2024年5月9日時点です。
情報が更新されたらここを修正するかまた書くかするかと思います。
さて、2年ぶりに用具関連のこと書きますね。
そもそも用具なんでしょうか。。。
こないだとうとう買った卓球マシン ポンボットオムニプロの詳細レビューです。
【レビュー対象】
ポンボット オムニプロ(卓球マシン) / VICTAS
【機能概要】
すごいですよ。このマシンの3本柱は
- 内蔵プログラム
- 自作プログラム
- PongSmart
です。どういうボールをどういう順番で飛ばしたいのか、プログラムを自分で組んでそれで練習できます。
「スマートフォン同期」なる機能もあるようなのですが、チャイナ製なので中国でしかまだ対応してないようです。
政治的な観点からiPhoneに対応することは未来永劫無さそうなニオイがします。残念。
【3本柱のうち2本柱は使わない】
さて、上記のうち
①内蔵プログラム
③PongSmart
については、このマシンを買うような奇特な層にとっては、ほぼ無用です。
内蔵プログラムは、予めある程度設計されたプログラムで練習できる機能(難易度は3段階から選べる)
PongSmartは、自作プログラムを少し簡易な選択操作で設計できる機能です。
PongSmartは、「1セット」につき10球まで調整設計できます。
- メニュー1~6 × 10セット =60セットまで記憶可能(メニューとはタブになってグルーピングされているだけ)
- 上回転または下回転を選択可能
- 前後3×左右3の9コースへの大まかな割振可能
- さらに前後±10段階(計21段階) 左右±10段階(計21段階)の微調整が可能
- 球間隔の変更可能(11段階)
- 謎の難易度変更可能(5段階。スピード・回転量が同時に切り替わる。それぞれ変更できるわけでは無い)
- セットの再生は「時間指定(分単位。1分~240分。誰がすんねん)」または「回数(セット単位。設定したプログラムを1~240セット繰り返す。)」で設定可能
- さらにセットを「ループ」させるのかセット内球種を「シャッフル」させるのか設定可能
と、結構詳細に設計・再生することができます。
回転軸が上か下しかないことと、ここまで調整できるんやったら最初から自作プログラムで細かくマニュアル調整したくなることと、「難易度」というよく分からない尺度でスピード・回転量を同時に調整することになってしまうことがマイナスポイントです。
ただ、PongSmartが②の自作プログラムより優れている点があります。「ランダムコース」を選択できる点です。
コースを前後の前陣・中陣・後陣から選択可能(台の前か真ん中か深いところか、という違いです)で、左右コースを敢えてランダムにすることができます。
例えば、
「1球目に深いところへの下回転を左右ランダムで送ってもらって、持ち上げた後に上回転をバック・バック・フォアと送ってもらう」
というプログラムを設計可能です。
後述しますが自作プログラムではこの左右ランダム機能が使えないため、工夫する必要があります。なんでこれ自作プログラムに搭載せんかったん。
①の内蔵プログラムは、あまり実践的な感じではありません。
設定上も個人的には使わないです。
基本打法を習得するための機能として使えるかと思います。
…そういう意味では対象者はかなり広いのかも知れませんが、これを購入する層にどれぐらいいるのか、という疑問。
となると、これはジュニアやレディース指導など、卓球場での使用、特に初級者層への使用が想定されますね。
……もしかして卓球台と卓球マシンを自宅用に購入する層は想定されていません😇???
