210年 本当に欲しかったもの① | エルネア王国モニカ国の暮らし。

エルネア王国モニカ国の暮らし。

エルネア王国の日々の備忘録です。妄想もかなりあります。モニカ国。他のゲームの事も気ままに書いていこうと思います。
多忙のためのんびり更新中です。アイコンは旧都なぎ様のきゅーとなクラシックメーカーより。

任天堂スイッチ版エルネア王国をもとに書いています。

リンゴとティアゴ。

リンゴの母親であるリリーとティアゴは昔からの付き合い。リリーはティアゴが赤ちゃんの頃から知り、ティアゴはリンゴを赤ちゃんの頃から知っている。リリーに連れられて二人はよくダンジョンで一緒だった。リンゴの幼少期、ティアゴはリンゴの毒舌の餌食となっている。

 
 




 



 

 
 
リンゴの目から涙が落ちた。
 
「あなたを殺したら、私は国に帰れません!」
 
 
リンゴの放った弾は、レッドとは違う方向に放たれていた。
 
 
 
レッド
「戦場で敵に情けをかけると、足元すくわれますよ」
 
 
リンゴ「あなたは死に場所を求めてるんでしょ?あなたの企み通りに殺してやりません!」
 
リンゴは怒って言い返した。
 
 
レッド「怒りながら泣く..へんな奴」
 
 
リンゴ「さっき、あなたは言いましたよね。
 
絶対にほしいものだけが手に入らない、と」
 
 
 
レッド「..そうですね」
 
 
 
リンゴ「...私は手に入りませんが、あなたは見つけられるかもしれません」
 
 
レッド
「.....そんな訳ないですよ。手に入りません」
 
 
リンゴ「このエルネア王国周辺にはいくつか同じような国があります。そこでやり直してください」
 
 
レッド
「正気?俺はエルネア王国になにしたか..騎士隊の三人は俺のせいで死んだんですよ」
 
 
 
リンゴ
「死んで逃げようなんて、、それで人の手を汚させるなんて、絶対に許さない!ほかの国で暮らして、家族ができたとき...
 
 
その時、あなたは自分がなにをしてしまったのか分かるはずです!」
 
 
リンゴは目に涙をためながら、憎い男を睨みつけた。
 
 
 
 
 
 
「生きて、償いなさい」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
それが正解だったのか、間違っていたのか
 
 
愚かな判断だったのか、分からない。
 
 
 
 
彼との戦いが終わった時、勝利の喜びはなく、ただただ虚しい気持ちになったのはなぜだろう。
 
 
 
 
 ただ同情しているのかもしれない。
 
 
一つだけはっきりしてるのは、
 
 
私に、彼を殺せない、ということ..
 
 
 
 
 
 
 
 
レッドにすら、見抜かれていた自分の気持ちに、私は不安になった。
 
 
いつから?
 
 
 
 
自分でさえ、最近気づいた気持ちにあの男はいつから知っていたというの。
 
 
 
問いただす勇気もなく、
 
 
レッドが力を振り絞って出す花火の魔法を見上げていた。
 









 
本当に、

美しい光だった。








 
 
 
空には夜の帳がおりて、花火は美しく光輝きながら、消えていった。
 
 
 
祖国と王になる兄の力になりたいと思った少年が懸命に覚えたこの魔法は、
 
 


もう祖国で光輝くことはない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
二度とエルネア王国にはこないこと。
エルネア王国に攻撃を仕掛けないこと。
 
彼に約束させて、
 
 
 
花火の魔法がまだ止まないうちに、リンゴは馬に乗った。
 
 
「仲間に頼んでエルネア王国に襲撃した結果を、祖国に報告する。二回も攻撃して、防ぎきった。龍騎士が2人も健在のこの国を祖国はしばらく攻撃リストには入れないでしょう。」 
  
馬に乗ったリンゴをレッドは見上げた。
 
「攻撃実績がないと総攻撃リストから名前は消えない。これで、総攻撃リストには何代も先までのらないはずですよ」
 
 
 
 
 
 リンゴ
「あなたが、平穏に暮らせることを祈ります」
 
 
 
レッド
「ーー君も」
 
 
 
リンゴ「ーーーー約束は守ってください。では」
 
 
 
 
 
 
 
 ゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――


 
魔銃師会の前に、Xがいた。
 
ティアゴ「お疲れ様です..どうしました?」
 
Xは神妙な面持ちだった。
「それが、妙なのよ。セイ君も、モモちゃんも見たっていうし、ウィアラも見た、お昼過ぎにご飯食べにきたっていうし。ミアラさんもさっき見かけたーって。カルロスも見かけたっていうの。でも反応がないのよ...」
 
ティアゴ「....なんの話をしてるんです?」
 
 
X「リンゴちゃんよ!あの子だけ、導きの蝶の反応がないの」
 
 
ティアゴ「え...」
 
ティアゴは慌てて導きの蝶でリンゴの元に向かおうとしたが反応がなかった。
 
ティアゴ「どういうことだ...?」
 
 
ティアゴは酒場に向かう。そこには山岳兵団や騎士隊、魔銃師会の人たちが集まり今日のことについてわいわい話をしていた。
 
ティアゴは他のことには目もくれず、ウィアラさんのもとに向かう。
 
ティアゴ
「昼間、ここにリンゴ・フォードがきたって本当ですか?」
 
ウィアラ
「ええ、そうよ。食事したり、雑談したりしてしばらくしたら図書館に行くとかなんとか言ってたからしら」
 
ティアゴ「.........」
 
ティアゴは無言でウィアラを睨む。不穏な空気に、周りにいる人たちが数人気づいた。
 
ウィアラはにこにこするだけで受け流している。
 
ティアゴ
「あの騒ぎの中、あいつがここで飯食って雑談して図書館に行った?」
 
確認するというより、そんなはずがないだろうという気持ちが言葉に滲んでいた。
 
ウィアラ
「ええ、そうよ。どうしたの?導師様。すごい怖い顔して」

ウィアラの受け答えは淀みなかった。
 
バーニー「ティアゴ君、どうしたの?」
 
酒場にいたバーニーが、不安そうに声をかけてきた。
 
ティアゴ「...失礼します」
 
踵を返してティアゴは酒場から出た。
 
 
リンゴはリリーが具合が悪くなったとき、この酒場の一室を簡単に借りて用意したことがある。
 
 
ティアゴの中に一つの仮説が成り立つ。
 
 
まだリンゴが小さい頃、一度ジェレマイアが導きの蝶を使ってリンゴに会いに酒場にきたがなぜかリンゴの姿はなかった。
 
 
ウィアラは、リンゴの味方になっている。
 
 
リンゴの持ち物には金になるのに換金していないものが多数ある。いざというたきはそれを使って、持ち金から出したことがバレないよう細工くらいはできるはずだ。
 
ウィアラもミアラもカルロスも金で口裏を合わせているんじゃないか..?
 
 
 
なんのために?
 
 
レッドの目的は最初から、リンゴだったとしたら。
 
目的は達成されたのではないかと、恐ろしい可能性に気づいてティアゴはゾッとした。
 
 
 
 
 
適当に歩いていると噴水通りにさしかかる。
 
 
 
ちょうどそこに、転移魔法で誰かが現れた。
 
旅人の装束を着ている女性だった。
 
 
ティアゴ
(なんだ、旅人か...)
 
遠くに見えるその人から視線を外そうとした時、その装束がひどくボロボロでところどころ破けていて、奇妙にみえた。
 
 
一瞬、フードからみえた顔にティアゴは驚いた。
 
 
探していたリンゴ本人だった。
 
 
リンゴは噴水通りの空き部屋に足早に入っていった。
 
 
ティアゴ
(なんでそんなところに..?)
 
 
ティアゴは慌てて後を追った。
 
 
 
 ゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――
 
 以前、噴水通りには空き部屋があるとティアゴが言ってたのを思い出し、リンゴは転移魔法で噴水通りにやってきて空き部屋に走り込んだ。
 
戻ってきて気づいたがリンゴの洋服はボロボロになっていた。
 

全身を打ったせいで強烈な痛みがする。

 

とにかく着替えないと、、

 

朝になったらすぐにダンジョンにこもる

そうすればしばらく誰にも気づかれない..

 

 

 

 

洋服を脱ぎ、全身を確認する。


腕にはあざが出来ていた。


「これ、見られないようにしないと……… 」


着替えの服を取り出そうとした時。ドアが開く音がした。

 

 

 

「リンゴ?」

 

 

聞き覚えのある声がした。

 

 

 

でも、今は..!

