トーリング契約をご存じ?

 

トーリング契約とは「顧客から燃料を預かり、電気に変換して顧客に返す発電事業の形を指す契約。電力売買契約の一種で、IPP事業者が売電先と締結する」

まさに火力発電所がトーリング契約により燃料を得て発電電力の有価物に変えて収益を得るというパターンだ。

これを系統用蓄電池に応用するもの。

 

系統用蓄電池は火力発電で使う燃料ではなく、充電電力にすり替わる。なのでトーリング先はバランシンググループを持っている小売電気事業者がターゲットとなる。

 

トーリング契約は規模の小さい高圧でなく規模の大きい特高蓄電所に限定される。

個人事業主の出る幕はない。系統用蓄電池をやめとけ! の一例である。

系統用蓄電池の開発手法として補助金をゲットするかしないかの選択肢がある。

SIIの系統用蓄電池・水電解装置導入支援事業や長期脱炭素電源オークション(LTDA)がまさに補助金ありきの事業。

それに対し補助金に頼らず完全市場取引で運用するのがフルマーチャントだ。

 

市場取引は①容量市場、②需給調整市場、③卸電力市場の3つがあり、それをフルマーチャント取引して収益を得るビジネスモデル。

まさにハイリスク・ハイリターン取引である。

 

一部の業者はフルマーチャントで参入する。ある意味正統な参入方法と思う。

系統用蓄電池とアグリゲータは一心同体の関係がある。

系統用蓄電池の充放電性能がよくてもアグリゲータのアルゴリズムが悪ければキャッシュインが悪くなる。その逆も同じ。

系統用蓄電池にとってアグリゲータの選定はキャッシュフローの良しあしにつながるのでとても重要。

また、アグリゲータが大容量のバランシンググループを持っていないければ元も子もない。

高圧の系統用蓄電池もアグリゲータサービスフィーは月110万円くらいで年1,300万円。確かにFIT売電にはこの費用はゼロだ。

これにびっくりして、自前でアグリゲータを作る動きがあるが、バランシンググループがないのと、制御アルゴリズムが作れないのでうまくいかない。

制御アルゴリズムはイギリスUKのクラーケン(Kraken Technology)のシステムが良いだろう。インプリメントはめちゃ高い。東京ガスのTGオクトパスエナジーはクラーケンを使っているみたいだね。

 

系統用蓄電池は電力需給システムに深くかかわりがあるので、どうしても電力会社系のアグリゲータ(関西電力のE-Flow)が有利となる。

ただ、電力会社系のアグリゲータは規模を追うので特高系統用蓄電池しか受け付けない。

 

アグリゲータはアグリゲーションコーディネータ(AC)とリソースアグリゲータ(RA)に分けられるが、発電事業者としてはAC/RAを一体として運用を依頼する。

あっ、需給調整市場にも触れないといけない。

 

系統用蓄電池は発電量調整供給契約となる。受給契約のFITと比べれれば、FITはチョー楽じゃんとなる。

 

FIT太陽光発電のポスト金儲けビジネスとして、系統用蓄電池がマスコミ記事を賑わしているのは周知のとおりである。

 

しかし、系統用蓄電池の開発・運用 個人事業主はやめとけ!と言いたい。

なぜならば、系統用蓄電池の最低容量がFIT高圧太陽光の最大容量と同じスケールである。

FIT高圧太陽光の2MWをコーポレートファイナンスで複数回せる人はとても少なかったろう。あの山佐は例外として。

そもそも、系統用蓄電池は特別高圧FIT太陽光で多用されるプロジェクトファイナンススキームでないとできない商品と思う。つまり、低圧FITや高圧ミドル太陽光で扱われたコーポレートファイナンス(リコースローン)ではすぐに資金が枯渇する。

数十億~数百億の金主を投資家から得る必要があり、それはプロジェクトファイナンスでないと不可能だ。

 

低圧FIT太陽光で一儲けした業者がポスト太陽光ビジネスで高圧系統用蓄電池に参入希望する向きがある。

 

面白い話として、アグリゲータに系統用蓄電池の発調契約申込を相談する際に、その前段階の接続検討申込をアグリゲータに代行してほしいという要望が少なからずあるそうだ。

確かに低圧FIT太陽光分譲業者は税別20万かかる接続検討申込をケチってやったことないのでそういう発想になるのだろう。このような業者はアプラス・ジャックス・イオンしか知らないので当然コーポレートファイナンスを組成するスキルがない。

