アマヤドリ -72ページ目

夢/夕焼け、ひとがたロボ、宝船


夢。

西の空に、足のちからをじんと弱くさせるような夕日を見る。
カメラを取りに行く間にこの完璧な美しさは揺らいでしまうのだろうと思うとその場を去りがたく、つちふまずにぐっと力が入る。
案の定カメラを持って戻ったときにはさきほどの色合いの絶妙さは過ぎ、ただの美しい夕焼けのひとつになってしまっていた。
それでもいいから撮っておこう、きっとその写真を見るたびにあの一瞬前の風景を思い返し惜しむのだろうから。
そう思うがなかなか、ここと思う構図の中から前にいるひとがどいてくれない。
けれど一度逃しているから静かな気持ちでただ待っている。

やっと写真が撮れる空間があいたので窓に近づくと、そこにはずっと視界の向こうから高速道路がこちらに向かい、右手にカーブをきって消えていくという風景があった。
高速道路の橋桁と底の部分ぎりぎりに沿うようにして大きなひとがたロボット(ゴットファーザーのような)とヘリコプターが並んで飛んでくる。
私のデジカメはシャッターを押した瞬間に撮れるものではないのでそれらが完璧に配置された一瞬を逃す。
逃したかわりに低くなった太陽がカーブした橋桁や底の部分にヘリコプターのプロペラをやきつけているのをおいかけることができた。影は観覧車のように大きくデフォルメされ、一瞬つかみかからんばかりにのび、素早くからめとって次の瞬間にはどこか離れた場所にとびのいた。

あんなロボットはじめてみたよ、と一緒にいるMに興奮を隠しながら言ってみる。まさかあれを、撮影じゃなく本物だなんて私は思ってないよ、という余裕をとりつくろいながら。


いつのまにかMとは川べりを歩いていて私は堤防のうえを、Mは川に近いところを歩いている。
遥か上空に宝船みたいなものが見えた。
船が飛ぶならばまぎれもなくさっきのロボットも本物だったのだと確信しながら、けれど8割がたはこのことがそんなに不思議なことではないとも感じている。
近くの湾まで飛んでいった船はそのまま着水することなく水上を不安定に彷徨い、また私たちのほうへすいすいと、動きとしてはTVで見たUFOのように浮き上がってきた。
光景を写真におさめていた私は急になにかいやな予感にとらわれ、その瞬間、船はMの近くの地面に落ちるように降りた。
その勢いで川に投げ出されたM目がけて船から出てきたのは女の子だった。けれどそれは見た目だけはひとだったけれど中身がまるでひとではない、ということを私は感じていた。
ざばざばと川に入ると女の子は半魚人のようなスピードでMにおいついてゆく。
ぞっとしながらも私は手元にあるビール瓶の形をした金属をその女の子に投げ付ける。
女の子は私を振り仰ぐが、もくもくとMを追い詰めてゆく。
岸辺にあがる階段のところでやっとMは逃れ、私は女の子に追い付くことができる。
女の子にとっさに、他の星からきたあなたの力は私たちよりはるかに強いから、そっと行動しなきゃいけないことを教える。おなかをたたいたりしたら、私はきっと死んじゃうのよ、と。
ジェスチャーだったけれど通じて、女の子は素直にそれをきいてくれた。


そのあとなんだかその女の子の働いているスイマー専門みたいなダイエットエクササイズを教えてくれるスクールに行った気がする。
なんのこっちゃ。

注:まとめて本を与えないでください


『ムーミン谷の十一月』を読み終えてふと、そういえばもっていたはずの『ムーミンパパ海へ行く』はどこにいったんだろうな、と考える。
まだ友達に貸したわけでもないし、いくら部屋が雑然としているからって考えてみたらもうずいぶん前から見当たらないんだもの、やっぱり他の部屋の本棚に入っているんだろうな、それかもしかしたら古本と間違えて捨てられてしまったのかもしれない。
…と、ちょくちょく思い出しては小さくこころをいためていた。

もう一度読みたいな、あの、ムーミンパパがにょろにょろの島にいく話…。
……と思いながら何気なくmixiのこの本のレビューを読んだら!



この本、もってませんでした。
なくしたんでもなんでもなく。
読んだこともなかった。


「海へゆく」という題名から、てっきりパパが海に船で漕ぎだしてびりびりにょろにょろに恐い思いをさせられるあの話のこと、と思い込んでいた。けれどどうやらその話は他の巻の一部の話だったみたい。
読んだ気になっていたからこの巻を飛ばして最終巻を買って読んでしまったのだった。
なぞがとけたー!


