Cleat からのメッセージ -16ページ目

109とラルフローレン 2

ラルフローレン表参道店の店員も、109の店員達以上に「キャスト」としての輝きがある。 伝え聞いたところによると女性店員の身長は168cm以上が条件であるというだけあってか皆存在感がある。 もちろんラルフローレンの商品と合うメイクと髪型をしているから、オヤジからすればマルキュー店員よりはるかにカワイク見える

休日には外国人店員もこれに加わる。店内はぐっと異国感が高まる。 意図的な演出なのか? ただ本社スタッフがマーケティングのために行っているのかはわからないけれど、買い物をレジャーに変えるという点から見れば日本では特に効果的。 リテール研究をする側からすると参考になる

109とラルフローレンの共通点はこんなところにもある。

 109では各ショップやブランドが扱う服は、最近どこかで見たことがあるような服が多い。 パリス・ヒルトンがエルの撮影で着てたよな~と思うものや、クロエのようなバッグ。 ディオールの帽子にエキストラスタッズを施したもの。 あ~あれは確かビヨンセが街着で着てたやつ・・・などなどである。

ラルフローレンも、それ自体でのオリジナリティーはさしてない。 AVIREXのムートンを模したショートケープや、スカジャンを模したポロ。 60年代のシャネルを今風にしたものなど、109と対象は違うもののそれぞれモチーフがある。
 そして、そのあたりがきっと、オリジナリティーを重視する欧州ブランドは許せないのであろう

 ファッションの専門家ではない僕だけが勝手に思っているのかもしれないが(あるいは既にそれは定説化しているのかもしれないが)、109もラルフローレンも単なるコピーではなく、それはそれで独自のファッションアミューズメントを体系化しているのだと思う。

 たとえればそれは、あるものはラップミュージックにおけるサンプリングのようなものかもしれないし、ディズニーランドのようにテーマをベースにファッション経験を提供する装置なのかもしれない。 いずれにせよ顧客はそこで楽しい時間をすごし、ディズニーランドの数倍、数十倍ものお金をおとしていくのである。

 こう考えるとパリという街はそれ自体が、大人のアミューズメントパークである。 大人が楽しむために必要とする全てがある。 ラルフローレンこれを一つのお店で、109は完成度こそ低いとはいえ、インスタレーションとしてはある意味どこよりも上手くこれを完結させていることを僕は評価している。
 (上手く行かなかったのがビーナスフォートかな? あれを109化したらすごく楽しいのにね・・・・)

そんなわけで、僕といえば本日も大人のアミューズメントをしに徘徊するのでした

109とラルフローレン

とある知人から聞いた話。
 イタリアのいわゆる有識者と言われる人たちは、ラルフローレンがお好きでないらしい。 いかにもアメリカ人が好む、フェイクファッションなのだという。

この話がどれほど一般的な意見なのかはわからない。実際のところモンテナポレオーネにあるラルフローレンミラノ店では、いかにも金持ちそうなミラノマダムが、たくさんお買い物をしておられた。若い人たちも店内には多い。 ビジネスが果たしてプラスなのかはわからないけれど、けっして活気のない店ではない

とはいえ、「イタリアの有識者はラルフローレンガ嫌い」という言葉は、なんとなく真実味がある。あくまでも推測に過ぎないが、おそらくはフランスの有識者もイギリスの有識者も同じではないだろうか? ディズニーランドの国からきたこのブランドを、 現代ファッションの中核であるヨーロッパが、快く思うわけがない。

ラルフローレンは、ほぼ単一とも思えるブランドで年間約1兆円以上を売り上げる、大成功したブランドのひとつである。 これは40以上ものブランドからなるLVMHと比肩する。 GAPやZARAといったマス向けブランドと比べても見劣りしない売り上げながら、 客単価は比べ物にならないほどラルフローレンの方が高いのだから、投資前利益はけっこうなものであると推測できる。 こんなあたりも欧州有識者は面白くないかもしれない

 これまで僕はこのブログでラルフローレンに大きな賛辞を送ってきた。それは、欧州グランメゾンが作り上げてきた世界とはまったく異なる「アミューズメントファッション」ともいうべき世界を表参道店で作りあげたからだと説明してきた。そして、その原点(なのかわからないけれど) を先日久しぶりに訪れた109に見ることができた

SLY、エゴイスト、その後マウジーといったブランドへとつながるこのファッションビルはまさにアミューズメントファッションビルと呼ぶのがふさわしい。 ついには有名デザイナーにまで上りつめてしまった山本容子といった、カリスマ店員を生み出したのもこの場所である。 カリスマ店員はディズニーランドでいうところの「キャスト」である。 今でも多くのかわいい女の子が売り子をつとめている。


(以下次号)

