30年後の同窓会(原題名:Last Flag Flying '18年6月 TOHOシネマズ二条) | Que amor con amor se paga

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映画・本などのネタバレメインのブログです
日常で気になったコトや動画も載せてます。

今週末で上映終了+TOHOシネマズの『誰でも1100円デー』が今日までだというので、やっと日程があい、見に行きました。

出てくる俳優は好みでしたよ。
判る人には判る的、地味ながら噛めば噛むほど味のでるスルメ的ゴージャスキャスト。

『ブレイキング・バッド』、『トランボ』のブライアン・クランストン

『マトリックス』『CSI:NY9』のローレンス・フィッシュバーン

『俺たちシリーズ』や、『ゲット・スマート』『マネーショート』のスティーブ・カレル。

ローレンス・フィッシュバーン太ったなぁ~。
顔が『マトリックス』の時の二倍ぐらいになってるやん…(しみじみ)

人生に置いて一番いい友達とは、キャリアや機会に恵まれている時につながった人間じゃない

…という事を教えてくれる映画でもあります。

キャリアや機会に恵まれている時は人が集まってくるけれど、実生活で友達がほとんどいないとか、そんな人要注意ですよ。

『ディア・ハンター』『ビッグ・ウェンズデイ』と時代や要素として被ると思いまする。

予告編はこちら、あらすじいってみる



時は、'03年12月の米国

イラクの独裁者サダム・フセイン拘束のニュースがテレビで流れていた頃。

ヴァージニア州ノーフォークで、さびれたバーを経営するサルヴァトーレ”サル"・ニーロン(ブライアン・クランストン)は、飲んだくれでシャブ中だ。

ヴェトナム戦争後、海軍に居座り、海軍退役後にデリ兼バーを開くも、メキシコ移民が多くなってきた街に辟易とし、デリは開店休業。

今は安酒を出し、店の掃除もせず、少ない常連客相手にビールをあおりながらグダをまく日々を送っていた。

冬の寒い12月、サルの店に見慣れない堅気のメガネをかけた50代半ばの男が入ってきた。

暫く訝しそうに男の顔を見ていたサルだったが、その男が30年前、ヴェトナムで同じ部隊に居た仲間のラリー"ドク"・シェパード(スティーブ・カレル)と知ると意気投合。

ドクは海軍の売店の仕入れ係を退職し今はニューハンプシャー州ポーツマスの自宅に居た。

再会を喜び、一晩飲み明かしたドクはサルに『見せたいものがあるから車を出してくれないか』と相談してきた。
サルは面白そうだと二つ返事で引き受け、開店休業状態の店の鍵を常連客のオトゥール(ジェス・モナハン)に預け、ドクの旅に同行する事にした。

ドクとサルが向かったのは同州リッチモンドにあるビーコンヒル教会。

日曜礼拝を仕切っていた牧師は、30年前、2人と同じ部隊に居たリチャード・ミューラー(ローレンス・フィッシュバーン)だった。

マズいヤツらが来たなという顔をしつつも、ミューラーは、サルとドクを自宅に招き、夕食をご馳走した。

そこで3人は食卓を囲み、30年前に、ある事件がきっかけとなり離れ離れになってからの『それから』を語る事になった。

ミューラーは、妻ルース(ディアナ・リード・フォスター)と出逢い、牧師となり娘、息子、4人の孫に恵まれていた。

昔、飲んだくれのバクチ好きで女たらしで『Muller the Mauler(殴り屋ミューラー)』と言われる程の暴れ者だったミューラーの変わりようにサルは開いた口が塞がらない。

昔とあまり変わらないのは、仲間内で一番年下のドクだった。

ドクは、2人に逢いに来た理由を語りだす。

1年前に妻イレーヌ(タミー・サイ)を乳がんで亡くした事、妻が亡くなる少し前に海軍に入隊した息子のラリーJr(サミュエル・デイヴィス)が派遣先のバクダットで戦死したとが2日前に告げられた事。

