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WOWOWでHD(高精細)鑑賞、第8弾。大人気二枚目チャン・ヒョク主演ながら、14万人の観客なら多分赤字でしょう、結果的には、ありがちな心理スリラー、「愛の刺(とげ) (原題:刺(とげ))」。

ソファ女子高等学校。体育教師チュンギは、水泳の授業だ。二枚目のチュンギは女子生徒の注目の的だ。その時、女子生徒ヨンウンが一人、高飛び込み台を上っていく。そして一番高い台から、飛び下りる。チュンギはすぐに飛び込み、彼女を救い上げるが、ヨンウンは笑みを浮かべている…引越したりばかりのチュンギのマンション。チュンギがベランダでこっそり煙草を吸っている。臨月の妻ソヒョンに止められているのだ。しかし、ソヒョンは匂いですぐに見破る。ドッジボールの授業で、チュンギは次々と女子生徒に当てていく。退場していく女子生徒の中で、ヨンウンだけは、鮮やかにチュンギのボールを避ける。チュンギが煙草を買いにコンビニに寄ると、ヨンウンがイチゴミルクを飲んでいる。ヨンウンに頼まれて、チュンギは自分のラグビーの試合に連れて行く。ヨンウンが、一人、チュンギのプレーを応援している。ラグビー仲間は美少女の応援に羨ましがっている。学校の水飲み場で、チュンギはヨンウンのヘアピンを拾う。家では、ソヒョンが洗濯物の中からそのヘアピンを見つけ、自分の頭に付けている。突然の土砂降り。チュンギが学校で雨宿りしていると、ヨンウンがびしょ濡れで学校に戻って来て、チュンギは乾いたトレーナをヨンウンに貸し与える。ヨンウンが教室で着替えていると、ジッパーが閉まらないとチュンギを呼ぶ。突然、雷鳴が轟く。チュンギは、思わずヨンウンを抱きしめ、激しく唇を重ねる。その時、警備員が巡回に来る。二人は慌てて机の下に隠れ、チュンギは声を出さないようにヨンウンの口を手で塞ぐ。警備員が去ると、ヨンウンはぐったりしている。そこへ、妻ソヒョンが傘を持って訪ねてくる。チュンギは、ヨンウンのことが気がかりだが、何気ない顔をして、妻と学校を出る…チュンギの危険な日々が始まったのだ…

女子校体育教師キム・ジュンギに、エンタメからアートまで幅広い演技派で大人気二枚目のチャン・ヒョク、女子高校生ハ・ヨンウンに、殆ど新人と云っていいんでしょうチョ・ボア、チュンギの臨月の妻ソヒョンに、印象的な個性派脇役ソヌ・ソン、チュンギの同僚教師ミンジュに、殆ど知らないながら相当な美形イ・ドア。

女性による異常な執着を描くのは、韓国映画では「下女」「魚座」、ハリウッドでも「ミザリー」「白い肌の異常な夜」とか決して珍しくはありませんが、この作品も、かなり上質の怖い思いをさせます。特に、ラスト30分前までの、イチゴミルク、ヘアピン、SNS、指輪とか、さりげないもので怖がらせる展開は、かなりの凄技でしょう。このまま最後まで貫けば、ひょっとしたら五つ星にしたかもしれません。ただ残念ながら、ラスト30分は、個人的にはお馴染み在り来りの展開になってしまうので、全体に印象の薄い作品になった感じです。役者では、チャン・ヒョクの魅力は圧倒的ですが、女子高生役チョ・ボアと妻役ソヌ・ソンに、若干奥行きが足らない感じが拭えません。単なる個人的趣味の問題かもしれませんが、もう少し尖った個性的なキャスティングをした方が良かった、という感じが残ります。

中盤まで心理スリラーとして上出来ではありますが、結果的には、チャン・ヒョク目当て、しかも怖いもの大丈夫、って観客限定の作品に留まっていると思います。赤字も止むなしでしょう。

余談ですが、ここまで、WOWOWでHD(高精細)鑑賞、として未見の作品を観てきましたが、ここでネタ切れです。未見以外では、ソン・イェジン「殺人の疑惑 (原題:共犯)」、ハ・ジョンウ「テロ、ライブ」、ソル・ギョング「監視者たち」、オム・ジョンファ「悪魔は誰だ (原題:モンタージュ)」、キム・ユンソク「チェイサー (原題:追撃者)」、コン・ユ「サスペクト (原題:容疑者)」、ソン・ガンホ「観相師 (原題:観相)」などがHD放映され、録画をつまみ食いで観ている範囲でも、HDの凄い威力を感じます。役者の存在感、画面作りの巧さ、映画美術の職人技、などが際立ち、かなり作品の質を上げると云って良いでしょう。そうそう韓国映画をHDで観る機会が多いわけではありませんが、Blu-rayリリースも少しずつ増えており、できる範囲でHD鑑賞に努めたいと思ったりしています。ちなみに「監視者たち」、ハン・ヒョジュはもはや彼女自身が美術品、ロケも実に緻密で美しく、HDで観てたら五つ星にしてたに違いありません。