№28
日付:2024/7/9
タイトル:トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代
監督:相原裕美
劇場名:小田原コロナシネマワールド SCREEN6
パンフレット:あり(\1,000)
評価:5.5

 

“トノバン”こと加藤和彦さんについて、かつて彼と公私を共にした人達が語るエピソードを紡ぎながら、その人物像と音楽歴を改めて明らかにするドキュメンタリー。


関係者へのインタビューが大半を占める構成で、ろくにテロップもされないので「この人は誰だったっけ?」と思いながら、知らないおじさん連中(失礼、実はすごい人達)が延々加藤和彦さんについて語り続けるのを眺める事になる。拓郎さんとか松任谷正隆さんとか教授とか高橋幸宏さんとか、ビッグネームもちょいちょい登場する。

 

「帰って来たヨッパライ」がそこいら中で流れていた頃、私はまだ小学校の低学年。ミュージシャンというよりも作曲家としての印象の方が強いのだけれど、本作の予告を観て、昭和という時代を飄々と駆け抜ける彼のカッコよさに惹かれました。

ザ・フォーク・クルセダーズ → サディスティック・ミカ・バンド → ソロという歩みの中で、音楽に限らず時代のムーヴメントの半歩先を行っていたような彼の、その人となりはとても興味深い。彼に関する映像があまり残っていないのか、延々とインタビュー映像が続く事となりますが、それでも飽きはしなかった。

 

それもこれも、私自身が昭和世代だからだと思います。相原裕美監督もほぼ同年代。本作は監督が幸宏さんから「トノバンって、もう少し評価されても良いのじゃないかな?今だったら、僕も話すことが出来るけど」と言われたのが制作のきっかけだったと、パンフレットに記されていました。その幸宏さんも、作中に登場する教授も既に鬼籍に入ってしまった。昭和はいよいよ遠くなりにけり、です。彼にスポットを当てるタイミングとしても、もはや後がない時期だったのだと思います。

 

加藤和彦という“逸材”が残した昭和の名曲「あの素晴しい愛をもう一度」の再現で締め括られる本作。音楽関係者の誰もに一目置かれ、そして愛された人だからこその、「昭和のイカした大人評伝」的ドキュメンタリーでした。

 

©️2024「トノバン」製作委員会

©️2024「トノバン」製作委員会

©️2024「トノバン」製作委員会

©️2024「トノバン」製作委員会

 

パンフレット

昭和なボリュームで、これで千円は高い。再評価とか次世代に伝えたいというのなら、もうちょっとトノバンの軌跡やフィルモグラフィーといった情報をしっかり載せて充実させて欲しかった。

・トノバン伝説を象徴するキーワード
・プロフィール
・キャスト
・インタビュー 坂崎幸之助
・監督メッセージ
・監督プロフィール
・座談会(高中正義 クリス・トーマス 新田和長)
・クレジット

 

ここ数年、小田原コロナワールド全体のリニューアルが進んでいたようですが、2024年夏、シネコンもエントランスが見違えていた。これに加えて、スタッフのホスピタリティ(挨拶や笑顔)も良くなっていると感じます。

 

劇場名:小田原コロナシネマワールド

住所:〒256-0813 神奈川県小田原市前川219-4

劇場スペック:-

最終訪問日:2024/7/9(SCREEN6)

 

メジャーな作品ばかりでなく、都内のミニシアターでやっているような作品も積極的に取り上げてくれているのがこちらとシネプレックス平塚。非常に助かっています。

 

入場:

全席指定。

入場料金とサービスはこちら

※多くのシネコンでペア割引きが廃止されていますが、コロナでは継続してくれています。

メンバーズカード特典はこちら

 

飲食:

ポップコーンのサイズにSサイズがなくて、レギュラー(\500)とラージのみなので、一人で行くと割高で量を持て余す。他のシネコンに比べて味はもうひとつ。

 

座席:

一昔前のシネコンの標準的な快適さを確保。前列との間がやや狭い。傾斜をしっかりと確保しているため前列の客の頭が邪魔になるような事は一切ない。


鑑賞ポジション:

SCREEN1(2018/3/25)
スクリーン広く劇場内はゆったり。L列が丁度良かった。

 

 

シネマ2 横広い

 

