tree 4. 高脂血症① 高脂血症ってどんな病気?
検診をやってて、よくひっかかるのがこの高脂血症。なんでも、30歳以上の男性の約29%、女性の約34%がコレステロールが高い、と言われています。
この高脂血症について紹介したいことがたくさんあるので、何回かに分けてお話しますね。
まず今回は、高脂血症の病態について紹介します。
高脂血症とは、血液の中の脂質が異常に多い状態のことで、この脂質には、コレステロール、中性脂肪(トリグリセライド)、リン脂質、遊離脂肪酸などがあります。
この中性脂肪やコレステロールが増えると、血液はドロドロと粘り気を帯びるようになり、流れにくくなります。この状態が続くと、血管がつまって動脈硬化となってしまいます。
動脈硬化になると、脳梗塞や狭心症、心筋梗塞、腎臓病、足壊疽(足の血管がつまり、足の細胞が死ぬ)などを引き起こしやすくなります。
この心臓病や脳血管障害は、日本三大死因のうちの2つですね(あと1つは癌)。
つまり、高脂血症を放っておくと、命取りな病気にかかりやすくなってしまうのです。
自覚症状がないので、検診や人間ドッグで血液検査をした際に見つかる場合が多いです。
逆にいえば、よっぽど進行しない限り症状がでないので、血液検査をしないとみつからないのです。
基準は以下のとおりです。
総コレステロール:220mg/dl以上
LDL(悪玉)コレステロール:140mg/dl以上
中性脂肪(トリグリセライド):150mg/dl以上
HDL(善玉)コレステロール:40mg/dl未満
このどれにひっかかっても、高脂血症といわれます。
そう、ひとことに高脂血症といっても、いろんなパターンがあるのです。
まずは、この脂質のはたらきを紹介しましょう。
①コレステロール…なんだか悪いイメージをもたれがちですが、これ自体は体にとって重要な役割をしています。細胞膜をつくったり、ホルモンの材料となったり、胆汁酸の材料となって消化を助けたりします。
悪玉とか善玉とか聞いたことがあると思いますが、これらはまったくの別物ではありません。
「コレステロール+中性脂質+アポたんぱく質+リン脂質」の結合の割合によって、悪玉と善玉に分かれるのです。材料自体は一緒なんですね。
②悪玉コレステロール…肝臓からコレステロールを運び出し、各組織の細胞に届ける配達屋さんのようなはたらきをします。この量が多すぎると、コレステロールが血管にたまってしまいます。
③善玉コレステロール…体の中の余分なコレステロールを回収して、肝臓へ戻す回収屋さんのようなはたらきをします。この量が少なすぎると、余分なコレステロールを回収できず、やはり血管にコレステロールがたまってしまうのです。
④中性脂肪…体温を一定に保ったり、体を動かすエネルギー源になるものです。体内で完全燃焼すると、1gあたり約9kcalのエネルギーになるといわれています。ちなみに、たんぱく質や糖質は1gあたり約4kcalです。中性脂肪が増えると、善玉を減らし、悪玉が増える、といわれています。
⑤脂肪酸…そのまま体内ですぐに使えるエネルギーになります。
⑥リン脂質…脂質など、体内の水に溶けない物質を水になじませます。
では、代表的な高脂血症のタイプを紹介しましょう。
<中性脂肪がとくに高いタイプ>
もっとも出現頻度の高いタイプです。甘いものやアルコールのとりすぎなど、生活習慣が原因のことが多いです。動脈硬化のほか、膵炎や脂肪肝、胆石症にかかりやすいといわれています。
<中性脂肪と悪玉コレステロールが高いタイプ>
日本人の高脂血症の約20%を占めます。肉類やスナック菓子に含まれる脂肪やコレステロールのとりすぎ、食物繊維の摂取不足が原因のことが多いです。
動脈硬化のほか、心筋梗塞、狭心症などの心臓病を起こしやすい、といわれています。
<善玉コレステロールが少ないタイプ>
糖質、脂肪、アルコールをとりすぎると、中性脂肪や悪玉コレステロールが増え、善玉コレステロールが少なくなるといわれています。運動不足や喫煙、また、極端なダイエットでも、善玉コレステロールは減ってしまいます。
今回はここまでにしておきます。
次回は、高脂血症が引き起こす「動脈硬化」を中心に、お話しようと思います。