Chrisのナルホド医療の木 -2ページ目

tree9. 頭痛② 頭痛のタイプ別 しくみと対策

今回は、前回紹介した各タイプの頭痛における、成因と対策についてお話します。

 

緊張型頭痛

どんなしくみ?:このタイプの頭痛は、精神的なストレスと身体的なストレスが原因で起こります。ストレスにより、頭をとりまく筋肉が持続的に収縮します。そうなると、筋肉の血液の流れが悪くなり、老廃物がたまります。老廃物がたまると、コリの状態となり、痛みが起こります。で、頭が痛いとますますストレスになり、筋肉の収縮や血流の悪化が起こります。こういった悪循環ができあがり、だらだらと頭痛が続くわけです。

ストレス→筋肉の収縮→血流悪化→こり→頭痛→ストレス→… といった感じですね。

 

対策A:「ストレスをためない

まず精神的なストレスをためこまないことです。自分にあったリラックス法をみつけましょう。

ストレスと戦おうとしないことが、ストレス対策の第一歩とも言われています。うま~くストレスとつきあっていきましょう。

仕事や勉強はあまり根をつめず、適宜休憩をとるようにしましょう。

適度な運動もいいです。散歩やジョギングなど、長続きしそうなものをみつけてください。

入浴や、適度な飲酒もいいでしょう。

 

対策B:「筋肉の負担をかけない

うつむき姿勢、前かがみ姿勢はやめましょう。くびの筋肉に負担がかかります。

一定の姿勢を長時間とるのもやめましょう。

また、枕が高いのもダメです。やはり首の筋肉に負担がかかります。

低反発まくら」って知ってます?わたしも愛用してますが、これはいいですよ!

筋肉のマッサージや入浴もいいですね。

ストレッチには、以下のようなものがあります。

首…前後にゆらゆらと前後屈させる。

肩…肩を上げ下げする。肘と肘を背中であわせるように胸をはる。肩をまわす。

 

対策C:「筋肉をあたため、血流をよくする

温シップや入浴、適度な飲酒は、血流を改善して頭痛をやわらげます。

シャワーで首の後ろを「打たせ湯」にするのもいいですね。

 

対策D:「ツボ療法

天柱(てんちゅう)
首の後ろ、髪の生えぎわにある、2本の太い筋肉の外側のくぼみのことです。両手で頭を後ろから抱え込むようにして、親指でツボを刺激すると、首のこりがほぐれます。

 

片頭痛

どんなしくみ?:この頭痛のメカニズムはまだ不明なことが多いのですが、次の3つの説があります。

(1)血管説…なんらかの原因で、血液中の血小板からセロトニンという物質が放出されると、一時的に血管が収縮します。これが、片頭痛の前兆を起こすといわれています。血管収縮を引き起こしたセロトニンが減少すると、逆に血管の緊張が解けて、血管が拡張します。拡張した部分が血管を引っ張るため、痛みが起こる、というわけです。

(2)神経節…なんらかの原因で、脳の特定の部位に神経活動の抑制が起こり、周囲に広がって前兆が起こります。 さらに頭部を支配する三叉神経が刺激されて、頭痛が起こる、という説です。

(3)三叉神経血管説…なんらかの原因で、血管の周りの神経(三叉神経)が刺激されます。三叉神経の終末から、痛み物質が頭の血管に放出されます。その結果、血管の拡張と炎症が起こり、痛みが生じる、という説です。

 

対策A:「ストレスをためない

これは緊張型頭痛と同じです。

 

対策B:「興奮しない

興奮したり、怒ったり、長風呂や運動は血管を拡張させて、片頭痛を起こしやすくしてしまいます。

 

対策C:「アルコールは飲みすぎない

アルコールも血管拡張の作用があり、片頭痛を起こしやすくします。特に赤ワインがもっとも片頭痛を起こしやすく、蒸留酒は起こしにくいといわれています。

 

対策D:「食べ物に注意

特定の食べ物が片頭痛を起こしやすくするといわれています。ハムソーセージに含まれている亜硝酸塩や、中華料理に使われるグルタミン酸ソーダ、などがそうです。「ホットドッグ頭痛」という言葉もあります。

また、チーズチョコレートの食べすぎにも注意しましょう。

 

対策E:「痛む場所を冷却する

血管の拡張や炎症をおさえる効果があるので、アイスノンやヒエピタなどで痛む場所を冷やしましょう。

 

対策F:「はちまきをする

原始的な方法ですが、拡張した動脈をおさえる効果があります。

 

対策G:「コーヒーなどでカフェインをとる

カフェインも、血管を収縮させる作用があります。

 

群発頭痛

どんなしくみ?:この原因はいまだ不明です。片頭痛と同様、血管性の頭痛だといわれています。とくに内頚動脈が腫れて痛む、といわれています。

 

対策A:「深呼吸

窓をあけて、深呼吸を繰り返しましょう。がまんできなければ、病院に行って酸素吸入をすることです。

 

対策B:「痛む場所を冷却する

片頭痛と同様の理由です。

 

対策C:「この期間の飲酒と長風呂は禁止

これはもう、おわかりですね。

 

