合しようか」
バルナバは斧を手に、闘技場に入って行った。
ステージ5のボスを倒し、6に入る。
ティアゴは立ち止まり、リンゴの方に振り返ろうとした瞬間、後ろからリンゴの腕が伸びてきて抱きついてきた。
ティアゴの背中に柔らかな感触とリンゴの甘い匂いがした。
リンゴ「......しばらく、このままでいさせて」
望んだらいけない人
自分がしていることの愚かさを分かっていても、この温もりをなぜ求めてしまうのだろう。
リンゴの腕をティアゴは自分の身体からはがすように解いて、リンゴに向き直った。
リンゴが顔をあげてティアゴを見上げると、ティアゴは悲しげな笑みを浮かべていた。
リンゴの胸が痛んだ。
ティアゴ
「・・・バカだな。リンゴは..」
苦しげに呟くと、ティアゴはリンゴのことを抱きしめた。
リンゴ「・・・バカだもん」
背中に手をまわしてティアゴを抱きしめる。
ティアゴ
「俺、昨日も手出すの我慢してるんだよ...理性保たないって..」
ティアゴはリンゴの頰に触れた。ゆっくりと近づき、二人の唇が重なった。
何度も何度もキスをしたあと、ティアゴはリンゴの耳にキスをしながら囁いた。
ティアゴ
「....幸せになれよ」
リンゴ「・・・うん..」
ティアゴ
「俺は隣には居てやれないけど今まで通りずっと近くにいるから」
抱きしめるティアゴの腕に力が入った。
リンゴ「・・うん!」
涙が溢れて、リンゴはティアゴの胸に顔を埋めた。
二人は時間が許される限り、
抱き合っていた。
夜2刻になって、
名残惜しそうに二人は離れて、禁断の遺跡を出た。
魔銃師会の前まできて立ち止まる。
ティアゴ「一人で帰れる?」
リンゴ「うん、大丈夫。ありがとう」
リンゴは笑顔で帰っていった。
旧市街地までくると、Xが壁によりかかっていた。
ティアゴ「Xさん、こんばんは」
Xは無言でつかつかとティアゴに歩み寄ると、ティアゴの首元のスカーフを乱暴に掴み、自分の方へ引き寄せた。
ティアゴ「?!」
驚くティアゴをよそに、Xはティアゴの服の匂いを嗅いだ。
そして、無言で消臭剤をティアゴに吹きかけた。
ティアゴ
「・・・・・俺くさかったんですか?」
X「・・いいえ。いい匂いがした。甘いリンゴちゃんの匂いが」
ティアゴ「・・・」
X「ダンジョンに一緒に行っても、隣の人の匂いって移らないわよね..」
Xは察していた。
なんで匂いが移ったのか、
そしてそれなりの時間そうしてないと移らないということを。
ティアゴ
「・・・・・俺を陛下や殿下に突き出すんですか?」
X「・・・そんなこと、するわけないじゃない」
Xは、ティアゴの亡き母親のジョーハンナと仲が良かった。その縁もあって、Xはティアゴを昔から気にかけてくれていた。
ティアゴ
「・・・心配させてしまいすみません..」
X「...大丈夫なの..?子供でもできてたら..」
ティアゴ
「...流石に、そーゆーことはしてないんですけど..」
X「ええ?ティアゴが、我慢できたっていうの?」
Xは信じられないという顔をしていた。
ティアゴ「・・・」
(こーゆー事に関して信用がない..)
家に帰ると、父ジェレマイアが隣に座るように言ってきた。
ジェレマイア
「さっき、エティさんとマドックさんに挨拶してきたよ。婚約おめでとう」
リンゴ「ありがとう、お父さん」
ジェレマイア
「この前まで子供だったのに、あっという間だったなぁ」
ジェレマイアは噛みしめるように言った。
その後、母のリリーが帰宅した。
リンゴ「おかえなさい、お母さん」
リリー「ただいま。」
リンゴ「お酒くさいね?」
リリー「なぜかわからないかけど、バルナバがお酒を奢ってくれたの。せっかくだから沢山飲んできちゃった...リンゴ、おめでとう」
リンゴ「ありがとう、お母さん..」
明日の今頃は新しい家にいる。
リンゴはしばらくソファーに腰掛けながらここで過ごしてきた日々を思い出していた。
迎えた結婚式当日。
王国のアナウンスが流れる。
実家で食べる最後のご飯は大好きなパチャグラタン。
リリー「今日はリンゴの結婚式だね」
リリー「結婚おめでとう!」
ジェレマイア「新しい家族が増えるのかあ...」
モモ「姉さん、おめでとう!」
セイ「けっこん♪けっこん♪」
ジェレマイア
「この間まで子供だと思ってたんだが....立派になったな」
リリー
「ほら、リンゴ、早く行かなくて大丈夫?」
ジェレマイア「相手の方に失礼の無いようにな」
リンゴ「ぐすっ....ありがとう」
朝食を終えて、リンゴはエルネア城を飛び出した。