5日、外食チェーン店の数店(埼玉、東京、大阪、奈良、愛媛、山口)で、O157の食中毒が起きました。最近は聞くことがなかったこの名前が再び新聞紙面を賑わせています。
O157は、157番の大腸菌ということで、正しくは「腸管出血性大腸菌O157:H7」と呼ばれます。充分に加熱されなかった食材から感染しますが、少数の菌で発症し中毒を起こすことが特徴です。
O157菌はベロ毒素(ベロトキシン)という毒素を作りだします。ベロ毒素というのは菌体外に分泌する毒素タンパク質のことです。O157中毒や赤痢の感染時に出血性の下痢や、急性腎不全から尿毒症を引き起こす「溶血性尿毒症症候群」などの症状が現れます。
感染して3日ほどは血便と激しい腹痛に襲われ、前述したように尿毒症を誘発することもあります。最悪の場合には「急性脳症」に至って死亡することもあるそうです。ちなみに下痢止めを服用すると毒素が排出されないために感染者は重篤または死亡することもあります。
牛の牛糞などから検出される菌で、母体である牛に付着する可能性も高く、感染した牛は無症状のために感染を特定することは難しいようです。
加熱に弱い菌で、肉の場合、中心温度を75℃で1分間加熱することが感染防止の基本です。今回の場合には冷凍状態で各店に送られた食材(形成肉)を充分に加熱しなかったためなのではないでしょうか?
今回のような事件が起きると、その店舗、企業の信頼は失われてしまいます。事業継続ができなくなってしまう可能性が高いのです。資本力のない個人店舗などは、悲惨な結果に結びついてしまいます。運よく再開できても失った信頼を取り戻すためには相当な努力と時間が必要になるでしょう。
このようなことが起こらないように常に神経質なほどに食材や厨房を清潔に保つことが重要なのです。
家庭でも食中毒が起きやすい季節です。
キッチンは常に清潔な状態に保ち、まめにタオルや食器拭きなどを交換するようにしましょう。手洗いも忘れてはいけません。基本は食材の充分な加熱です。何度も言いますが中心温度が75℃の状態で1分間加熱が基本です。調理中の来客などで調理を途中で中止して室温のまま放置することも菌増殖の要因です。0157の場合は、室温15分から20分で焼く倍に増えるということです。この場合には冷蔵庫に入れ、再開する場合には充分に加熱しましょう。
食べるときも、各々手洗いしてから食べるようにしましょう。神経質になりすぎる方がO157だけでなく、新型インフルエンザなど、様々な菌やウイルス(*)などから身を守る習慣を身につけることにつながると思います。
(*)
細菌:細胞がなくても増える。増殖環境は多様。
ウイルス:生きている人や動物などの細胞の中で増える。