混合型頭痛

どんなしくみ?:緊張型頭痛の原因であるストレスが片頭痛をまねいたり、緊張型頭痛が片頭痛の誘引となっている、といったことが考えられています。

この頭痛の場合、まず緊張型頭痛を治す方向で治療し、緊張型頭痛の症状を軽くすることによって、片頭痛の現われ方をはっきりさせます

 

今回はここまでにします。次回は、頭痛の薬物療法について紹介します。

tree8. 頭痛① 頭痛の鑑別診断

外来でも訴えの多い頭痛、日本人の4人に1人は頭痛もちといわれているほど。そしてわたしもたま~に頭痛があります。実は今も…(--;)

さて、今回は頭痛について紹介しましょう。

 

頭痛と一言にいっても、すぐに病院にかかってもらいたい危険な頭痛があります。

実際わたしが当直や外来をやっていて、もう少し判断が遅かったり、来院するのが遅かったら…、と冷や汗をかくこともあったので、危険な頭痛から紹介しますね。

 

まず、以下のような症状があれば、たとえ夜中であろうとすぐ病院に、しかも脳神経外科のある病院に行ってください


①いままでに経験したことがない頭痛

②突然におこる頭痛

③強烈な頭痛

④直近1ヵ月以内の間にだんだんにひどくなる頭痛

⑤いきばったり、頭をふるとひどくなる頭痛

⑥高熱を伴う頭痛

⑦神経や精神の異常を伴う頭痛

   視力が弱ったり、見えない部位がある

   意識がおかされたり、言うことが変

   人柄がかわってしまった(例: だらしなくなった、物事に無関心になったなど)

   ボケを伴う 

   手足が不自由になった、麻痺やしびれを伴う

   言葉がしゃべりにくい

   めまい、ふらつきがある

   けいれんを伴う


 これらの症状があると、くも膜下出血髄膜炎脳腫瘍慢性硬膜下血腫といった、命に関わる重篤な病気にかかっている可能性があります。すばやい対処が必要なので、自分で判断せず、専門家に任せてください。

特に、くも膜下出血は激しい痛みを呈する、というのが特徴ですが、頭痛がひどくない場合もあります。

わたしも実際の診療で、普通に受け答えのできる軽度の頭痛患者を、念のためと思い脳神経外科に搬送した(当直先は、夜間CTが撮れないところだったので)ところ、立派なくも膜下出血だったことがあります。これには冷や汗かきました(-o-;)

 

さて、急性の頭痛はすぐ病院に行くこととして、慢性頭痛、いわゆる頭痛もちのタイプについて紹介します。

頭痛もちの方、以下のようなcheckで自分の頭痛の種類を調べてみましょう。

 

<< 頭痛チェック >>
締め付けられる・圧迫されるような重い痛み ズッキンズッキンと痛む 非常に激しい、えぐられるような痛み
頭の両側が痛む 頭の片側が痛むことが多い 片側(常に同じ側)の目の奥が痛む
ストレスや細かい仕事の後などに起こる 動くと痛みが増す 夜、痛みで目が覚める
痛む部分をマッサージするとラクになる 吐き気がしたり、光や音をわずらわしく感じる 涙が出たり、目の充血を伴う
ストレッチをしたり、お風呂にはいったりするとラクになる 頭痛の前にキラキラしたものが見えたり、視野がぼやける 痛みは30分から2時間ほど続く
毎日うっとうしいが寝こむほどではない 痛みは数時間から3日間ほど続く 1~2ヵ月の間、毎日のように痛み、それが終わるとなんともなくなる
<< 診 断 >>
が多かったあなた… 緊張型頭痛
が多かったあなた… 片頭痛
が多かったあなた… 群発頭痛
がほぼ同数だったあなた… 混合型頭痛

北里大学医学部内科学講師医学博士  五十嵐久佳 先生の文献からいただきました。

 

ではそれぞれの頭痛のタイプを紹介します。

緊張型頭痛…頭痛の原因の7~8割を占めるといわれています。中高年に多く、女性にも男性にもみられます。

頻度:いつとはなしに始まり、だらだらと持続します。それぞれですが、一週間から10日以上続くことが多いです。

部位後頭部から首筋にかけて。頭全体、はちまき様のこともあります。多くは両側性で、肩こりや顎関節症を伴なうことが多いです。

痛みの特徴圧迫感、緊迫感、頭重感が特徴です。

「頭にワッカをはめられて、ギュ-っとしめつけられるような」

 「はちまきをしているような」

「帽子をかぶされているような」

「頭に重石を載せられているような」

という表現が多いです。

拍動性(心拍に同期した痛み)は原則的には ありません。

頭痛の程度:軽度~中等度で日常生活への影響は軽度です。仕事は続けられます。

頭痛に伴う症状

  目がつかれたり、体のだるさや、ふわふわしためまいを伴います

  片頭痛の特徴である吐き気や嘔吐、音や光に対する過敏は原則としてありません。

 