SCREEN3(2024/6/27)

H~I列。端もOK。劇場サイズに比べスクリーン大きく観心地が良い。画面サイズ、高さ共にH列が丁度良い。

 

 

シネマ4

 

シネマ5(2016/2/13)

広い、画面も大きくゆったりと楽しめる。一番後ろから数列前でも可かと。G列は丁度良かった。端も問題なし。

 

SCREEN6(2024/7/9)

手狭だがスクリーンは十分な大きさ。高さ的にはI列がベスト。一番右端は出っ張ったスピーカーが鑑賞の邪魔になる。通路枠の4番に座ったところ、階段の青いライトが目に入って鑑賞上の支障を感じた(既に明るさを修正済みだそうですが未確認)。

 

小田原コロナシネマワールド SCREEN6

 

SCREEN7(2024/2/1)

ビスタサイズの作品の場合はG列で高さもサイズ感も良かったものの、シネマスコープサイズの作品だと画面が小さくて途中で席を移動。見上げるもののD列が丁度良かった。

 

 

シネマ8 スクリーンワイドだと小さ目で、一番後ろは微妙。2~3番目が○。左端の最前列は手すり目障りで×。

 

SCREEN9(2022/4/30)

G~H列がベスト。傾斜がかなりあるので前列は全く邪魔にならず。端もOKかな。F列はやや見上げる感じで前過ぎる感あり。

 

小田原コロナシネマワールド SCREEN9

 

シネマ10 スクリーン広め、通路ゆったり、一番後ろがいい。端も大丈夫だが、できれば中央ブロック。

 

 

<コロナの良い所>

・割引サービスが豊富

・独自の上映作品のセレクション

 他のシネコンではあまりやっていない作品を上映

・クレーム対応が迅速

私は映画鑑賞に関しては割とクレーマー気質で、通路の灯りが眩しい、音声がおかしい、パンフレットの扱いが悪い、スタッフの対応が悪い、といった事で再三運営会社にクレームを上げています(劇場ではなく運営会社に)。その際、最も迅速かつ誠意ある対応を実施してくれるのがコロナさん。今回(2021/5/5)も通路のライトが眩しいと連絡すればすぐに現場調査の上対応してくれましたし、開演時間が迫っているのに入口が開いていないとクレームを上げれば即時対応を図ってくれた。

 

<コロナのかつて悪かった所>

・その昔、音声の不具合、映像の不具合がしばしば発生(過去に発生したトラブルはこちら

 2011年7月時点でも、「アンダルシア」上映時に音声不良が一時的に発生しました(シネマ8)。

・飲食物の販売スタッフがパンフレット類の販売も兼務

2021年10月21日。「空白」のパンフレットをお願いしたところ、お姉さんは手袋をしてくれた!これがコロナ禍の一時的な対応なのか、今後要観察です(直近はしてくれなかったりしてくれたり)。

 

№27
日付:2024/6/27
タイトル:碁盤斬り
監督:白石和彌
劇場名:小田原コロナシネマワールド SCREEN3
パンフレット:あり(\880)
評価:5.5

 

白石和彌監督作品初観賞。

役者草彅剛の印象が少しずつ変わってきていて、朝ドラ「ブギウギ」あたりから、とても好感を持つようになっています。この不器用な役者を生かすも殺すも監督あるいはキャスティング・ディレクター次第だと思いながら、白石監督が草薙君とタッグを組んだ本作に興味をそそられました。

 

元彦根藩士、柳田格之進とその娘お絹を巡る物語。

訳あって浪人となり長屋で清貧な暮らしを送る格之進が、碁会所で出会った“好敵手”。ささやかな楽しみを見出した彼に再び降り掛かる謂れなき嫌疑と、明らかになった過去の因縁を前にして、武士の面子を掛けた格之進の「勝負」が始まる。

 

本作観賞後に、落語「柳田格之進」を動画で観賞(個人的には志ん朝さんの一席が一番よかった)。なんで格之進が娘を質入れしてまで50両を用立てるのか、映画の筋立てだけではどうにも腑に落ちない点が腹落ちしました。

