2025年の鑑賞本数は59本(邦画が32本に洋画が27本)。

今年も神奈川県外で観たのは宮崎アニメの1本のみ。シネプレックス平塚が15本、あつぎのえいがかんkikiが14本、小田原コロナシネマワールドが13本と、近場で十分観たい作品に出会えている。見逃した作品を何度もkikiさんが拾い上げてくれてもいる。いつもお世話になっている映画館に感謝です。

 

何といっても昨年最大の収穫は「海がきこえる」なのですが、リバイバル物は序列から除外(35と41も)。

改めて自分の感想を読み返して当時の記憶も呼び覚ましながら、心に残る作品を挙げてみると結構な数になりました。

 

洋画:

①型破りな教室

②教皇選挙

③Flow

邦画:

①サンセット・サンライズ

②片思い世界

③ネムルバカ

 

「型破りな教室」は、そもそも実話物も教育物も得意じゃない私でも、地球の裏側の教育現場で起きたミラクルを再現した本作を観に行ったことに感謝する作品でした。

②はコンクラーベをスリリングに描き切った監督の手腕に、③はアニメーションで描かれた雄大なる映像美に没入した鑑賞当時の感覚を思い出して。次点は「ドマーニ!愛のことづて」に「We Live in Time この時を生きて」に「ラブ・イン・ザ・ビッグシティ」に「スーパーマン」。もう正直選びきれません。

 

邦画の①は、クドカンさんの脚本を魅力一杯温もり一杯に描いた愛すべきハートフル・コメディを。そもそもこのジャンルが一番タイプな私です。②は土井裕泰 × 坂元裕二による、これまた本来なら切ないお話をハートフルなお伽噺に仕上げてくれたその手腕と世界観に。③は音楽がアクションに取って代わっても、阪元裕吾ワールドはとても素敵だった。最近の「最強殺し屋」シリーズに失望していた中で、今後に希望を感じた一作。

次点というか、ほぼ同着で「フロントライン」「平場の月」、「アンダーニンジャ」「ファーストキス 1ST KISS」「ババンババンバンバンパイア」「金髪」も捨てがたいのでした。

 

2026年も素敵な作品にめぐり会えますように!

 

2025年鑑賞作品一覧:
01 正体 5点

02 合格型破りな教室 7.5点

03  5.5点

04 お坊さまと鉄砲 6点

05 合格サンセット・サンライズ 7点

06 アンダーニンジャ 6.5点

07 キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド 5点

08 ノー・アザー・ランド 故郷は他にない 5点

09 室町無頼 5.5点

10 死に損なった男 5点

11 ANORA アノーラ 5.5点

12 TATAMI 5.5点

13 合格​​​​​​​Flow 6.5点

14 ファーストキス 1ST KISS 6点

15 ドマーニ!愛のことづて 6.5点

16 知らないカノジョ 5点

17 合格​​​​​​​教皇選挙 6.5点

18 合格​​​​​​​片思い世界 7点

19 ゴーストキラー 4.5点

20 合格​​​​​​​ネムルバカ 6.5点

21 ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング 6.5点

22 金子差入店 5点

23 マリリン・モンロー 私の愛しかた 5点

24 か「」く「」し「」ご「」と「 5.5点

25 We Live in Time この時を生きて 6点

26 リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界 6点

27 ラブ・イン・ザ・ビッグシティ 6点

28 リライト 4.5点

29 合格​​​​​​​フロントライン 7点

30 年少日記 6点

31 ババンババンバンバンパイア 6点

32 スーパーマン 6.5点

33 F1/エフワン 6点

34 合格​​​​​​​海がきこえる 10点

35 合格​​​​​​​はじまりのうた 6.5点

36 中山教頭の人生テスト 6点

37 ONCE ダブリンの街角で 5点

38 劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来 6点

39 あの夏、僕たちが好きだったソナへ 6点

40 国宝 6点

41 合格​​​​​​​毛虫のボロ 8点

42 レッド・ツェッペリン:ビカミング 6点

43 ラスト・ブレス 4点

44 ワン・バトル・アフター・アナザー 5.5点

45 ナイトコール 5.5点

46 富士山と、コーヒーと、しあわせの数式 4点

47 チェンソーマン レゼ篇 6点

48 プロセキューター 6点

49 港のひかり 3.5点

50 ザ・フー キッズ・アー・オールライト 6点

51 合格​​​​​​​平場の月 7点

52 愚か者の身分 6点

53 爆弾 6.5点

54 君の顔では泣けない 5点

55 佐藤さんと佐藤さん 6点

56 金髪 6点

57 女性の休日 6点

58 兄を持ち運べるサイズに 6点

59 果てしなきスカーレット 5.5点

 