片頭痛…成人の1割弱(8%)が片頭痛もちといわれています。 女性に多い頭痛で(男性の4倍)、

最盛期は30歳代です。片頭痛の1/4は子供のときからすでに始まっていて、ほとんどが30歳までに発病しています。

頻度: 発作的に月に1~2回、少なくて年数回、多いときで週に1回程度、繰り返し繰り返し起こります。 4時間から3日間ほど持続するといわれています。

部位:頭の片側のこめかみから眼のあたりに起こり、ひどくなると頭全体が痛みます。 片頭痛という病名にもかかわらず4割の方が両側の頭痛です。 後頭部が痛む片頭痛もあります。

痛みの特徴

脈打つように痛みます。「ズキンズキン」「ズキズキ」「ドクドク」「ガンガン」 という表現が多いです。

「頭の中に心臓があるようだ」といわれる方もおります。

痛みがひどくなると拍動感がなくなり、持続的な痛みとなります。

頭痛の程度: 「日常生活がとても続けられない」ほどの強さです。仕事が手につかず、ひどいと寝込んでしまいます。 「階段の昇降など日常的な動作により頭痛が増悪する」というのも片頭痛の重要な診断根拠です。

マッサージや入浴、体操は片頭痛を悪化させます。これが緊張型頭痛と大きく違います。

頭痛に伴う症状:しばしば吐き気や嘔吐を伴います。 片頭痛の最中は光や音に過敏になります。

光がまぶしくて仕方がなくなり、まわりの音や声ががんがんと頭に響きます。 臭いにも敏感になります。

光が見える前触れを「前兆」といいます。

また、片頭痛を起こしやすい体質は遺伝する(特に母親)といわれており、母親が片頭痛だと、子供の半数に片頭痛が現れる、ともいわれています。

 

群発頭痛…いったん起こると連日のように続く地震のことを「群発地震」といいますが、それと似たような頻度で起こる頭痛のことを群発頭痛といいます。20~30歳代の男性に多いタイプの頭痛です。

頻度:群発期は年に1~2回、あるいは2~3年に1回にあらわれ、その期間が過ぎれば頭痛は起こりません。 1日1回、隔日~1日8回の幅で起こります。 1回の頭痛は、1時間程度で自然に治ります(15分~3時間の幅で起こります)。

部位片方の眼、眼の上、こめかみのあたりの、だいたい決まった側に起こります。

痛みの特徴睡眠中に起こりやすく、明け方の痛みで目をさますことが少なくありません。

痛みの程度頭をかかえてころげまわるほどの強さで、じっとしていられません。(片頭痛だと身動きがとれません)

頭痛に伴う症状: 発作中、頭痛の側の眼が充血したり、涙が出たり、鼻が詰まったり、鼻汁が出たり、
顔に汗をかいたり、まぶたがさがったり、脹れたりすることがあります。

片頭痛と違って吐き気や嘔吐はあまりありません

 

混合型頭痛…緊張型頭痛と片頭痛が混在している状態です。

頻度:慢性的な頭痛に加え、強い発作的な頭痛が数ヶ月に数回起こります。

部位:普段痛む場所とは異なるこめかみ辺りにも、強い頭痛が時々起こります。

痛みの特徴:普段のワッカで締めつけられるような頭痛とは異なる、拍動性の強い頭痛が時々起こります。

痛みの程度:拍動性頭痛のときは、痛みが強くて動けないときがあります。

頭痛に伴う症状:拍動性の強い頭痛のときに、吐き気がしたり、音や光に敏感になることがあります。

 

と、こういったところですね。

今回はここまでにしておきます。次回は、それぞれの頭痛の対策について紹介します。

tree.7 高脂血症④ コレステロールと死亡率

え~、今回は、コレステロールと死亡率の関係についてお話しようと思います。

ただ、この内容はよく読まないと、ちょっと混乱するかもしれません。

 現在、日本動脈硬化学会が打ち出している高脂血症ガイドラインは、以下のとおりです(デカイよ…)。

 

患者カテゴリー 脂質管理目標値(mg/dL) その他の冠危険因子の管理
  冠動脈
疾患*
LDL-C以外の
主要冠危険因子**
TC LDL-C HDL-C TG 高血圧 糖尿病 喫煙
A なし 0 <240 <160 ≧40 <150 高血圧学会の
ガイドライン
による
糖尿病学会の
ガイドライン
による
禁煙
B1 1 <220 <140
B2 2
B3 3 <200 <120
B4 4以上
C あり   <180 <100
TC:総コレステロール、LDL-C:LDLコレステロール、HDL-C:HDLコレステロール、TG:トリグリセリド

* 冠動脈疾患とは、確定診断された心筋梗塞、狭心症とする。
** LDL-C以外の主要冠危険因子
  加齢(男性≧45歳、女性≧55歳)、高血圧、糖尿病(耐糖能異常を含む)、喫煙、冠動脈疾患の家族歴、低HDL-C血症(<40 mg/dL)

 

ところが最近、コレステロールがやや高めのほうが長生きする、とのデータがでてきているのです。

これが新聞でも掲載され、これではコレステロールを下げたほうがいいのかどうか、みんな混乱してしまうだろうと思い、取り上げました。

 

ではまず、コレステロールが高めのほうがよい、とする意見から紹介しましょう。

 