息子は名誉の戦士としてアーリントン墓地に埋葬されるので、一人では耐えられそうにないので、ついてきてくれないか、という事だった。

独身で身よりのないサルはついていくというが、ミューラーは渋い顔をする。
が、妻に説得され、渋々二人の旅に同行することになった。

3人はアーリントン墓地に向かうが、ドクが息子の遺体は墓地に搬送される前にデラウェア州にあるドーバー空軍基地に送られると聞き、行先変更。

翌朝8時に、ドクは息子の遺体と対面するが、ラリー・ジュニアの遺体は後頭部を撃たれた為、頭がなく、ドクは息子の棺を前にして立ち上がる事も出来ないでいた。

軍のウィリッツ大佐(エル・ヴァスケス)は、ラリー・ジュニアは名誉の戦士を遂げたのだから、軍の英雄として軍葬にし、アーリントン墓地に埋葬すべきだとドクに迫る。

重苦しい雰囲気にいささか退屈していたサルは、大佐の態度に不自然さを感じ、その場にいる見張りの上等兵ワシントン(J・クウィントン・ジョンソン)から話を聞き出そうとした。

ワシントンは、ジュニアの親友でバクダットで同じ部隊に居た。
ジュニアが死んだ理由は大佐の言った事と全く違う事だった。

何が名誉の戦士だ。

ドクの息子は、30年前の俺たちの様に、無意味な戦争の犠牲になっただけだ。

軍のやることは30年前と何も変わらない。

ドクは、ポーツマスにある自分の家の近くにある妻の墓の近くに息子を埋葬したいとサルとミューラーに伝える。

ミューラーは反対するが、棺を空軍基地から出すためには聖職者の許可がいるというので、職権乱用してまで、3人で棺を基地から出した。

サルはレンタカー屋に行きU-HAHL(引っ越し専用トラック)をゴリ押しで借り、棺を乗せ、ドクと共にポーツマスに向かおうとするが、途中でテロリストに間違われ空軍基地に逆戻りしてしまった。

一方、ミューラーも、これで家に帰れると長距離バスの待合室で待っていた所、捜査官にイスラム聖職者と間違われ、尋問を受ける羽目に。

意に反して空軍基地のモーテルに逆戻りした3人は、こうなったら地獄の果てまで一緒だと、再結集。

翌朝、再び大佐と顔を合わせ、ドクの故郷ポーツマスに棺を運べと直談判すると、軍の手配する列車で、3人は棺と共に、ポーツマスに向かう事になった。

が、それは、3人のオヤジたちの『寄り道の旅』の第一歩にすぎなかった…

以下ネタバレです

大人しくポーツマスに行けばいいのに、3人のヴェトナム帰還兵は、おとなしくしてないのですよ。

元々の原因作ってるのはサルなのですが。

サルは、お目付け役として派遣されてきたワシントンの事が気になるのです。
全然笑わないし、何も話そうとしない。

棺を載せた貨物には、ワシントンの他にレッドマン(グラハム・ウォール)がいて、彼に『湾岸戦争に行ってきたんだって~、オレはヴェトナム帰りで海兵出身なんだ~』と 気さくというか

人間的に距離近っ!

…という感じで話すのです

本当のサルはヴェトナム戦争で、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を患っていて、その苦しさから逃れる為に酒とシャブがやめられない。

誰にでもベッタベタ、気さくそうに話しているようにみえるけれど、実はそうでもない。

サルは自分たちに最後までギャーギャー言ってきた大佐対しては、心も開けず笑えないのですよ。
意味深な事も言っちゃう

これは後から判るのですが、大佐が、かつて自分たちの目の前で死んでいった『もう一人の仲間』の面影があったかもしれないです。

ま~、自分がそんな状態なのに、サルはワシントンの事が気になるので、ちょっかいを出しに行きます。
ラリーのオヤジから面白い話聞けるかもしれないよ、と言って、棺の見張りをしてるワシントンを引っ張ってくるワケです。

サルの意に反して、ドグは何もしゃべらないのですが(涙)