またコーポレートファイナンスは信金や地銀も組成スキルがない。

 

卸電力市場JPEXの超快晴時に発電しすぎて昼頃の0.01円/kWh 売りの時にたっぷり充電しといて、夕方に放電して稼ぐアービトラージという鞘取り手法はFIT太陽光のkWh取引と同じでわかりやすいが、365日すべてが0.01円/kWhとなることはない。

なので、容量市場や需給調整市場にも参加しないと蓄電池の稼働がもてあそぶ。

 

そう、需給調整市場をうまく使えばとても儲かるが、需給調整市場は電力の系統運用の経験者でない限りとても分かりにくい取引だ。また、新生アグリゲータがこの調整市場をうまく活用できるとは限らない。

 

系統用蓄電池は通信が肝である。アグリゲータとの通信断が続けば蓄電池はただのオブジェでお金を生まない。

FITは連系したらすぐにキャッシュインできるが、系統用蓄電池はキャッシュインする前のキャッシュアウトがとても大きく、リスクがとても多い。どうしても機関投資家の資金を溶かしてもよいノリで開発を進めないとうまくいかないだろう。

 

だから、系統用蓄電池の開発・運用は資金力のない個人事業主はやめとけ!となる。

系統用蓄電池分譲販売どの営業が芽生えているが詐欺的要素満載なのでそれもやめとけ!だ。そもそも蓄電池分譲売り業者が需給調整市場の仕組みを知らないのだから。

 

2025/2/19-21に東京ビッグサイトでPV EXPO(SMART GRID EXPO etc.) 春が開催された。

東5、東6ホールではSMART GRID EXPOブースで系統用蓄電池関連ソリューションがたくさん出展され大盛況。

一方、PV EXPOは辺鄙な南館に押しやられ、凋落感を感じた。

今回は系統用蓄電池についてコメントする。


系統用蓄電池がポストFIT太陽光発電のように業界が誘導しているように思うが、低圧分譲FITやミドル高圧FIT業者が資金面や運用面で手が出せる投資ではない。

FITの固定買取契約はバランシングも送配電会社に押し付けることができ、FIT認定通知書があれば手続きは簡単だった。
 

ところが、系統用蓄電池は低圧はないし、最低容量の高圧でも2,000kWのキュービクルとなる。

高圧FIT太陽光も手掛けていた分譲業者もせいぜい1,000kWどまりで2,000kWのキュービクルは取り扱ったことがないと思う。

また蓄電池はとても重くコンテナタイプだと30トンから40トンもある。

これを運搬するのはとても大変である。港からサイトまで橋が重量制限で通れないことが多々ある。

また、隘路や勾配があるとトレーラーは入れない。

ユニックで蓄電池コンテナを吊り上げられないので、60tから200tのラフテレーンクレーンが必要だ。

蓄電池をコンテナタイプでなく、CATL EnerOneのようなボックスタイプにすればユニックでも吊り上げできそうだが、複数のボックス構成となり、コンテナタイプより数割コストアップとなる。

 

FITでないので、バランシングを自分でやらないといけない。発電バランシングと需要バランシングの両グループに登録が必要だ。登録小売電気事業者でないとできない。

発電量調整供給契約、および接続契約を登録小売電気事業者を通じて申し込む必要がある。
(未定で申請する裏ワザがあるが関西電力は未定を許さない。E-Flowがあるからかもしれない)

 

高圧系統用蓄電池(BESS)2MW/8MWhの設備は土地と工事費負担金を含めても6億円。自分で作ったとしても4億は超える。

4億を融資してくれる金融機関は外資系ファンドの手を借りない難しいのではないか?