 

 

 

№59
日付:2025/12/21
タイトル:果てしなきスカーレット
監督・脚本:細田守
劇場名:シネプレックス平塚 screen7
パンフレット:あり(\990)
評価:5.5

 

細田守と新海誠。このどちらも漢字三文字の日本を代表するアニメーション監督のお名前が時々ごっちゃになって、どっちがどの作品の監督だかわけわからなくなります(歳?)。

 

日本では1979年に公開されたアニメーション映画、「指輪物語」で採用された「ロトスコーピング」という手法。実写映像をトレースしてアニメーションに描き直すその手法の根底にある、実在する人間同様の動き=リアルという考えが、いかにそのダイナミズムを失わせる愚かな手法であるかは、そこから生み出された作品が証明している。私たち日本のアニメ・ファンが一番わかっている事だというのに、本作からはそういう作品と同じ匂いしか漂ってこない。エンドロールで園村健介氏の名前を見つけて、その事実を確信しました。せっかくアニメーションという現実世界の制約から解放された世界で勝負しておきながら、なんで実写の殺陣をコピーしなきゃならんのだ。実に嘆かわしい。

 

中世の王国のプリンセスと現代の日本の若者が出逢うタイムパラドックスなロマンスと、王女の復讐劇という古典的な話をミックスさせた今回の細田作品は、その世界観をC.G.に委ねたことで壮大さは実現しているものの、あまり面白みがない。というのが個人的な感想。その最大の理由は前述の通り。

 

考え方も常識も育った環境も正反対の2人が、現代に生きる細田監督の思いや願いに導かれてゆく物語は、色々ツッコミどころはあろうとも私は嫌いじゃないです。「日本も核を保有すべき」と発言する人、それに賛意を示す人たちにはきっと本作のメッセージが伝わらないでしょうが。

中世の民にはなかなか理解し辛いであろうスカーレットの演説も、アニメーションらしいオプティミズムと希望に満ちた締め括りとして私は支持したいです。

 

 

 

 

 

 

 

パンフレット

  • イントロダクション
  • ストーリー
  • キャスト・インタビュー 芦田愛菜
  • キャスト・インタビュー 岡田将生
  • キャスト・コメント 役所広司
  • キャスト・プロフィール
  • 一万字インタビュー 細田守
  • フィルモグラフィー
  • スタッフ・インタビュー 山下高明(作画監督)
  • スタッフ・インタビュー Jin Kim/上杉忠弘(キャラクター・デザイン)
  • CGディレクター対談 堀部亮 × 下澤洋平 × 川村泰
  • 美術監督対談 池信孝 × 大久保錦一 × 瀧野薫
  • スタッフ・インタビュー 三笠修(色彩設計)
  • スタッフ・インタビュー 斉藤亜規子(撮影監督)
  • スタッフ・インタビュー 岩崎太整(音楽)
  • 「祝祭のうた」
  • メイキング・オブ・渋谷シーン
  • 「果てしなき」
  • クレジット

チラシ①

チラシ②2つ折り

入場者特典(イラストミニ色紙らしい)

№58
日付:2025/12/18
タイトル:兄を持ち運べるサイズに
監督・脚本:中野量太
劇場名:小田原コロナシネマワールド SCREEN5
パンフレット:あり(\990)
評価:6

 

上映最終日に駆け込みで観賞。危ないところでした。

琥珀色のキラキラ」「チチを撮りに」に始まり、中野監督作品はタイトルのネーミングセンスが抜群。今回も思わずクスリ、ニヤリとしてしまいます。原作物の映画化が続いていますが、どの作品も一貫して家族と近親者の死がモチーフとなっている。最近の2作品においては、そこに3.11が落とした陰が加わってもいます。

 