日本一かっこいい 3

かっこいいを理解するのには、一定の時間がかかる。
10年ほど前に、大型テーマパークのパレード衣装をデザインしたことがきっかけで、多くの古いファッション誌を読むようになった。その後ナイキの仕事で、より流行を読み取ることを目的に、オンタイムのファッション誌を読むようになった。
 
 デザインの仕事を終えた今も、ヴォーグやエルを毎月欠かさずじっくり目を通している。 街のブティックチェックもやっている。 何をしているかと言えば自分の基準を常にリセットしているのである。 

 古いヴォーグを読んでいる時は、何がONで何がOFFかわからなかった。 どのモデルもいい女だったし、古くてもオシャレなものはオシャレに思えた。 
 最新号を常に読むようにしてから、どれくらい経ってからだろう? おそらく2年くらい経ってからだと思う。 確かに流行がわかるようになってきた。

 何をはずしてはいけなくて、何は個性的でよいのかがわかるようになるl。
ロジックはない。 ルールもない。 群れの中で自然発生的に始まる流行(ファッション)それをとらえられるようになったとき、 古いヴォーグと新しいヴォーグの違いがきちんとわかるようになった

 かっこいいは、常に移り変る。 フロントランナーは2番手に後塵を拝させるために、時折あえて非連続な変化を見せる。 それまで流行だった流れをいきなり変える。 あれほど大きかった襟についてた太いネクタイが、いきなり小さな襟と細いタイに変わる。 

 最終コーナーまで見えていたトップが、一瞬の死角を過ぎた後バックストレートで、はるか前方にワープしたようなものだ。 私たち日本メーカーは常にヨーロッパメーカーにそうさせられている。 何たってむこうがルールを作るのだ。

 日本で一番かっこいい。 このインターネット社会において、この言葉にどれほどの意味があるのだろうか?といいたくもなるが、まずは進歩である。 「ブランド=かっこいいこと」 という他の社会ではあたりまえのことに、日本を代表する企業が気づいたのだから・・・・

 僕といえば、レオン片手に、かっこいいオヤジ化の迷走中です

日本一かっこいい 2

DCMXはそのフラッグショップを新宿大通沿い、伊勢丹新宿店脇に設立したことが記事に書かれていた。 ロゴデザイン等の傾向から、顧客対象は男性が主としているように感じる。 とすればこの立地はホストとレオン読者が足しげく通う伊勢丹メンズ館を意識したのだろう。
 今日表参道をバイクでクルーズしたところ、なんとカフェまでできていた。



こぎれいなデザインをほどこし、できるだけSP色を廃しているのだろうけれど、外から見る限り控えめではあるが店内にはやはり携帯電話端末がディスプレーされている。 どう考えてもこのカフェはブランドイメージ訴求を目的としているのだろうけれど、やはり置かないわけにはいかなかったのかもしれない。 日本一カッコよくしたいなら、グラフィックデザインに優れた 印刷媒体程度で我慢すればよかったのに・・・と思いました。

 メーカーやキャリアがカッコ良さを追求するのに最も大きな壁がある。 それが大型の投資決済を含むボードミーティングである。 例えばこのカフェに4億円かかっているとしよう。 そこそこのメンバーを集めての役員承認が必要になることだろう。 そこで 「カッコイイ存在にするためには、4億かけて青山にカフェを作るべきだ」と提案して、 果たしてその場にいる方々がそれにどのような反応ができるのだろうか?

 カッコイイを役員承認させる。 あるいは役員が正しいカッコイイについて、正しい経営判断できるようにトレーニングをさせる必要がある。 もしこの手のカッコイイ経営判断に加わる可能性がある部門につける場合は、正しくそれを育成する必要がある。

日本一かっこいい? 1

6月30日日経産業新聞 5面に
「かっこいい」カード追求  という文字が躍る。 NTTドコモが本格サービスを開始するDCMXというクレジットサービスの記事である。 これによるとDCMXはi-modeに続く収入の柱として期待する新事業であり、立上げで最も力を入れたのがブランド戦略であり、 彼らは「日本一かっこいいカード」を作るためにクレジットカード業界にはない発想を盛り込んだのだと記事は続いている。

 「かっこいい」をブランド戦略の目標とするべきであることは、以前僕もしつこく書いてきた。 アパレルや海外スポーツブランドの世界ではこれまでもこの考えはあたりまえのことである。  しかしそれが今回ドコモによって挑戦されているということが実に興味深い点である。(プレス資料とはいえ、かっこいいに「日本一」をつけちゃったあたりに、ドコモは本当に「かっこいい」が分かっているのか不安になるところだけれど)

 役員プレゼとかでも「かっこいい」という言葉が踊ったのだろうか? なんだかその光景を想像すると微笑ましい気持ちにもなるが、これは快挙である。 心より応援したい。ぜひとも「かっこいい」を実現させ、日本の大手企業・経営者の皆さんに「ああ俺達が今からやるべきブランディングとは、カッコをつけることなんだ」ということに気づいてほしい。 

(以下次号)