こんにちは。
忠孝酒造で蔵見学を担当している井上です。
ブログへの訪問ありがとうございます。
あなたに感謝ですっ
9月3日に行われた【古酒の日の講演会】
のお話です。
このブログでも何度も登場しているトロピカルテクノセンターの塚原さんの講演内容をお話します。
登場記事、例えばこちら↓
【トロピカルテクノセンターの野望】
講演の内容をカンタンに言うと、
仕次ぎを行うことで古酒の香りが高まるよ
ということです。
正確には、バニリンという甘い香りの量が仕次ぎをすることで高くなったという話です。
こんな感じ↓
グラフをクリックすると拡大します。(携帯の人はご勘弁)
青い線が、仕次ぎをしなかった場合のバニリンの量です。
赤い線が、仕次ぎを行った場合です。
(赤い線がギザギザしているのは、新酒を加えてバニリンが薄まったからです。)
そうそう、下の記事をまだ読んでいない人は読んでからのほうが理解しやすいかもです。
こちら↓
【泡盛古酒の甘い香りの正体】
バニリンは熟成中に増えていくんですけど、仕次ぎを行わないと1年半~2年でそれ以上増えなくなります。
これは、バニリンへ変化する4-VGという成分がなくなるからなんです。
そこで新酒の泡盛を入れる(4-VGを補充する)と、バニリンが増えます。
仕次ぎを繰り返すことでバニリンをどんどん増やすことができるわけです
今回はバニリンという成分に着目しましたが、そのほかの古酒の香り成分についても同じことが言えるはずです。
今後の研究に期待ですね
では、一度に仕次ぎ(補充)する量はどのくらいがいいのかということですね
これも、きちんと報告されていて(←さすが塚原さんです)
10%
だそうです。
「今回の実験では・・・」とおっしゃっていたので絶対とは言えませんが、妥当なところだと思います。
なぜかって話は少し難しくなるかもしれませんが、がんばって書いてみます
4-VGからバニリンへ変化する割合を変換効率って言います。
例えば4-VGが10個あって、そのうち2個がバニリンになったとしたら変換効率は20%です。
で、この変換効率は4-VGが少ないほど高いということが分かっています。
そうなると、たくさん4-VGを補給する(新酒を多く仕次ぎする)より、少なく仕次ぎした方がいいということになります。
でも、あまり仕次ぎの量が少ないと4-VGも少ないのでバニリンがほとんど増えません。
ちょうどいいバランスが10%ということになります。
伝わったでしょうか
今回の話をまとめます。
仕次ぎをすることで、バニリンの量を増やすことができます。
仕次ぎは1年から1年半に一回行うとよいです。
仕次ぎの量は全体の10%が目安です。
ちなみに、この研究で使われた泡盛はこちらです↓
研究で使われた泡盛
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