上島らによる約1万人の全国調査…14年間の総死亡と総コレステロール値との関係をみたもので、5年以内の死亡は除外。男女とも、総コレステロール値240~260mg/dlの例での総死亡率がもっとも低い

内藤らによる約一万人の大阪府八尾市の調査…11年間の総死亡と総コレステロール値の関係をみたもの。2年以内の死亡は除外。男女合わせると、総コレステロール値240~280mg/dlの例での総死亡率がもっとも低い

大阪府守口市の約一万六千人の調査…5年間の総死亡と危険因子の関係をみたもの。総コレステロール240~260mg/dl群の死亡率がもっとも低い。

 

なんだかこういったデータをみると、コレステロールの基準(220mg/dl以下)は間違っているのか、と疑問に思う方も多いと思います。

コレステロールがやや高めのほうが死亡率の低い原因としては、

 

(1)日本人は、欧米と比べて虚血性心疾患の死亡率が少ないので、コレステロールを下げて心疾患を予防しても、死亡率との関わりが低い可能性がある。

(2)コレステロール値が下がると、脳梗塞は減少するが、脳出血は増加する。

(3)日本人の死因の1位はがんであり、特に消化器がんの死亡が多い。高コレステロール血症治療薬が、がん死を増やすという報告がある。

などがあります。

まとめると、欧米に比べて、心疾患よりも消化器がんによる死亡が多い日本では、高コレステロールに対する治療は、循環器死亡を減少させても、総死亡を上昇させる可能性がある、ということです。

 

では、これに対する反対意見を紹介します。

 

A.低コレステロールの死亡率増加は、肝疾患と脳出血が関与している。低コレステロールは、肝疾患の原因ではなく、結果によるものと考えられる。

 

B.脳出血は、脳梗塞に比べて発症がずっと少ない(約三分の一)ので、脳出血の増加が死亡率の増加の主な原因とは考えられない。

 

C.がんが日本人の死亡率の1位ではあるが、コレステロールを抑えることは、2位の心疾患と3位の脳卒中(中でも脳梗塞はダントツ)の減少につながる。

 

D.食生活の欧米化のすすむ日本は、これから欧米の死因に近づいていく、つまり虚血性心疾患が増加する可能性がある。

 

コレステロール値の細かい基準については、さらに詳細な調査が必要であり、これからも論争があることと思われます。

ですが、これまでのシリーズで述べた食生活や、運動・禁煙は、他の高血圧、糖尿病といった生活習慣病の予防にもつながります。

コレステロールを下げようとする生活習慣が、より健康的な生活をサポートするのは間違いありません。

 

では、以上で高脂肪血症のシリーズを終了します。

tree.6 高脂血症③ 高脂血症の食事療法

検診でよく相談を受けるのが、この高脂血症の食事療法です。脂肪分を控えめに、食物繊維を多めにとるのが基本ですが、一言にそういっても、いろいろ気をつけることがあります。

 

まず、脂肪酸には大きく次の3つに分かれます。

 

飽和脂肪酸…肉・バター・パーム油(植物油の一種)などに多く含まれます。摂りすぎると、肝臓でコレステロールの形成が促進され、悪玉コレステロールを増やしてしまいます。

 

多価不飽和脂肪酸リノール酸、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)が代表。リノール酸サフラワー・サラダ油などの多くの植物油や、ごま・松の実などの種実に含まれます。EPAすじこ、はまち、いわしなどに含まれます。DHA本マグロ脂身、まだい、ぶりなどに含まれます。悪玉コレステロールを減らし、動脈硬化の原因となる血栓の生成を防ぎます。でも、リノール酸を摂りすぎると、悪玉だけでなく、善玉コレステロールまで減らしてしまうと言われています。

 

一価不飽和脂肪酸オレイン酸が代表。オリーブ油やサラダ油、ヘーゼルナッツなどに多く含まれています。多価不飽和脂肪酸と同様、悪玉コレステロールを減らしますが、善玉は減らさない、という報告もあり、最近注目をあびています。

 

コレステロールが高い方は、オレイン酸を含む油で調理してみてはいかがでしょうか。もちろん、だからといって摂りすぎはいけません。

飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸は1:1.5:1の割合で摂取することが望ましい、といわれています。

 

では、コレステロールが高い人の具体的な食事療法を紹介していきます。

コレステロールは、1日に300mg以下に抑えたいものです。

まず、以下のような食品にコレステロールが多く含まれています。

 

食品名
1食あたりの使用量
コレステロール量
卵黄 約22g(1個分)
286mg
子持ちシシャモ(輸入) 50g(3~4匹分)
170mg
いか刺し身 50g
150mg
するめいか 25g(1/4枚程度)
245mg
車えび(養殖) 50g(約1匹分)
95mg
うなぎ 50g
120mg
しらす干し 5g(大さじ1杯程度)
12.5mg
鶏レバー
50g
185mg
若鶏もも肉(皮付き)
50g
47.5mg
たらこ
15g
51mg
すじこ
15g
76.5mg
バター
10g
21mg
マヨネーズ
10g
20mg
カステラ
50g
95mg