気付いてしまった。。。
【本命の自作プログラム】
さて、PongSmartと一部重複があるのですが、この「自作プログラム」で何ができるのかを紹介します。
- 作成したプログラムは、 メニュー1~6 × 10セット =60セットまで記憶可能(メニューとはタブになってグルーピングされているだけ)
- 1セット10球種まで記憶可能
- 1球種毎に1球~10球で連続射出設定可能
- 射出角度は左右に±10(21段階)、上下に-50~+100(151段階)設定可能
- スピードは0.0~10.0まで0.5刻み(21段階)設定可能
- スピン(回転量)は0.0~11.0まで0.5刻み(23段階)設定可能
- ピッチ(射出間隔)は11段階設定可能
- 回転種類(回転軸)は上・右上・右横・右下…と8段階設定可能で、さらに微調整機能で±10(21段階)の設定ができる。この2つを併用することで、回転軸は目視でおそらく160段階設定可能
- 数値設定していくと自動で弾道計算され、事前に弾道確認ができるので、感覚的に操作可能(真上から見た図と真横から見た図)
- 設定したボールを1球単体でテスト射出機能
- 設定したセット通しでのセットテスト射出機能あり
- セットの再生は「時間指定(分単位。1分~240分。誰がすんねん)」または「回数(セット単位。設定したプログラムを1~240セット繰り返す。)」で設定可能
- さらにセットを「ループ」させるのかセット内球種を「シャッフル」させるのか設定可能
【自作プログラムで具体的に何ができるのか】
多機能過ぎて無限にできるんですけど、ここまでの説明がある程度わかるよう最初から欲しかった。。。
例えば
- F前に下強めの逆横下サーブ
- 早めタイミングでB側深くへ キレた×速い下回転
- 少し遅めタイミングでF側にブロック性の上回転
- 早めタイミングでB側に上回転
- F側少し甘いところに弱め下回転
- 早めタイミングでBミドルに浮き球
といったセットを作成可能です。
これは僕目線でいえば、実際に試合でできるかどうかは別にして、
- F前サーブをB前ストップでレシーブ
- ツッツキをフォアで回り込んでB側へドライブ
- ブロックでF側に飛ばされたボールを飛びついてB側へフォアドライブ
- B側へブロックされたボールをカットで返球
- 相手の甘いツッツキをミドルにドライブ
- 甘いブロックをカチこむ
射出間隔を1球ごとに変えられる、というのがミソで、今までの一定間隔でしか射出できなかったマシンでは、現実では絶対に有り得ない早いタイミングでボールが来てしまったり、それを避けるとタイミングが遅すぎて負荷がかからずトレーニングにもならなかったり…ということがありましたが、自分が設定したボールスピードと自分の返球を想定して射出間隔を細かく指定することで、その辺の差異を解消することが可能です。
他にも例えば
10球種まで左右・深さ・回転量・速さを変えての下回転を設定し、シャッフル機能を使って疑似的な全面・回転量差ありのツッツキ練習
ができます。
また、1球種ごとに連続射出機能を設定できるので例えば
- B側に上回転×4本
- F側に上回転×2本
- B側に上回転×3本
- F側に上回転×1本
- B側に上回転×5本
- F側に上回転×1本
- B側に上回転×3本
- F側に上回転×2本
といった、切替しの練習もできます。
「シャッフル」再生機能は、セット内のボール全てを確率ベースで並べ替えて射出する機能のようで、例えば
- B側上回転
- F側上回転
- F側上回転
をシャッフル再生で3セットと設定すると、
F>B>B>F>F>F>F>B>F
という順番で射出されることもあれば、
確率がブレて
B>F>F>F>F>F>F>B>F
と、バック側にボールが2回しか来ない、ということもあります。
つまり1セット内で並び替え×3でもないし、9球の中で必ず3球がB側、6球がF側となるわけでもない。
なので例えば B:F=7:3 で切替しの練習がしたい、という思いがあれば、B側7本 F側3本 と登録することでガチで7:3の多少確率ブレありでボールが飛んできます。
さらにそれぞれスピードや回転量も細かく設定でき、一定のボールで練習するのではなく、変化に対応する練習までできます。
回転軸の微調整まで可能なため、例えば自分のサーブを出した後の3球目を想定して、下強めの逆横回転を打ちたい、ということも可能です。
射出間隔を最低値(0%)に設定すると、だいたいシャドウで急ぎ目にサーブ出した後に球が射出される…ぐらいの感じになるので、ホンモノのレシーブは来ませんが、サーブモーションとセットでの3球目練習も可能です。
【他にもこんな練習ができる】
- ループとロビングの中間ぐらいの高さのボールを叩く練習(打ち上げるぐらいのロビングの設定は無理)
- 現段階で法則不明だが、射出口にLEDランプが2つあり、威力のあるボールが出てくるほど赤っぽくなるので、相手の動きを見ながら球質判断する練習が可能(というかスピードと回転量をバラけさせると、マシン相手だとモーションに変化がないためめちゃくちゃ難しい)
【ポンボットのここがダメ(懸念)】
まぁしかし色々とダメなところ、改善してほしいところ、マシンに求め過ぎてるので諦めるしかないところもあります。
- 作ったプログラムの命名機能が無い。スマホのメモ帳機能とかに逐一書き留めておかないと、このメニュー結局なんやったっけ?とイチイチ設定の中身を確認しないといけなくなる