ラリー・ジュニアとワシントンは、派遣兵の中では下っ端だったので、現地の恵まれない子供たちに文具や衣料、薬を届けていたわけなのです。

任務が終わり、コーラを買おうと馴染みの売店によったのが、その日はたまたまラリー・ジュニアの方。

イラン兵が叫びながらラリー・ジュニアの頭を撃ち、ワシントンは無我夢中で、イラン兵も、売店の店主も殺し、ラリー・ジュニアの遺体を回収し基地にもどった。

あの時自分がコーラを買いに行けばよかった、ラリーは死ななくて済んだ、名誉の戦士として片づけられた親友の死の真実を誰に打ち明ければよいのか、ワシントンは悩んでいたのです。

そんな彼の前に現れたのは、ドク、サル、ミューラーの3人。

ドクにとって自分の軍歴はコンプレックスであり、30年前3人が離れ離れになる原因でもあった。

30年前、基地の司令室の募金箱から40ドル盗んだ冤罪を着せられ、海軍刑務所に送られたのがドクだった。

本当にドクがやったかもわからない上、募金箱を設置したのが海軍上官夫人だった為に、刑罰対象になってしまった事件だった。

罪を被りたくない者は、その事件をきっかけに離れていくか、生き方を変えざるを得なくなった。
それは親しくしていたミューラーやサルも同じだった。

ドクは模範囚として2年で出所し、家庭を持ち、海軍売店に長年勤務し続けたが、息子が海軍に行くことだけは最後まで反対していた。

だがそんなドクにワシントンは、ラリー・ジュニアは、父親をとても誇りに思っていた事を伝えたワケです。

ドクやサル、ミューラーはワシントンに、ラリー・ジュニアが死んだのは君のせいじゃないと、なだめるのです。

犯罪多発地域のオークランドに生まれ、物心ついた時に親は犯罪に巻き込まれ殺されたワシントンには友達もいなかったワケです

が、自分と正反対の生き方をしてきたラリー・ジュニアに逢い、やっと友達が出来たと思った時に死んでしまった。

そんな彼の心の蟠りをとくシーンは、良かったです。
なんというか、気休めで終わらない所がね。

その後は、男4人で、棺桶の横でエロ話に突入するのですが。
サル役のブライアン・クランストンの壊れっぷりがスゴすぎる

男4人で貨物の中でエロ話しまくった後、3人はNYで途中下車するのです。
バーで飲んだり、人生初めてのガラゲー('03年当時なのでガラゲー)を買ったり。

カラゲー買って『今なら一定料金で3人通話し放題なんだな!』とケータイショップの店員のオネエサン(ケイト・イーストン)にオッサン3人がガッツいている様はナイス。

NYでのんびり、ガラゲーなんか買ってるから、電車に乗り遅れてしまい、棺だけ先にポーツマスに行ってしまう事になるのです。

ドクとミューラーはカンカンなのに、サルは電車の中で知り合った海兵レッドメンに

『オレたち寄り道してるからシクヨロ、葬式には間に合うようにするから』

…とガラゲーで電話さえしておけばいいかぁ~というノリなんですよ。
今に置き換えると

直接会って話をしなければいけない重要な事柄なのに『LINEで送ったらからいいよねwww』と考えている人。

ドクとミューラーは、サルのこの不謹慎さが理解出来ない。

サルは、さらに不謹慎なコトに、30年前オレたちが離れ離れになる事になった『もう一つの事件』にケリをつけようぜ、と言い出すのです。

ミューラーとドクは、何を今更、古傷に塩を塗り込む真似やめようよ、という顔をしてるのだけど、

サルは、ゴーイング・マイ・ウェイで周りを巻き込み、ミューラーやドクの言い分を聞かない。

居ますよねぇ…こういうオッサンになっても悪い意味で中二病。

30年前、ヴェトナム戦争で、サル、ドク、ミューラーが生き別れになった、もう一つの原因は、仲間を見殺しにしたからだったのです。

ヴェトナム戦争で滞在期間が延び、サル、ドク、ミューラーは麻薬に手を出し始めたのですが、彼らには当時ジミーという、もう一人の仲間が居て、彼だけはモルヒネや娼婦の誘惑に全然まけなかったのですね。
それが仇となるのですが。