 

卵は料理によく使われるもので、ついつい摂りすぎてしまうのですが、コレステロールを多く含む食品です。でも、卵は良質のたんぱく質やビタミンA、B2が豊富なので、やっぱり摂取しておきたいものです。コレステロールの高い方は、1~2日に1個ぐらいがいいでしょう。

 

想像はつくと思いますが、バター・マヨネーズやドレッシングもコレステロールが多いです。なるべくこのような調味料は控えましょう。

 

上記で紹介したように、魚類に含まれる脂肪酸はコレステロールを減らす働きがあるので、1週に3~4回は魚メインの食事にしてみましょう

 

野菜に含まれるビタミンやミネラルは、血管の老化を防いだり、動脈硬化の予防につながります。海藻類やきのこ類に含まれる食物繊維は、腸内でコレステロールや中性脂肪・糖質を吸着して一緒に排泄させる働きがあります。これらを多く摂るようにしましょう。(一日の野菜摂取量は300gです)

 

腎臓に病気のある方以外は、しっかりたんぱく質を摂るようにしましょう。特に大豆製品がおすすめです。コレステロールを下げる働きがあることが、動物実験で言われています。

 

そしてもちろん、糖分の摂りすぎにも注意しましょう。糖質は中性脂肪を増やします。糖分と脂肪分をもとに肝臓でコレステロールを生成するので、コレステロールの上昇につながります。

 

前々回に、善玉コレステロールの低い低HDL血症についてお話しましたが、善玉コレステロールが低い場合の食生活はどうすればいいのか、これも質問をうけることがあります。

上記で紹介した、一価不飽和脂肪酸や多価不飽和脂肪酸を含むいわしなどの青魚、オリーブ油を使った料理、またオレイン酸を含むアボガドなどがおすすめです。また、適量のアルコールも善玉を増やすといわれています

 

どうしても肉類が多くなってしまう方は、しゃぶしゃぶや網焼きなど、なるべく脂肪をおとす調理法にしてみてください。

 

以上のことに気をつけて、ふだんの食生活から改善していくことが大切です。

今回はここまでにします。次回は、高脂血症についてのいろんなトピックスについて紹介します。

tree 5. 高脂血症② 動脈硬化

前回は、高脂血症とはどういったものか、総論を紹介しましたが、今回は高脂血症が引き起こす動脈硬化について紹介します。

動脈硬化とは、血管の内側の壁に脂質、繊維、カルシウムなどが蓄積して、血管がかたくなってしまう状態です。これが進行すると、血管の壁が盛り上がってきて、血管が細く、もろくなってしまいます。最終的には、血管がつまったり、破裂したりして、命にかかわる事態にもなることがあります。


動脈硬化には次の3つのタイプがあります。

アテローム硬化(粥状動脈硬化)…脳や心臓などの太い動脈内にコレステロールなどが沈着し、おかゆのようなかたまりができて、血管が細くなり、血流がわるくなります。血管が完全に詰まってしまうこともあります。

細動脈硬化…脳や腎臓などの細い動脈が狭くなり、血管の壁に傷がついてしまう。

中膜硬化…腕や太ももの動脈壁の内層(中膜)が石灰化する。


では、動脈硬化とコレステロールがどうかかわっているのか、代表的なアテローム硬化を例に、説明していきますね。

まず、血管の内側の細胞にすき間があいたり、傷がついたりすると、悪玉コレステロールがその傷口を防ごうと集まってきます。善玉コレステロールは、集まりすぎた余分な悪玉コレステロールを回収して、肝臓に運びます。

善玉コレステロールが悪玉を回収しきれないと、悪玉コレステロールは細胞(内膜上皮細胞)のすき間や傷口から、血管の内膜に入り込んで、血管の奥の壁を傷つけます

また、細胞のすき間からはカルシウムや血小板も内膜に入り込みます。血管の奥の傷口からも細胞が入り込んで、ドロドロとしたお粥状になって、膨れ上がっていきます。

最終的には、細胞のすき間は血小板によってふさがれるのですが、これが血管をつまらせるフタにもなりうるのです。

簡単にいうと、悪玉コレステロールと善玉コレステロールのバランスが悪いと、血管の細胞の傷口からいろんな物質が入り込んで、ドロドロしてしまう、ということです。


さてさて、高脂血症と診断されたら、その裏にある病気がないか、チェックする必要があります。糖尿病や腎臓病、甲状腺などの病気によって、高脂血症となっている場合があるのです。この裏の病気がある場合、動脈硬化が急速なスピードで進行する、といわれています。

糖尿病…血糖がふえると、悪玉コレステロールが変性しやすくなり、脂質の代謝異常を引き起こします。糖尿病によって高インシュリン血症になると、血管の壁にコレステロールを蓄積しやすくします。

慢性腎炎…経過中に起こるネフローゼ症候群では、尿に排泄されるたんぱく質の代わりに血液中のコレステロールが上昇し、動脈硬化を促進します。

甲状腺機能低下症…甲状腺ホルモンは血液中のコレステロールを低下させる働きがあるので、甲状腺機能が低下すると、動脈硬化を促進します。

高脂血症と診断されたら、こういった病気がかくれていないか調べる必要があるのです。


今回はここまでにしておきます。次回は、高脂血症の予防についてお話します。

tree 4. 高脂血症① 高脂血症ってどんな病気?