この古典落語をベースに、柳田親子の運命や如何に的な展開を巡らせる本作。大晦日という節目の日に全てのオチを手際よく取り纏めた結果が巷の高評価に結びついているような。宿敵柴田兵庫(斎藤工)と相対するシーンは、時代劇の醍醐味でもある殺陣の演出をもっと頑張って欲しかった。碁盤上の対決に比べて少々迫力に欠けるのが残念。あと、台詞の一部に違和感を感じる箇所がありました。

時代劇しか撮らない映画監督さんなんて、今時食べてはいけないのでしょうが、そんな専門職の必要性を感じたりもしてしまいます。

 

 

 

 

番頭見習いの中川大志君が、じれったい役柄を好演

ホント張り倒したくなりました(笑)

 

 

 

 

 

パンフレット

・イントロダクション

・ストーリー

・草彅剛インタビュー

・キャスト・コメント

 清原果耶

 中川大志

 奥野瑛太

 音尾琢真

 市川正親

 斎藤工

 小泉今日子

 國村隼

・ティザーポスター

・白石監督インタビュー

・スタッフ・コメント

 加藤正人(脚本)

 阿部海太郎(音楽)

 今村力(美術監督)

・スタッフ・プロフィール

・レビュー 日本映画の遺伝子を受け継ぐ者 石津文子(映画評論家)

・プロダクション・ノート

・クレジット

チラシ

入場特典のステッカー(こんなの貰っても・・・)

№26
日付:2024/6/23
タイトル:小早川家の秋
監督・共同脚本:小津安二郎
劇場名:TOHOシネマズ小田原 PREMIER
パンフレット:なし ※キネマ旬報社刊「午前十時の映画祭14」(\1,400)あり
評価:8.5

 

1961年に公開された、小津監督の最後から2番目の作品(ちなみに先日観た「宗方姉妹」は「むなかた」ではなく「むねかた」でしたが、本作も「こばやかわ」ではなく「こはやがわ」)。

今でいう“事業継続”が難しくなった造り酒屋を営む一家の物語。中村鴈治郎演じる酒屋の主人の放蕩振りと、それに手を焼く長女夫婦。そこに亡き長男の嫁の再婚話に次女の縁談といったいつもの恋バナを盛り込んだ人間模様を描いた本作。


小津作品で唯一の東宝作品。東宝側の意気込みを受けての事なのか、常連の原さんや笠さんや杉村さんに加えて、やたらと登場人物が多い(当時の“東宝オールスターズ”みたいな感じ?)。wikiによると、撮影スタッフも全て東宝が用意したとの事ですが、そんな環境の違いを感じさせる事なく、それでいていつもの松竹作品とは異なるキャストが新鮮味も醸し出している。今となっては貴重な1本。

 

当然の事ながらこの時期の所謂“小津調”は完成の域にあり、姉妹の立ったり座ったりのシンクロ率の高さに見惚れてしまいます(笑)。

暗く悲しい葬送曲で終えるそのラストは、2週間前に観た「宗方姉妹」とあまりにも対照的。人の死に対する無常観、死生観がストレートに描写されていて、晩年の作品という点も踏まえるとやるせなかった。

 

傷一つない綺麗な映像に、4Kデジタルリマスター版の恩恵をしみじみ感じます。基本保守的な監督さんですが、カラー化だけはもっと早くチャレンジしてくれていたらと改めて思ってしまいました。

 

 

パンフレット代りに購入した「午前十時の映画祭14」のプログラムには、秋子(原節子)と紀子(司葉子)が対照的な決断を下すかのように記していますが、決してそんなことは無い。二人とも自我を通す女性を凛と演じていらっしゃる。

 

この年は月イチペース・・・1月のスタートダッシュは良かったのになぁ。

SF映画の金字塔「未来世紀ブラジル」を劇場で観賞出来たのが最大の収穫。「タイタニック」もこの年。「世界中がアイ・ラブ・ユー」で、久し振りにスクリーンでゴールディ・ホーンにも会えました。

 

1998年鑑賞作品一覧:

01 メン・イン・ブラック

02 エアフォース・ワン

03 世界中がアイ・ラブ・ユー

04 未来世紀ブラジル

05 ラヂオの時間

06 ジャッキー・ブラウン  new!!

07 タイタニック

08 タイタニック ②

09 L.A.コンフィデンシャル

10 イン&アウト

11 プライベート・ライアン

12 マイ・フレンド・メモリー