もちろん日本の金融機関も手をこまねいているわけでもなく、投資先を見極めている印象だ。

RE100電力やしろくま電力が高圧BESSを運開したが、設備は大企業か数億円の手金を持つ資産家が参加している印象。

これを100件構築しようとすれば資金面で息切れしてとても続かない。

 

発電所の名義は低圧/高圧分譲FITのような企業名義では融資面で難しく、特高で使われるプロファイ手法のGK-TKスキーム、ノンリコースローンとなる。この辺のノウハウは低圧/高圧分譲FIT業者には無い。

 

よって日本の系統用蓄電池は外資の投資家がメインにならざるを得ない印象だ。

 

なお、高圧BESSの工事費負担金は一番安くて25万円、高いと1.5億になる。4,000万円を超えるとよっぽど搬入条件が良くない限り案件ドロップ。2年以上の足が長いのもだめ。

農振・農転の土地も避けられるだろう。

とりとめもなくだらだら書いたが今日はここまで。
 

今回は特別高圧 系統用蓄電池(BESS)の単線結線図を紹介するので参考にされたい。
 

特別高圧発電所の単線結線図は高圧とは書き方が変わる。接続検討に耐えながらも一瞥容易性を重視した簡潔表記かつ、冗長・煩雑さを避けるべくブロック単位の記載を意識しなければならない。

(他社の接続検討申込書を見る機会が結構あるがこのブロック記載をしているかどうかで何となくレベルがうかがえる。ブロック記載をしていないと読み込みに時間がかかり頭がウニになる。後述するネットワーク理論を履修していないと考えが及ばないのかもしれない。実は私もこんな仕事でこの知識が活きてくるとはびっくりしている。電気工学よりシステム工学の領域かもしれないが)

 

そのブロック分けの大区分は、1)受変電設備、2)中間変電所および発電設備 である。

特に2)は簡潔なブロック図表記が肝要だ。徒(いたずら)に詳細スケルトンのコピペでは脳が足りない。往々にして器具番号の連番が間違っている)
2)をブロック表記できれば、単線結線図はA3ランドスケープの2ページ構成で済む。

2)はネットワーク理論(グラフ理論)の木構造 エッジ・ノードの考え方を適用する。それは様式5の11 インピーダンスマップとの整合性まで意識する。トポロジーは1:N構成でなく、フィーダ分岐ノード単位にRMUを用いたデイジーチェーン構成がスマートだろう。

中間変電所の電圧は22kVとしている。33kVも可能だがコスパが悪化する。さすがに66kV対応はない。

 

なお、接続検討申込において蓄電池はチリング/ヒータユニットの電源を別に供給しなければならないメーカは避けている。単線結線図の描画が面倒になるからだ。そこでPCSと蓄電池が一体化したTESLA MotorsのMegaPack 2XLを採用している。

(蓄電池用チリング/ヒータユニットの電源回路を記載しなくても接続検討申込に耐えられるが、私は実施設計との乖離が激しくなるので嫌い)


私は特別高圧BESSの単線結線図もエクセルでフルスクラッチ描画し、接続検討申込書(様式5の4)にコピペしている。別紙参照しないよう心がけている。

 

特別高圧の単線結線図で必要な情報とポイントは以下である。

  1. 受電電圧と電源周波数
  2. CT容量、変流比、確度階級(1PS級)、定格耐電流(25kA,31.5kA,40kA)、過電流定数n (系統用蓄電池は計量のため精度の高い確度階級を求める)
  3. ESRの記載 CTを貫通接地
  4. 系統解列箇所の赤文字明示
  5. EVTの一次二次三次の電圧(連系変圧器の両端)
  6. 連系変圧器はΔ-Y結線 MTRの容量、一次xxkV/二次22kV電圧、自己容量%Z、 タップ電圧
  7. 変圧器容量が5,000kVA以上の場合は変圧器故障を検知する87などの設備(中間変電所TRにも電技上適用必須だが接続検討申込段階では無視しても耐えられる)
  8. 所内変圧器22kV STR 50~75kVA程度
  9. 停電時の電源バックアップ回路(鉛蓄電池で保持する)
  10. 主変圧器の容量 必要に応じて自己容量%Z (高圧は%Zの記載省略)
  11. 66kV受電以上はTSOと通信するCDT
  12. フィーダ盤VCB 51R,51GR (フィーダ盤は同一構成繰り返しのため一部をブロック化)
  13. フィーダ盤より先は中間変電所および発電設備のページに分ける
以下は特高受変電設備の単線結線図の例。電圧、CT比などサイト単位で異なる数値は電圧階級や容量に応じて別シートの入力で変えられるようにしている。そこはExcel機能を最大限活用。でもこのエクセル、2025年度の接続検討申込ひな型でCT列セルまで細かく区分されているがこの単結シートにおいては価値がないと思う。