検診をやってて、よくひっかかるのがこの高脂血症。なんでも、30歳以上の男性の約29%、女性の約34%がコレステロールが高い、と言われています。

この高脂血症について紹介したいことがたくさんあるので、何回かに分けてお話しますね。

まず今回は、高脂血症の病態について紹介します。

 

高脂血症とは、血液の中の脂質が異常に多い状態のことで、この脂質には、コレステロール中性脂肪(トリグリセライド)、リン脂質、遊離脂肪酸などがあります。

この中性脂肪やコレステロールが増えると、血液はドロドロと粘り気を帯びるようになり、流れにくくなります。この状態が続くと、血管がつまって動脈硬化となってしまいます。

動脈硬化になると、脳梗塞狭心症、心筋梗塞、腎臓病、足壊疽(足の血管がつまり、足の細胞が死ぬ)などを引き起こしやすくなります。

この心臓病や脳血管障害は、日本三大死因のうちの2つですね(あと1つは癌)。

つまり、高脂血症を放っておくと、命取りな病気にかかりやすくなってしまうのです

 

自覚症状がないので、検診や人間ドッグで血液検査をした際に見つかる場合が多いです。

逆にいえば、よっぽど進行しない限り症状がでないので、血液検査をしないとみつからないのです。

基準は以下のとおりです。

 

総コレステロール:220mg/dl以上

LDL(悪玉)コレステロール:140mg/dl以上

中性脂肪(トリグリセライド):150mg/dl以上

HDL(善玉)コレステロール:40mg/dl未満

 

このどれにひっかかっても、高脂血症といわれます。

そう、ひとことに高脂血症といっても、いろんなパターンがあるのです。

まずは、この脂質のはたらきを紹介しましょう。

 

①コレステロール…なんだか悪いイメージをもたれがちですが、これ自体は体にとって重要な役割をしています。細胞膜をつくったり、ホルモンの材料となったり、胆汁酸の材料となって消化を助けたりします。

悪玉とか善玉とか聞いたことがあると思いますが、これらはまったくの別物ではありません。

「コレステロール+中性脂質+アポたんぱく質+リン脂質」の結合の割合によって、悪玉と善玉に分かれるのです。材料自体は一緒なんですね。

 

②悪玉コレステロール肝臓からコレステロールを運び出し、各組織の細胞に届ける配達屋さんのようなはたらきをします。この量が多すぎると、コレステロールが血管にたまってしまいます。

 

③善玉コレステロール体の中の余分なコレステロールを回収して、肝臓へ戻す回収屋さんのようなはたらきをします。この量が少なすぎると、余分なコレステロールを回収できず、やはり血管にコレステロールがたまってしまうのです。

 

④中性脂肪…体温を一定に保ったり、体を動かすエネルギー源になるものです。体内で完全燃焼すると、1gあたり約9kcalのエネルギーになるといわれています。ちなみに、たんぱく質や糖質は1gあたり約4kcalです。中性脂肪が増えると、善玉を減らし、悪玉が増える、といわれています。

 

⑤脂肪酸…そのまま体内ですぐに使えるエネルギーになります。

⑥リン脂質…脂質など、体内の水に溶けない物質を水になじませます。

 

では、代表的な高脂血症のタイプを紹介しましょう。

 

<中性脂肪がとくに高いタイプ>

もっとも出現頻度の高いタイプです。甘いものやアルコールのとりすぎなど、生活習慣が原因のことが多いです。動脈硬化のほか、膵炎や脂肪肝、胆石症にかかりやすいといわれています

 

<中性脂肪と悪玉コレステロールが高いタイプ>

日本人の高脂血症の約20%を占めます。肉類やスナック菓子に含まれる脂肪やコレステロールのとりすぎ、食物繊維の摂取不足が原因のことが多いです。

動脈硬化のほか、心筋梗塞、狭心症などの心臓病を起こしやすい、といわれています。

 

<善玉コレステロールが少ないタイプ>

糖質、脂肪、アルコールをとりすぎると、中性脂肪や悪玉コレステロールが増え、善玉コレステロールが少なくなるといわれています。運動不足や喫煙、また、極端なダイエットでも、善玉コレステロールは減ってしまいます。

 

今回はここまでにしておきます。

次回は、高脂血症が引き起こす「動脈硬化」を中心に、お話しようと思います。

tree 3. 骨粗しょう症の予防と対策

今回は、骨粗しょう症の予防についてお話しします。

わたしの診ている患者さんの中には、ちょっとしたことで骨折しやすかったり、背骨や腰骨の痛みをず~っと抱えている人も少なくないです。

レントゲンをとると、やっぱり骨はスカスカ…。

さてさて、この骨粗しょう症ですが、お年寄りの病気と思われがちですが、実は若い人ほど気にしてもらいたい病気なのです!!

