Cleat からのメッセージ -11ページ目

「無思想の発見」とブランド

 これまで僕は日本企業のブランディングがいかに難しいかを痛切に感じてきた。特にそれは各企業のブランドに関わる発行物を見る時に強く受けることが多い。 ブランドに関わる発行物とは、あまり世間に出回っていないが、大企業の多くが持っている。
 この手のものは1990年あたりのCIブーム以降作られたものが多い。 当社のブランドは・・・、コアバリューは・・・・行動規範は・・・・・、お客様にお約束することは・・・・・・、なんていうことが書かれている。
 なぜこれを見ると「日本企業のブランディングは難しい!」と思うのかというと、こうしたもの見ても、まったくそこに描かれているブランドが見えてこないからである。 心に響かないからである。
 多くの場合これらは社内の行動規範として書かれ、それをもって生まれてくる製品やサービスがお客様に提供する価値を約束するのだが、どうにもこの言葉で当の社員達は行動しないように見えてしかたがないからである。
 僕は当初この要因を、書き手の力量不足と思っていた。

 これに似た感覚がある。生徒手帳に書かれていた覚えてもいない言葉のあれこれ。おそらくは苦労して書かれたであろう言葉が、まったくもっと紙の無駄にしか見えない。そして僕は当初こうしたことの要因は、書いているやつが優秀ではないからだと思っていた。



(以下次号)

「五感刺激のブランド戦略」を読んで

すいません サボり癖がついて2週間もほったらかしでした。
その間訪れていただいた皆様。ありがとうございます。感謝いたします。

マーチン・リンストームさんの書かれた本を読みました。
この本では、ブランドをインプリントするときに、多くの企業は2D(視覚・聴覚)でしか
伝達できていないが、この本ではプラス3D(味覚・嗅覚・皮膚感覚)も加えて5Dで
行うブランド訴求は、強いイメージ訴求をすると説いています。

ケロッグのあのサクサクという音が、知財登録されているという話しや
新車の匂いは、意図的につけられているという話も面白かったのですが
読んで以来よく使うフレーズは「色の所有者」という概念です
もちろんこれはイメージ上の所有者であり、実際のものではありません。

たとえば赤の所有者と言えば、アメリカでは絶対的にコカコーラですが、
これを近年欧州ではヴォーダフォンが所有権を持っています。
彼らはこれを確固とするために、フェラーリやチェルシーのメインスポンサー
となることで、相互に赤の所有を高めるということを行っています。

ペパーミントグリーンを見れば、ティファニーを思い出します
彼らはいかなるお金を積もうとも、箱だけを売ってくれることはないそうです。


(以下次号)

付加価値とブランド3

スタバの緑マーク。あれは間違いのなく付加価値です。 ではあれを付加機能として説明するとどのようになるでしょう?カップにはマークなどなくたって、消費者はコーヒーを飲むことができます。 ですからマークは付加機能としてそこに存在するのです。
 マークの持つ付加機能は「他のとは違うスタバだぞ!」をお客様に伝える機能です。 スタバの看板も「あの美味しいお店・スタバです」に向けた付加機能です。ブランドとは他と比べて高い価値があることを「違い」としてビジュアルに表現しなければ意味がありません。日本人がブランド下手である理由はこうした価値をあからさまにすることに「恥」を感じてしまうからなのかもしれません。
 「つまらないものですが」や「粗末なものですが」ではなく、「そんじょそこらのものとは違うぜ!」じゃなければダメなのです。
 先週月曜日のカンブリア宮殿に男前豆腐店(あの風にふかれて豆腐屋ジョニーの会社)の社長が出演されていましたが、まさにあれも「美味しいと言う明確な価値」を「見た目の違い」とセットにしているから、他の追随を許さないブランドになっているのでしょう。 そうでなければすぐ似たような商品が出て、値段競争になってしまうはずです。
 スターバックス(あるいは豆腐屋ジョニーも)の強さは、それまでの商品より飛びぬけて美味しいものを追求しながら、それを明確な視覚的違いと共に世に送り出したからなのです。
 飛びぬけて美味しいものなんて、それが価値として発見されたとたん真似されて・安くされて終わりです。 そうならないようにするために、メーカーは圧倒的な違いをブランディング機能と値財によって長期的強さを維持する必要があるのでしょう。

付加価値とブランド2

付加価値を生み出す源泉には二つ種類があります。いずれも付加機能ではあるのですが一方を「物理的付加機能」、もう一つを「情緒的付加機能」と言うことにしましょう。 説明するまでもなく先ほど例にとった「吸い口つきのフタ」は物理的付加機能です。 特許をとっておいてもあの程度のものだとすぐ真似されてしまう一品です。 もちろんこれが素材技術や生産技術といったものを特許で守っていれば少しはアドバンテージを長く保てます。 とはいえ「こういう機能をつければ、こういう価値を生む」ということが判りやすい物理的付加機能は、猛獣たちにとって格好のカモであることは言うまでもありません。