- 作ったプログラムの全部または一部コピー機能が無い。そのため例えばバックバックフォアを連続再生する前提のプログラム①に、1球だけ最後に浮き球を足して、スマッシュで終えて1回ずつ区切って練習するプログラム②を作りたい…と考えた場合、①のバックバックフォアに1球足して②に作り替えるか、②をイチから作り直さないといけない。簡単に基礎メニューから派生形をどんどん増やしていく…ということができない
- 自作プログラムには分岐設定がない。例えばB>B>Fと固定しておいて、4球目はForBのどちらかランダムに送る…という分岐するようなプログラムは組めない。1セット中10種まで登録できるので疑似的に設定は可能。
- PADのタップ時の音を消せない。タッチ操作式ですが、PADのどこかをタップする度に音がするので、寝室で操作してたら怒られる。
- PADのバッテリー消耗が結構激しい(充電式)。ちょっと触ってたり、待機電力だけでもすぐバッテリーが無くなっていくので、思いの外こまめに充電が必要。マシンと同室に充電設備を備えましょう。
- マシンの設置が基本台のエンドライン真ん中、射出口がネットより少し高い位置なので、再現できる弾道に制限あり。
まぁマシンなのでそこ言い出すと仕方ないんですが、一生ミドルの少し高いところから打たれる形になります。それでも相当色んな球を再現できるんですが、打点の高さと深さ故に
■質高めのロングサーブ
■相手が台上で触ったようなストップやハーフロングぐらいのツッツキ(短いボールを設定しようとするとサーブになったり、ちょっと高いボールにするしかない等)
このあたりが再現できなくてちょっと残念。仕方ないですが。
バックからバックへの対角線のボールなどは、マシンの取り付け位置を台の端に寄せれば無理やり再現できますが、実効性は…このあたり解消できるのはもう数百万、数千万の世界かも知れませんね。
- サーブの弾道表示はちょっと不正確。台の摩擦が絡むため、しゃーない部分かと思います。サーブを設定する場合は弾道表示はあくまで目安にして、1球テストで確認した方が良いですね。
- ローラーが摩耗してきたら弾道表示機能が当てにならなくなりそう。これもしゃーないですが、消耗・経年でローラーが少し擦り減ってくると、どんどん弾道表示機能と実際の弾道に乖離が出そうな気がします。
- ナックルの弾道表示は最初っから結構不正確やし1球ごとのブレも大きい。回転の無い、または回転が弱いボールほど、弾道計算と実際の弾道がズレます。特に下回転系は微妙にホップしていくので弾道の安定性がかなり落ちます。練習球そのもののブレもあるかとは思いますが、回転がない・少ないってやっぱ安定せんのやなぁという学びを得られますね。
- この値段で1年保証やが3年ぐらいは保証してほしい。高機能故にどれぐらい保つか分かりません。ニッタクのロボコーチRXは購入後10年以上経って尚動きますが、少なくとも5年ぐらいはちゃんと動いてくれるんやろか…。マシンよりE-PADの方が怖いです。
- 回転軸の微調整で、調整し切れない部分がある(初期不良なのかメーカー問合せ中)
この回転軸の微調整機能自体、全く説明書に記載がなかったので、個人の執念で調べたのですが、下図のようにところどころ設定しても謎に設定が反映されない部分があります。(右横上~上回転、左横下~下回転)
正直、横回転が強くて縦回転が弱いことってほとんどなく、縦が強くて横が弱いことがほとんどなので、設定効かない部分は解消されてほしいですね。
横と縦が均等な「右横上」って、実際めちゃくちゃ横に曲がりますからね。そんなカーブドライブ打つやつなんていませんよ。
【まとめ】
色々と書きましたが、
とはいえ
とはいえ すごいです。
人と基礎練や多球練する必要あんまなくない??
コースのランダム性とかだけ得るために対人で練習して、試合したらそれでよくないか…?
ぐらいのパラダイムシフトが起きようとしています。
一生「型」を高い再現度で練習できるのは、トレーニングとして身体に染み込ませる意味においてもめちゃくちゃ有用度が高そうです。
ランダムでできるかどうかの前に、実際の試合で起き得るピッチの早さで、コースが完全に分かってたとしても高い再現性をもって繰り返しできるかどうかはかなり重要ですからね。。
僕ぐらいのレベルやと5球1セットの多球練や、4球1セットぐらいの繰り返しループさせる練習などでやり込むだけでもかなり変わりそうです。
また、自分の苦手なパターン・球質も再現さえできれば練習できるので、試合動画を見返したり、記憶が新しいうちにプログラムを作って、繰り返し克服のための復習練習をする…
相手の試合動画を見て予習練習をする…とかまでできそうですね。
特に復習練習は必須だと思います。
表のツッツキやブロック、粒の球とかめっちゃ嫌いなんですが、そういうのを想定したプログラムを作れば、練習相手として身近にいなくても練習できてしまいます。
前提として「自分がこういうボールを打ったらどういうボールで返ってくるのか」を想像できる力が必要ですが、このマシン買おうと思うような層は、そこは少なくともあるでしょう。。
前後の変化、スピードの変化、回転の変化と、ピッチの変化…と変化をつけることが自在に可能になったので、マジで可能性の広がり具合がエグイです。
革命や…。