 

個人差はありますが、骨量は10代後半にピークを迎えます。このときの骨量が多い人ほど、骨粗しょう症になりにくいと言われています。

逆に、このときの骨量が少ないと、その時点で骨粗しょう症の予備軍になってしまうのです。

この10代後半の時期に拒食症にまで至った場合、その後体重が増えてきても、骨量は減少し続けたという例もあるので、この時期のダイエットは注意が必要です。

 

そもそも、骨をつくるカルシウムは、日本人にとって唯一不足している栄養素です。

厚生省が定めたカルシウムの1日所要量は、30才以上の男女では 600mgです(妊婦900mg、授乳婦1100mg、成長期男900mg・女700mg)。

ところが、日本人のカルシウム摂取量は平均約570mgと不足しており、とくに20代女性に少ないそうです。

1998年「骨粗しょう症治療ガイドライン」では、骨の健康維持のためには800mg必要といわれています。

数字だけではピンとこないと思うので、食品中のカルシウム含有量の表を載せました(デカっ…)。

 

食品名100g中含有量
(mg)
食品名100g中含有量
(mg)
いわし丸干し1400木綿豆腐120
わかさぎ750納豆90
煮干し2200練り豆腐590
シラス干し530牛乳100
小松菜290脱脂粉乳1100
切干大根470無糖練乳270
ひじき1400プロセスチーズ630
ヨーグルト110


ではどうして日本人はカルシウムが足りないのでしょう?

それは、次のようなことがいわれています。

a.欧米に比べてカルシウムを乳製品よりも野菜・海草・魚介類からとっており、これらはカルシウム吸収率が乳製品よりも低い。

カルシウム吸収率…牛乳53%、小魚38%、野菜18%

b.日本の土壌はヨーロッパに比べてカルシウム含有率が低いので、日本でつくられる野菜の中のカルシウムが低い。

 

というわけで、日本人は、牛乳やヨーグルトなどの乳製品を意識的に摂る必要があるわけです。

でも、カルシウムを摂るだけでは、骨粗しょう症の予防には弱いのです。

カルシウムの吸収を助ける「ビタミンD」を摂ることや、たんぱく質を摂ること、またカルシウム吸収を抑制する「リン」を摂り過ぎないようにすること、なども必要です。

 

食事以外にも、カルシウムの調節に影響するものがあります。

A.年齢…女性は45歳ごろから、男性は60歳ごろから腸管でのカルシウム吸収率が低下します。

B.ホルモン…副甲状腺ホルモン、活性型ビタミンD3、カルシトニンにより、カルシウム濃度を調節します。

C.閉経…骨吸収の抑制作用のある女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下するので、閉経後は骨量が減少しやすくなります。

D.遺伝

E.精神的・肉体的ストレスが、カルシウムの吸収を低下させるといわれています。

まだまだあるのですが、とりあえずこんなところにしておきます。

 

骨粗しょう症予防対策としては、

小さいころからバランスよく、牛乳やヨーグルトなどの乳製品を摂る。

成長期に過激なダイエットはしない!!カルシウムをきちんと摂る。

運動する。とくに垂直運動がよい(なわとび、バスケットボール、バレーボールなど)。

女性は閉経後、とくにカルシウムの摂取に気をつける。

適度な日光照射で、体内にビタミンDをつくる。

といったところです。

 

閉経後の女性に骨粗しょう症のリスクが多いためか、骨粗しょう症は、とかく女性に多いと考えられがちですね。

ところが、実は男性の骨粗しょう症のほうが、女性よりも重症度が高く、骨折率も高い、との報告が、米国骨代謝学会で発表されています。

男性のかた、ぜひぜひ予防策を!!

tree 2. まだまだ不明な新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病

これは時事日記でも紹介しましたが、米国からの牛肉輸入再開についてが話題となっています。

牛海綿状脳症が、新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の原因であろうことが近年解明され、世界中で研究が進められています。

今回は、この新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病についてお話します。

 

イギリスを発端とし、BSE(牛海綿状脳症)に感染した牛を食べると、新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病となることがあり、これが話題となっていますね。

さて、この病気にかかるとどんな経過をたどるでしょうか。

抑うつ、不安症、自閉などの精神症状から始まり、視覚異常歩行障害を起こし、痴呆が数ヶ月以内に急速に進行します。また、けいれん発作を起こします。

発症してから半年以内に自分で動くことができなくなり、寝たきりの状態になります。

発症後1~2年以内で全身衰弱、呼吸マヒ、肺炎などで死亡します。

 

残念ながら、治療法はありません

つまり、かかったが最後、助からない病気なのです。

現在のところ、感染した牛を食べないことしか、予防する手段はありません。

牛肉は、わたしたちの食生活の中で、とっても人気のある食べ物。

それだけに、世界中で、もちろん日本でも、牛の食肉処理に力を入れてます。

 

肉骨粉をエサとして与えないのは、もう有名ですね。

BSE発生国からの牛肉の輸入は禁止しています。

また、病因といわれる異常プリオン蛋白が蓄積する部分を、牛から焼却処理しています。

さて、その特定部位はどこか知ってますか?