母は長男を、父は長女を贔屓するものだと(私の経験値として)認識していますが、この兄と妹が育った一家もそんな感じらしい。「こんな兄貴は嫌だ」の代表格のようなろくでなしの兄に長年鬱屈した感情を抱いてきた妹の理子(柴咲コウ)が、兄へのわだかまりを氷解させるまでの寛容の旅(大袈裟?)を描いた本作。

ある家族を題材に、他者との関係性や向き合い方を“非オーソドックス”に語り掛けてくる手法が、映画の中のお伽噺でもあり寓話的でもあるのが中野作品。今回は「家族とは?」というテーゼに直接的に向き合いながら、理子が「かつての家族」を肯定し、「今の家族」をより愛すべき存在として見つめ直す機会を得たことで、観客もシアワセのお裾分けに与る。

どんな家族に対しても性善説を唱えているかのような優しい眼差しを絶やさない中野監督の流儀に、最後はやっぱり泣かされてしまいました。

 

原作者のお名前をそのまま使用

 

 

 

 

 

パンフレット

  • イントロダクション
  • ストーリー
  • 相関図
  • インタビュー 柴咲コウ
  • インタビュー オダギリジョー
  • インタビュー 満島ひかり
  • キャスト・コメント 青山姫乃/味元耀大/斉藤陽一郎
  • キャスト・プロフィール
  • インタビュー 中野量太(監督・脚本)
  • インタビュー 村井理子(原作)
  • インタビュー 世武祐子(音楽)
  • 押しつけがましくない死の匂い。それはイコール生の匂い 大谷ノブ彦(ダイノジ)
  • 不思議なユーモアを湛えた、愛が詰まった感動作 折田千鶴子(映画評論家)
  • プロダクション・ノート/ロケ地紹介
  • クレジット

チラシ

 

№57
日付:2025/12/13
タイトル:女性の休日 | THE DAY ICELAND STOOD STILL
監督:Pamela Hogan
劇場名:あつぎのえいがかん kiki スクリーン1
パンフレット:あり(\1,300)
評価:6


世界経済フォーラムがジェンダー・ギャップ指数を初めて発表した2006年以降、1位の座を独占し続けている国、アイスランド。

本作はこの国で1975年10月24日に起きたエポックメイキングな出来事を、それを企てた当事者たちへのインタビューと、その歴史的“事件”に賛同しその場に居合わせたアイスランドの女性たちの声を集めたドキュメンタリー作品。

 

ドマーニ!愛のことづて」でも描かれていた「女は黙って家事手伝い」の社会常識は、長年万国共通の問題だったようです。いや、当時の男社会においては問題としてすら認識されていなかったと言うべきか。

アメリカ人のパメラ・ホーガン監督は米国を「ジェンダーギャップ指数では世界42位(2025年)という惨憺たる順位」と嘆いていらっしゃいますが、日本はというと148か国中118位という順位に沈んでいる。

 

日本で男女雇用機会均等法が施行されたのは1986年4月。その翌年に某IT企業に入社し社会人となった私の同期は男性ばかりで、女性社員はというと制服が用意され、お茶汲みも当たり前の一般職採用が大半でした。唯一ひとりだけいたSE職の女性の先輩社員はとても仕事が出来る人だったけれど、昇進面で差別されていたのは明らかだった。女性が総合職採用され始めたのは1990年代に入ってから。遅々とした足取りで今日に至っています。

 

そんなジェンダー“後進国”の一員である私(♂)にとっても、50年前にこの国の女性たちが一致団結して起こした企ては痛快そのもの。銃を手に血を流さずにはいられない男どもの闘争とは異なり、いつの世も女性が主導する“反乱”は実に平和的でもあります。国を変えた自分たちの行動を、ユーモアを交えながら誇らしげに振り返る女性たちに、拍手を送りたくなりました。

 

この歴史的快挙が近隣諸国に与えた影響は小さくなかったと思いますが、はたして同じ事が日本で実現可能でしょうか?当時の人口が21万8千人のアイスランド(現在は39万人)は、いわば「中核市」に指定されている宇都宮市や高崎市、八王子市や横須賀市といった規模に相当します。これに対して日本の人口は当時も今も1億人超え。

SNSなどなかった時代に知恵と工夫を凝らした当時のアイスランドの女性たちを見習って、どこかの市区町村がこんな反旗を翻してはくれないものか・・・そんな期待を抱かせる1本でした。

 

女性初の大統領

 

女性初の最高裁判所長官

 