 

 

 

電気がつけられ、ティアゴの顔がみえた。

 

 

 

 

お互い、あっ、という顔をした。

 

 

 

 

リンゴの白い身体が露わになった。

 

リンゴ

「あ、あ、ティアゴ君?!

今、着替えてるの!!」

 

リンゴはちょうど服を脱いで裸になったところだった。慌てて服で前を隠した。

(か、身体……っ……見られた……っ)


恥ずかしさで顔が熱くなる。


ティアゴはティアゴでものすごく狼狽していた。

 

 

ティアゴ

「ご、ごめん、まさかこんな所で着替えてるなんて..

 

ん?

 

 

ちょっとまって、その怪我どうしたの?」

 

ティアゴはリンゴの側にやってきてリンゴの身体を、マジマジとみた。

 

リンゴ

「変態!出ていって!」

リンゴは真っ赤になった。

 

ティアゴ

「この怪我、普通じゃないよ!背中だけでも痣だらけだよ」

 

ティアゴはリンゴの腕を掴んだ。

 

腕も痣だらけだった。

 

レッドの魔法攻撃の衝撃は大きかった。

 

 

ティアゴ

「いったい、なにがあったの?」


出ていってほしいのに、ティアゴは一歩も退く気がないようだった。裸のまま洋服で前を隠しているだけのリンゴに接近して、リンゴは恥ずかしくて心臓がバクバクうるさかった。

 

 

リンゴ

「ダンジョン1人でいったらボコボコにされたの!

そんな恥ずかしいことバレたくないからここで着替えてたのに」

 

リンゴが口をとがらせた。

 

 

ティアゴ

「、、どこのダンジョン?」

 

 

リンゴ「水没」

 

 

ティアゴ

「あー、水没かぁ

あそこは1人でいくところじゃ」

といいかけて、

 

ティアゴ

「さっきリンゴに導きの蝶使おうとしたら居場所の反応がなかったんだけど

本当に水没にいた?」

 

ティアゴは疑いの眼差しをリンゴに向ける。

 

リンゴ

「いたよ!導きの蝶だって、調子悪いことあるんじゃないの..」

 

 

リンゴは目を逸らして言った。

 

 

 

 

ティアゴ

「..もしかして、誰かに乱暴された?相手をかばってるの?」

 

リンゴが持ってる服はボロボロだった。

 

ダンジョンで服が、こんなになるだろうか..

 

リンゴ

「何もされてない..」



ティアゴ

「・・この腕の怪我・・魔物の類いじゃない。魔銃で撃たれてものだね?・・レッドに会ったんだね?」

 

ティアゴはリンゴの顔をのぞきこんでじっ見つめた。


真剣な表情で、逸らされることのない視線。


その視線にリンゴは耐えきれなくなった。


本気で心配してくれている人に、これ以上嘘をつくことはできなかった。


リンゴ(ティアゴ君にはかなわないな・・)

 

リンゴ

「あーもう無理、、」

 

リンゴはため息ついた。

ティアゴの追求から逃れようとするのは厳しい

ティアゴは簡単にかわせる相手ではない。

 

ただ怪しまれるだけだ。

 

相手がバーニーさんだったらよかったのに。あの人ならどうにでもなる(バカにされてるバーニー)

 

リンゴは、レッドに呼び出されて戦ったことを話した。

 

ティアゴは厳しい表情をしていた。

 

ティアゴ

「またあの男・・!」

 

ティアゴは歯ぎしりした。

 

リンゴ

「あの人はもうこんなことしてこないよ。もう大丈夫だよ」

 

ティアゴ

「そーゆー問題じゃない!」

 

ティアゴが怒鳴ったので、リンゴはびくりと身体が震えた。

 

ティアゴ

「怒鳴ってごめん..

