全身を打ったせいで強烈な痛みがする。
とにかく着替えないと、、
朝になったらすぐにダンジョンにこもる
そうすればしばらく誰にも気づかれない..
洋服を脱ぎ、全身を確認する。
腕にはあざが出来ていた。
「これ、見られないようにしないと……… 」
着替えの服を取り出そうとした時。ドアが開く音がした。
「リンゴ?」
聞き覚えのある声がした。
でも、今は..!
電気がつけられ、ティアゴの顔がみえた。
お互い、あっ、という顔をした。
リンゴの白い身体が露わになった。
リンゴ
「あ、あ、ティアゴ君?!
今、着替えてるの!!」
リンゴはちょうど服を脱いで裸になったところだった。慌てて服で前を隠した。
(か、身体……っ……見られた……っ)
恥ずかしさで顔が熱くなる。
ティアゴはティアゴでものすごく狼狽していた。
ティアゴ
「ご、ごめん、まさかこんな所で着替えてるなんて..
ん?
ちょっとまって、その怪我どうしたの?」
ティアゴはリンゴの側にやってきてリンゴの身体を、マジマジとみた。
リンゴ
「変態!出ていって!」
リンゴは真っ赤になった。
ティアゴ
「この怪我、普通じゃないよ!背中だけでも痣だらけだよ」
ティアゴはリンゴの腕を掴んだ。
腕も痣だらけだった。
レッドの魔法攻撃の衝撃は大きかった。
ティアゴ
「いったい、なにがあったの?」
出ていってほしいのに、ティアゴは一歩も退く気がないようだった。裸のまま洋服で前を隠しているだけのリンゴに接近して、リンゴは恥ずかしくて心臓がバクバクうるさかった。
リンゴ
「ダンジョン1人でいったらボコボコにされたの!
そんな恥ずかしいことバレたくないからここで着替えてたのに」
リンゴが口をとがらせた。
ティアゴ
「、、どこのダンジョン?」
リンゴ「水没」
ティアゴ
「あー、水没かぁ
あそこは1人でいくところじゃ」
といいかけて、
ティアゴ
「さっきリンゴに導きの蝶使おうとしたら居場所の反応がなかったんだけど
本当に水没にいた?」
ティアゴは疑いの眼差しをリンゴに向ける。
リンゴ
「いたよ!導きの蝶だって、調子悪いことあるんじゃないの..」
リンゴは目を逸らして言った。
ティアゴ
「..もしかして、誰かに乱暴された?相手をかばってるの?」
リンゴが持ってる服はボロボロだった。
ダンジョンで服が、こんなになるだろうか..
リンゴ
「何もされてない..」
ティアゴ
「・・この腕の怪我・・魔物の類いじゃない。魔銃で撃たれてものだね?・・レッドに会ったんだね?」
ティアゴはリンゴの顔をのぞきこんでじっ見つめた。
真剣な表情で、逸らされることのない視線。
その視線にリンゴは耐えきれなくなった。
本気で心配してくれている人に、これ以上嘘をつくことはできなかった。
リンゴ(ティアゴ君にはかなわないな・・)
リンゴ
「あーもう無理、、」
リンゴはため息ついた。
ティアゴの追求から逃れようとするのは厳しい
ティアゴは簡単にかわせる相手ではない。
ただ怪しまれるだけだ。
相手がバーニーさんだったらよかったのに。あの人ならどうにでもなる(バカにされてるバーニー)
リンゴは、レッドに呼び出されて戦ったことを話した。
ティアゴは厳しい表情をしていた。
ティアゴ
「またあの男・・!」
ティアゴは歯ぎしりした。
リンゴ
「あの人はもうこんなことしてこないよ。もう大丈夫だよ」
ティアゴ
「そーゆー問題じゃない!」
ティアゴが怒鳴ったので、リンゴはびくりと身体が震えた。
ティアゴ
「怒鳴ってごめん..