 

 

 

 

 

パンフレット

  • "THE DAY ICELAND STOOD STILL" & "WOMEN'S DAY OFF"

ー イントロダクション

ー 監督のことば

ー ストーリー

ー プロダクション・ノート Q&A パメラ・ホーガン × フラプンヒルドゥル・グンナルスドッテイル(プロデューサー)

ー スタッフ

ー キャスト

  • ABOUT "WOMEN'S DAY OFF" 「女性の休日」とは

ー コラム 称賛ではなく、連帯を ― 「女性の休日」は何を問うているか 塩田潤(日本学術振興会特別研究員 PD・龍谷大学)

ー HISTORY アイスランドの歴史とジェンダー平等の歩み

ー AT THE TIME 当時の活動、資料

ー SONG Afram stelpur 『進め 女性たち』

ー コラム 条件なき平等のために ― 2016年の「女性の休日」のときのこと 朱位昌併(アイスランド語翻訳家)

ー BOOK 『本当にやる!できる!必ずやる!:アイスランドの「女性の休日」』

  • DEMOCRACY & SOCIAL MOVEMENT

ー コラム 「友・敵」から「友・友」へ ― アナキズムの方法 ブレイディみかこ(ライター・コラムニスト)

ー 次世代アクティビスト座談会

  • SISTERHOOD

ー コラム 浜田敬子(ジャーナリスト)

ー 「女性の休日」プロジェクト ~kinologue配給日記

ー コラム 山内マリコ(作家)

ー SISTERHOOD SYMBOL PATTERN 西村知子(編み物講師・通翻訳者・ニットデザイナー)

チラシ

入場者特典のシール

№56
日付:2025/12/7
タイトル:金髪
監督・脚本:坂下雄一郎
劇場名:小田原コロナシネマワールド SCREEN7
パンフレット:あり(\1,000)
評価:6

 

巷の評判がイマイチなので、直前まで観に行こうか悩みましたが、結論から言うと私は面白かった。観に行ってよかったです。

 

ある日突然、クラスの大勢が金髪で投稿してきたら・・・唐突に始まるこの“事件”に巻き込まれる担任教師市川(岩田剛典)のモノローグ(というか愚痴)に全編支配された本作。教師でありながら教育に1ミリの信念もなく、周りからは能天気に見られがち。空気が読めない一方で、状況把握力と処理能力はそこそこあるので仕事が出来ないわけじゃない。

このキャラクター設定がなかなかに見事で、坂下監督の度重なる推敲の成果ではないかと思えた。また岩田君がこのキャラを絶妙に演じ切ってもいる。

 

この作品の魅力は、一つには主人公市川先生のモノローグと会話劇であって、彼と対峙する彼女だったり大学時代の友人だったり市の教育委員だったりと交わす中身の薄いやりとりを、最後まで楽しめた。これがつまらない人は、本作を選んだことを後悔するしかない。

そしてもう一つは、やはり金髪騒動。市川先生は「これは、金髪の話ではない」と冒頭言い放つも、本作のモチーフであろう校則を巡る対立を、ちゃんと正面から描いてもいる。主犯の板緑(白鳥玉季)と市川の、口が立つ2人が繰り広げるディベートには、横入りしたくもなった。生徒の抗議活動は最後まで興味深く推移し、登場せざるを得ないSNSやマスコミは、どうしても既視感のあるステレオタイプな描写に陥りがちですが、上手いこと脇に追いやっているように思えました。劇中流れる世武裕子さんの挿入曲も印象に残りました。

 

同時期に公開された2本の坂下監督作品を両方観ましたが、私的にはこっちの方が断然面白かったです。

 

 

 

 

 

 

パンフレット   

  • イントロダクション/TIMELINE
  • ストーリー
  • キャラクター相関図
  • キャスト 岩田剛典インタビュー&フォト
  • キャスト・コメント
  • スタッフ
  • 坂下雄一郎監督インタビュー
  • システムに対してアクションを起こすこと 市川の秘めた熱血を覚醒させる「他者」は誰か? 森直人(映画評論家)
  • プロダクション・ノート 制作プロデューサー・インタビュー
  • 「浮上、埋没、ありふれた孤独」 大島育宙(芸人/YouTuber/映画・ドラマ評論)
  • シナリオ
  • クレジット

チラシ