 

リンゴに怪我させられて、腹がたったんだ。当たり前だろ。仲間が痛めつけられれば誰だって腹が立つ...」


ティアゴはため息をついた。


ティアゴ

「リンゴだけ居場所が不明で、俺たちがどんなに心配したかわかる?」


リンゴ「ご、ごめんなさい・・」


ティアゴ

「・・このまま、見つからないんじゃないかと思った・・」


ティアゴの言葉に、リンゴの胸がドクンと高鳴った。


ティアゴはポケットからなにか取り出した。

 

ティアゴ

「ちょっとしみるけど我慢してね」

 

怪我にきく塗り薬を傷口に塗ってくれた。

 

 

薬を塗りおえて、ティアゴは後ろを向いた。

 

「むこう向いてるから服着て」

 

 

リンゴ

「..うん、、ありがとう」

 

リンゴは適当な服を着た。

 

 

ティアゴ

「まったく..怪我してなかったら俺でも絶対押し倒してるよ。夜遅くに空き部屋に一人で入るなんて..これからこんな所で着替えたりしたらダメだよ..」

 

リンゴはかぁぁと顔が熱くなった。

 

もしも押し倒したらいいよって言ったら、

ティアゴ君、どうするのかな?

 

これもティアゴ君、私をからかってるんだよね?

 




 

リンゴ

「押し倒してもいいよって言ったら..?」

 



リンゴはおそるおそる口に出してみる。

 

  



ティアゴ

「…………そんなこと、こんな状況で冗談でいったらだめだよ」

 

いつものふざけた様子じゃなかった。

 

ティアゴは後ろを向いていてどんな表情をしているのか分からない。

 

 

リンゴ

「冗談じゃないって言ったら?」

 

 

ーーー沈黙。


 

 

リンゴは俯いた。

 

 

 

 

(嫌われちゃうな、こんなこといってたら。


それかまだお子ちゃまのくせにってバカにされる…

 

 ティアゴ君に、この気持ちを伝えちゃだめなのに

伝わったらだめなのに……


いけない気持ちだって分かっているのに。


どうしてこんなに想いが募るんだろう。

どうしてこんなに切なくて辛いんだろう。


ティアゴ君の平穏な生活に、私はいらないって分かってるのに。)


沈黙がつらく、逃げ出したい気持ちになった。

この魔銃導師はそれを許してくれるだろうか。

 

 

 

 

パチっ

 

 

 

突然部屋の電気が消えた。

 

 

消したのはティアゴだった。

 

 

 

リンゴ

 「え?」

 

 

 

顔を上げると、リンゴの体がベットの上に押し倒された。一瞬の出来事でリンゴは驚いて自分を押し倒すティアゴを見つめた。

 

 

リンゴの顔の横に、手をついたティアゴがリンゴを見下ろしていた。

 

 

ティアゴ

「……これでも、冗談じゃないって言うの?」

 

ティアゴの息遣いが、少し荒かった。

 

「さっき俺は、リンゴの裸みたんだよ?

そんな男に、冗談じゃないって言ったら、本当に襲われちゃうよ。

——それとも俺のこと男だと思ってない?」

 

 

リンゴは馬乗りにされ、ティアゴはリンゴの耳元で囁いた。





片手をティアゴの顔に伸ばして頰に優しく触れる。

 

 

リンゴ

 「ティアゴ君こそ、5歳も年下の私じゃ、子供すぎて無理でしょ?」

 

 リンゴは潤んだ目でティアゴを見つめた。



 ティアゴ

(..さすが、別名おじさんキラー..破壊力が凄い..)

 


ティアゴ

「………もう、子供には見えないよ…」





足元に投げ捨てたカバンから、酒のビンを取り出して、ティアゴは煽るように飲んだ。一口ごくりと飲み、また酒を、口に含んだ。

 

これはかなり強い酒だった。

 

ティアゴはそのままリンゴに口づけをした。

突然のことにリンゴは驚いて身体を硬直させた。

リンゴの喉に酒が注がれる。

 

リンゴはゴクリと酒を飲み込んだ。口付けとお酒で酔いそうだった。

 

 

 

 

ティアゴはなにか装置を起動した。

 

 

「これで俺たちの居場所は、誰にも分からない」

 

 

導きの蝶でここに辿りつかないようにしたらしい。

 


ティアゴはリンゴを真っ直ぐに見下ろした。いつものおどけた様子は微塵もない。




 

二人の視線が至近距離で絡み合う。



 


リンゴの心臓がバクバクとうるさく鳴っていた。

 

 


(————ティアゴ君・・本気だ..!)

 

 



ティアゴ

「いつか言ったよね

今夜は寝かせないって..」

 



 

再び口づけが落とされる。


口づけをしながらティアゴは自分の上着を脱いだ。