対して「情緒的付加機能」が発生させる付加価値というものは、ダジャレではありませんけど不可解ゆえ真似ができません。 製造業的に言えば定量的に計測できない機能というものは真似ができないのです。 スタバのコーヒーカップに備わっているこの情緒的付加価値。それゆえに350円もの対価をお客様から頂戴でき、かつライバルが真似をしようにもできないものそれがあの「緑のシンボルマーク」です

ドトールコーヒーがエクセシオールカフェなんていうものを作り、同じような緑のマークをつけたところでスタバの強さは変わりません。下手すりゃエクセシオールの店舗を見たとたんスタバに行きたくなるという、敵に塩を送りまくるような効果さえあります。

そうです。儲からない会社の社長が株主総会で「付加価値商品をもってウンヌン」という言い訳は多くの場合「これからオレはブランドビジネスやるぜ!」というトンチンカンな答弁だったのです。なぜ多くの場合なのかといえば、そんな株価低迷まで行く会社が特許によって3年は儲け続けられるほどの技術ネタを持っているわけがないからです。だいたいそういう技術を持つ会社は基本特許をとったあたりでリークして、株価を上げて勝負の時に備えるからです。

こんなときに「付加価値をもってウンヌン」という場合は、金は使わず知恵で勝負するから許してくれと言っている場合が多く、こんな社長にはっぱをかけられる企画部門の人たちは本当に気の毒です。「付加価値」というとみんなは「そうか・そういうやつを作るのか。まあ頑張ってくれ」と許してくれるのだから不思議ですね。

「ブランドやるから儲かるぜ」なんて言ったって簡単には許してくれませんからね。

(以下次号)

付加価値とブランド

付加価値という言葉をよく耳にします。 商品企画部門なんかがこの言葉をよく使います。 会社の利益が少ないときに経営者が株主総会で「来期以降はより付加価値の高い商品にシフトし・・・」なんて言葉で逃げるときにも使います。

とはいえ付加価値って何でしょう? というより、コンシューマープロダクツにおいて付加価値のない商品なんて存在するのでしょうか? そして付加価値をつければ本当にモノは高く売れるのでしょうか?というのが今回のお題です。

付加価値は、基本価値の対となる言葉です。付加価値を理解するためにはこの基本価値を理解する方がわかりやすいので、まずはこの言葉から説明しましょう。

理屈っぽい話しがさらに理屈っぽくなって大変恐縮ですが、基本価値は基本機能とセットで理解していただきたいので、この二つを一緒にお話させていただきます。

例えば紙コップの基本機能は「飲み物を運ぶ」です。コーヒースタンドはこの機能を使ってお客様に商品を売ります。だからお客様にとって紙コップの基本価値は「欲しいコーヒーを持ち帰れ便利だと思う気持ち」なのです。 ここでは「価値と機能は似てるけれど違うんだな」というくらいに覚えておいてもらえれば結構です。

さて次に付加価値の登場です。スターバックスコーヒーのカップに必ずついてくる「吸い口がついたフタ」があります。あれはお客様にとっての「付加価値」です。 別にあれが無くてもコーヒーは持ち帰れますが、あれが存在することによってお客様は「歩きながらでもコーヒーが飲めることにより、ホッとするひと時を得られて便利だと思う気持ち」という価値を手にしました。

便利だと思う「気持ちが得られる」価値なんて、やたら回りくどい言い方をしてスンマセン。ここでは「価値というのはお客様にとって、気持ちに置き換えられてはじめて価値になるのだ」ということをあなたと共有したいのでこんな面倒くさい書き方をしているのです

「吸い口がついたフタ」が付加価値なのではありません。このあたりが付加価値を非常に誤解しやすいものにする落とし穴なんです。あくまでもあのフタは「熱々のコーヒーを吸い口から多少揺れても飲めるようにする」という機能でしかありません。ここでは「付加機能」と呼びましょう。「飲み物を運ぶ」という基本機能に「熱々のコーヒーを、吸い口からこぼさず飲めるようにする」付加機能がついたとき、「お客様は歩きながらコーヒーを飲んでホッとする」という付加価値を手にすることができるのです

とはいえこれがスタバのコーヒーを350円にもする付加価値にしているのではありません。こんなの誰でも真似できます。つまり「付加価値は商品を高く売れるようにする」はウソということになります

(以下次号)