リンゴに怪我させられて、腹がたったんだ。当たり前だろ。仲間が痛めつけられれば誰だって腹が立つ...」
ティアゴはため息をついた。
ティアゴ
「リンゴだけ居場所が不明で、俺たちがどんなに心配したかわかる?」
リンゴ「ご、ごめんなさい・・」
ティアゴ
「・・このまま、見つからないんじゃないかと思った・・」
ティアゴの言葉に、リンゴの胸がドクンと高鳴った。
ティアゴはポケットからなにか取り出した。
ティアゴ
「ちょっとしみるけど我慢してね」
怪我にきく塗り薬を傷口に塗ってくれた。
薬を塗りおえて、ティアゴは後ろを向いた。
「むこう向いてるから服着て」
リンゴ
「..うん、、ありがとう」
リンゴは適当な服を着た。
ティアゴ
「まったく..怪我してなかったら俺でも絶対押し倒してるよ。夜遅くに空き部屋に一人で入るなんて..これからこんな所で着替えたりしたらダメだよ..」
リンゴはかぁぁと顔が熱くなった。
もしも押し倒したらいいよって言ったら、
ティアゴ君、どうするのかな?
これもティアゴ君、私をからかってるんだよね?
リンゴ
「押し倒してもいいよって言ったら..?」
リンゴはおそるおそる口に出してみる。
ティアゴ
「…………そんなこと、こんな状況で冗談でいったらだめだよ」
いつものふざけた様子じゃなかった。
ティアゴは後ろを向いていてどんな表情をしているのか分からない。
リンゴ
「冗談じゃないって言ったら?」
ーーー沈黙。
リンゴは俯いた。
(嫌われちゃうな、こんなこといってたら。
それかまだお子ちゃまのくせにってバカにされる…
ティアゴ君に、この気持ちを伝えちゃだめなのに
伝わったらだめなのに……
いけない気持ちだって分かっているのに。
どうしてこんなに想いが募るんだろう。
どうしてこんなに切なくて辛いんだろう。
ティアゴ君の平穏な生活に、私はいらないって分かってるのに。)
沈黙がつらく、逃げ出したい気持ちになった。
この魔銃導師はそれを許してくれるだろうか。
パチっ
突然部屋の電気が消えた。
消したのはティアゴだった。
リンゴ
「え?」
顔を上げると、リンゴの体がベットの上に押し倒された。一瞬の出来事でリンゴは驚いて自分を押し倒すティアゴを見つめた。
リンゴの顔の横に、手をついたティアゴがリンゴを見下ろしていた。
ティアゴ
「……これでも、冗談じゃないって言うの?」
ティアゴの息遣いが、少し荒かった。
「さっき俺は、リンゴの裸みたんだよ?
そんな男に、冗談じゃないって言ったら、本当に襲われちゃうよ。
——それとも俺のこと男だと思ってない?」
リンゴは馬乗りにされ、ティアゴはリンゴの耳元で囁いた。
片手をティアゴの顔に伸ばして頰に優しく触れる。
リンゴ
「ティアゴ君こそ、5歳も年下の私じゃ、子供すぎて無理でしょ?」
リンゴは潤んだ目でティアゴを見つめた。
ティアゴ
(..さすが、別名おじさんキラー..破壊力が凄い..)
ティアゴ
「………もう、子供には見えないよ…」
足元に投げ捨てたカバンから、酒のビンを取り出して、ティアゴは煽るように飲んだ。一口ごくりと飲み、また酒を、口に含んだ。
これはかなり強い酒だった。
ティアゴはそのままリンゴに口づけをした。
突然のことにリンゴは驚いて身体を硬直させた。
リンゴの喉に酒が注がれる。
リンゴはゴクリと酒を飲み込んだ。口付けとお酒で酔いそうだった。
ティアゴはなにか装置を起動した。
「これで俺たちの居場所は、誰にも分からない」
導きの蝶でここに辿りつかないようにしたらしい。
ティアゴはリンゴを真っ直ぐに見下ろした。いつものおどけた様子は微塵もない。
二人の視線が至近距離で絡み合う。
リンゴの心臓がバクバクとうるさく鳴っていた。
(————ティアゴ君・・本気だ..!)
ティアゴ
「いつか言ったよね
今夜は寝かせないって..」
再び口づけが落とされる。
口づけをしながらティアゴは自分の上着を脱いだ。