ムーミンの他の巻同士はそんなにつながりがないのだけれどこの、海へゆく、はそうでもなかったみたい。
最終巻でどうしてムーミン谷のみんなが不在だったのか…がえがいてあるらしい。
うん、確かに唐突だとは思ったんだ。
でも唐突であることなどまったくめずらしいことではないし。

それにしてもしくじったー!!
読んでいたら十一月、がもっと深いものになったのに。
またやっちゃった。


以前友達に借りたグリーンマイルを読んだときもなぜか5巻から読んでしまった。
お婆さんを癒してるシーンから始まっていて、不思議な力のある大男の話かぁ…へぇ…それでそれで?って読んでいったら途中で1巻から読んでいなかったことに気付いた。
実際は、大男が不思議なパワーをもっているというまさにそこが話の肝、感動大盛り上がりシーンであった。
でももう時すでに遅し。
貸してくれた友達にとてもとても怒られた(もう1冊ずつしか本貸さない!)。



けれどこれでこころおきなく『ムーミンパパ海へゆく』が買えるし、またまっさらな気持ちでムーミンシリーズを読み返す口実にもなった。
やったぁ。

春の舞台あれこれ

うーん。
なにをもって踊りと呼ぶのか…というような話し合いの場にひさびさに直面。
むむ…。
私は規定がいい加減すぎるのか、そこはなんとなくの匙加減というか、感覚のくみ取り合いでいってくれたほうが助かるのだけど…。だってなかなかことばにはできないから。なんでも踊りでありうるし、そこになにものも込めないとしても、動かないとしても、その存在があるということが踊りである…と言ってしまうことだってできるし。
けれどきっとこれは求めてるものどうしのすりあわせの段階。
正しいとか正しくないではなくて方向や感性の違いはもちろんあるというところをまず見据えて進むとうまくいくかもしれない…ような気もする。

けれどまたはたと、こんなに隙間に可能性がひそんでいそうなこともなかなか得難い…かもしれないので、頑張ってみようと思う。


3月の23日~30日まで、桜木町の駅舎でパフォーマンスをします。
芝居と身体のコラボレーション。

そして、4月の8~9日が池袋芸術劇場でいつものカンパニーの新作。
今回は振付家がひとり加わってまた一味違うコントラステを楽しんでいただけると思います。
…というより、私自身とっても楽しみ!

4月の最後の日曜には、中村恩恵さんのスタジオでパフォーマンス。キリアンの作品を踊ります。


ぜひいらしてください。

フェルデンクライスメソッド

ごく小さな動きをからだのなかに耳を澄ませながら続けることで、さまざまなことが頭に浮かんでは循環し、変化していった。
ちいさなちいさな気づきやもがきが脳に伝わって、ああでもないこうでもない、けれどそれもありのままに受け入れて、工夫して、けれどやっぱり上手くできないままだったり。
立ち上がってみると足の内部のど真ん中にちゃんと骨があり、それがかかとの部分でしっかりと床に繋がっているのを感じる。
意識して床を踏もうとしなくても脚全体の重みがちゃんとそこにあって、それ相応の重みで体を床につなぎとめていてくれることが分かる。
靴の部分に磁石がついていてちゃんと立っていてくれるリカちゃん人形があるけれど、ちょうどあんなかんじ。
そして足の重みのぶん、自分のセンターは何にも無理なく、吸い上げられている。

どうでしたか、と先生が訊いてくれてそれに対して感じていることを伝えようと考えているうちにまだまだからだが変わってゆく。
私以外の誰かが発見した感覚を聞くことでもまた、そうだ、そうかもしれない、というように感覚が増えてゆく。
関節はそれぞれのかたちで決まった動きしかできないけれど、それをサポートする筋や筋肉はもっと自由で、豊かだ。
骨それ自体は曲がったりねじったりすることはできないけれど、それぞれを繋いでいる空間はもっと柔軟だし、滑らかだし、規制がない。

ちょっとからだに聴いてあげるだけで、こんなにも発想があるのかと驚いた。
当然のことなのに忘れていた、肋骨は全部がひとつのものとしてしか動かないわけじゃない、ということも再確認。
そのうち肋骨一本いっぽんをばらばらに動かせるようになっちゃうかもしれない…というのはちょっと気持ちが悪いけれど。

いろんなひとの話を聞いていて思ったのだけれど、小さな頃からしっかり訓練を受けてきてからだを作り上げてきたひとにとってのこの作業と、私が気付いてゆくこの感触とはまた違うのかもしれない、と先生に言ってみたら、たぶん大きく見れば同じことなのよ、というふうに感じたみたい。
まだ、そこは自分のなかではわかっていない。

けれどとにかく、私のなかや周りの空間に支離滅裂に漂っているこの感覚、気付きとか感触とか意識が、ちゃんととんとんと整頓されてクリアになってゆくかもしれないという気がしている。

HLMの裏手で


このお店に置いてあるお香が好き。
ジャスミン、ホワイトジンジャー、それから雨に包まれた森、という名の。
一度焚くとしばらくはいい香りがつづく。

写真を撮ることに夢中な私を友達が見守る。
不思議なことに、たった今私はそのひとみに入り込んで自分を見ることができるような気がする。

あったかいね。
うん。
もう一本吸っていこう。
じゃあ、あたしはこの映画館椅子に座ろ。


ライターを探った時に、ふと森に降る雨が香った。

ずっと降っていたらいいのに。