頭部(舌、頬肉は除く)、せき髄、回腸遠位部(盲腸接続から2m)と、せき柱です。

最近では、坐骨神経やけい骨神経などの末梢神経や、副腎からも微量の異常プリオン蛋白がみつかったそうです。

 

ではこれで万全か、というとそうでもない。

牛のとさつや解体の際に、その特定部位から他の内臓に汚染したり、処理する器具から汚染したりすることもあるわけです。

しかもこの病気自体、不明なことが多く、感染ルートが全部わかってるわけではないんですね。

血液で感染するかどうかも不明なので、1980~1996年までイギリスに6ヶ月以上滞在した人からの献血は断っています。

 

まだまだ病態のつかめていない病気ですが、今年に入り、国際獣疫事務局(OIE)は

「特定危険部位を取り除いた骨なし牛肉については、どのような輸入条件も要求すべきでない」

として、牛肉の貿易条件の緩和をすすめています。

今のとこ拘束力はないけど、そのうちこれが統一基準のような扱いになっていくのでしょう。

 

そして、日米の牛肉貿易が話題となっています。

アメリカは、牛肉貿易緩和をしないと何らかの報復をするそうな…。

牛の場合、ほんの一粒のコショウぐらいの病原体を摂取しただけでも感染するみたいだけど、ヒトはどうなんでしょうね。

安全性に敏感になるのは当然だと思いますが…。

tree1. 花粉症はつらいよ

ようやく始動しました、医療の木。

第一木は、不本意ながら、今年から花粉症デビューをしてしまったわたしの体験談を交えて、花粉症についてお話します。

 

2月に入り、どうも鼻水とくしゃみが止まらない。

今年はスギの高齢と昨夏の気温が高かったせいもあり、花粉の量が例年の約30倍で、花粉症の症状が強く出やすいと言われているけど、今まで花粉症じゃなかったし、カゼかな~、なんて思ってたんだけど。

でも、「発熱や喉の痛みがない」 「鼻水がサラサラしていて、粘調にならない」 「一度に何回もくしゃみがでる」 「1~2週間ではおさまらない」 って点で、花粉症だ、と観念。

正確には血液検査でIgE抗体を測定すると、花粉症かどうか、またどの花粉に対してアレルギーをもっているかがわかるんだけど、けっこう検査代は高い…。

 

わたしみたいに、突然花粉症に襲われるケースも多いです。

抗原に対し、ある一定量の抗体ができるとアレルギーが発症するんだけど、花粉症の場合は、抗原(=花粉)にさらされる期間が限定されてるから、一定量の抗体が蓄積されるには長い期間が必要。

だから、発症のピークは20~30代で、大人のアレルギー疾患ともいえるのです。
 

となると治療だ。本来、花粉症の治療は先手必勝で、花粉の飛び散る2週間前ぐらいから薬を始めると、発症時期も遅くなって、症状も軽くてすむんだけど。

 

内服薬の基本は、抗ヒスタミン薬。副作用として、眠気があるけどね。

眠気が強くでる人ほど、効果も強いといわれてます。

車の運転をする人とかには、眠気がでると困るので、眠気の少ないケミカルメディエーター遊離抑制薬や、ロイコトリエン拮抗薬を使ったりします。

また、減量した抗ヒスタミン薬と組み合わせて使うこともあります。

 

内服薬のほかに、局所ステロイド薬である点鼻薬を使ったりもします。

鼻がつまってしょうがないって人には、血管収縮薬の点鼻薬を使ったりもするけど、これは即効性があるかわりに、使いすぎると逆に症状を強くしてしまうこともあるので、注意が必要です。

ステロイド内服薬を併用することもあります。

 

でもね、これらは症状を抑える治療であって、根本的な治療ではないんだな。

根本的な治療としては、減感作療法ってのがあります。

これは濃度のうすい花粉エキスを、少量ずつ注射することによって、体を花粉に慣らして、アレルギー反応を起こしにくくする、というものです。

ただ、有効性は5割~7割で、みんなに効くというわけではなく、治療期間は2~5年と長いので、気長にきちんと取り組める人向きです。

 

あとは、ステロイド注射って手があるけど、胃潰瘍を起こしたり、糖尿病になりやすかったり、と副作用が強く出る場合があるので、あんまりお勧めできないかなあ。

 

薬のほかにできることといえば、マスクやメガネでできるだけ浴びる花粉の量を減らしたり、いろんな民間療法(竹酢とか、ヨーグルトとか…)があったりもするね。

花粉症の増悪因子として、以下のことも言われてます。

①風邪…鼻粘膜が弱くなる

②タバコ、酒…タバコは鼻粘膜や喉が刺激を受けやすくなるし、酒は鼻粘膜を充血させたりする

③不規則な生活

④寝不足・過労

⑤刺激物の摂取

⑥気温の急激な変化

これらに気をつけて、花粉症とうまくつきあっていきましょう(^0^)/

 

余談ですが、寄生虫感染症(サナダ虫とか)にかかると、花粉症を起こしにくいって説が、ハンブルク医科大学から発表された、ってことだけど、ちゃんとした科学的根拠はないようです。

それに、寄生虫と花粉症、どっちをとるかと言われてもねえ…。