サル、ドク、ミューラーが、モルヒネを全部使いきってしまい、グダグダになっていた時に、ジミーがベトコンの攻撃を受けて致命傷を負ってしまった。

もしもモルヒネが残っていたならジミーは苦しまずに済んだかもしれないのに、ジミーはシャブ中になった三人の前で、のたうちまわって死んでいった。

ジミーの唯一の肉親である母ミセス・ハイタワー(シシリー・タイソン)がボストンに居るはずなので、逢いに行こうとサルが言うので、渋々ドクとミューラーはついていくのです。

そこで3人は、従軍前に家庭を持ったジミーには孫が居る事と、ハイタワー夫人から、ジミーは3人の同僚を戦場で救い名誉の戦士を遂げたと知らされたと聞かされるのです。

絶句するサル。

ドクにあれだけ、自分の息子の身の上に起きた本当の事を知れとけしかけ、ラリー・ジュニアの親友であるワシントン上等兵にツっこんだにも関わらず、
サルは『親友を殺した』という背負いきれない十字架を一生背負わなくてはいけない事をこの時知る事になるのです。

ドクやミューラーは、奥さんに話していただろうから少しは楽になったと思うのですよ
でもサルはそうじゃない、嫌な事からいい加減に逃れてきたツケがこの時に回ってくるのです。

3人はポーツマスに戻り、ラリー・ジュニアの葬儀に参列する事になります。

このままの格好じゃあんまりだというので、サルとミューラーは海軍のフルドレスに着替えるのです(写真下)

映画のラストは、ワシントンがドクにラリー・ジュニアの遺言ともいえる手紙を渡し、終わります。

ドクは手紙を読んだ後、自分のやってきた事が間違いでなかった事、息子を愛し、息子に愛されていた事、自分が築いたキャリアも家庭も間違いはなかった事を確認し、映画の幕はおります。

この映画『ビフォア・シリーズ』の、リチャード・リンクレーターが監督

…30代まではこの映画の監督作は好きだったんですけどねぇ

アラホーになってから、好きではなくなってしまった監督です(涙)
今回は芸達者な俳優が勢ぞろいしていた+原作があったというので、救われましたが。
何が嫌かというと。

しゃべくり漫才みたいに登場人物がのべつまくなしに言いたい事を、言いたい放題に喋る、勝手

…ちょっと?相手の話ってアンタ聞いてる??
…というのが映画の中でも気になりだして

リンクレーターが監督=登場人物の一方的な喋くりだな(ゲンナリ)と思うと観に行かなくなったワケです。
元々『オレオレ、私私』が嫌というのもありますしね。

今回は、喋りまくるのがサル一人+演じるのがクランストン+最後の最後で自分の主張ばかり通して周りを振りまわるヤツにはドカンとバチが当たる…というので、見にいったワケですよ。

サル、ドク、ミューラーが置かれている立場は、 『ディア・ハンター』に近いものがあるんですね。
で、ワシントン上等兵が置かれている立場に近いのが、

『冬の兵士』だという。

ブっとんでて、周りを振り回すアル中シャブ中のPTSD中二病のサルを演じたクランストン。

本来であれば、今回だまーってるシーンが多かったドク役のカレルが得意とする役なのですが逆だったワケですね。

そんな役を演じたブライアンのコメントで、〆たいと思いまする。

人生において、いい事が出来る前にできた友達は自分を正してくれる友達だ。

キャリアや素晴らしい機会に恵まれたりすると、居心地の悪いものがつきまとう。

甘やかされたり、煽てられたりするのが当たり前になり、そうした環境に身をおいていると、何がリアルなのかも分からなくなるからだ。

自分が冗談を言ったとしても、周りは気を使ってくれるのか、本当にウケたのかすらわからなくなる。

その点、いい機会に恵まれる前や、特別な趣味や仕事がらみ以外の知り合いは正直に接してくれる。

地に足が付いた人は、常にそうなんだ