接続検討申込(様式5の4_単線結線図)の書き方を紹介する。

例は系統用蓄電池(高圧)。

単線結線図はCADで書く人がほとんどだと思うが、私はエクセルの図形で書いている。

つまり、接続検討申込に耐えられる要点を書き記した図面であればよい。

別紙参照もせず、(様式5の4_単線結線図)に図として張り付けるかリンク貼付としている。

エクセルの図形で書くと、変圧器、パワコン容量、CT変流比など設備固有の情報を別様式からセルを参照して単線結線図に自動更新することで、作成時間が短縮できかつミスが防げるのがメリットである。

 

 

接続検討申込(様式5の3_設備運用方法)の書き方を紹介する。

なお、様式5の1、および様式5の2は提出不要なので私はエクセルワークシートから削除している。

 

様式5の3_設備運用方法は - 発電機運転パターン、受電地点における受電電力パターン - をエクセル独壇場のグラフ機能でお絵描きする。

時間当たりの受電電力(プラスは系統に送る売電、マイナスは系統からもらう買電)を表現するのを押さえればちょろい。

注意点として自家消費電力を受電電力に加味する必要がある。

 

太陽光発電の受電電力は快晴時の夏季のみ記載している。なお中国電力ネットワークは夏季以外にももう一つの季節のグラフを書かないと申請不備になる。私はワークシートを季節ごとにコピーするのではなく、一つのワークシート内でコピーして、2ページ印刷する構成としている。

系統用蓄電池の場合は、様式3_逆変換装置の(24)蓄電容量の時間と同値とする。放電時間3時間をグラフに書く。
充電時間は昼間の4時間とした。別に放電時間と同じ3時間の申請でもよいが、充電ロスがあるので実運用の充電時間は3時間では足りないかもしれない。

 

 

 

接続検討申込(様式4_負荷設備および受電設備)はとり立てて説明する内容でもないのだが、お付き合いいただければ幸いだ。

 

ここでは所内電源および高調波や電圧フリッカを発生する装置があればそのスペックを記載する。

高圧でいえば、6,600Vから低圧に変圧する小容量トランスのスペックを示す。
 

6,600Vから低圧に直接変圧する所内トランスがなければ、様式3_直流発電設備 2.昇圧用変圧器 の記入内容をそのまま転記すればよい。

 

1.負荷設備 (1)合計容量は 様式2_発電設備等の概要 6.自家消費電力(発電に必要な所内電力を含む)の最大電力と一致させないと申請不備になる。

力率は85%~100%の間にすればよい。ここで力率0を記入すると申請不備になる。電力契約できる最小の力率85%を記入すればよい。不明で逃げる手もある。

 

なお、タップ切換器仕様のFはFull Tap(全容量タップ)、RはRated Tap(基準容量タップ)である。無記名のタップは低減容量タップといい、トランス定格容量フルで使えないタップ電圧である。

 

パワコン(逆変換装置)は高調波を発生させる機器だが、この様式4は所内設備での高調波発生機器や電圧フリッカ発生機器の有無を問うのでを記入する。

電力会社はやたらフリッカに五月蠅い。

5.電圧フリッカ発生 で ( 無 )とすれば、本来、電圧フリッカ対策の欄はdon't careで( 有 ・ 無 ) そのままでよいのだが、九州電力は特にしつこく、 ( 無 )にしなければ申請不備になる。

 

最近は系統用蓄電池の導入がブームだが、接続検討申込書の(様式3_逆変換装置)の記述に特徴がある。

逆変換装置は耳慣れない用語だが、日本の電力業界でパワコン(海外ではインバータ)をそのように呼称する。

系統用蓄電池がなぜトレンドなのか。近年全国で太陽光発電の出力制御が増えてきているので、この電気が余ったときに0.01円/kWhで系統から買電するのがこの蓄電池単独構成である。(太陽光黎明期のレジェンド達が好む、嫌でも買電しない太陽光パネルを併設する構成とは異なる)
この様式は基本的にメーカーが指定する数値を書き込めばよいのだが、(充電側)と(放電側)は設置者の裁量でそれぞれの数値を記入する必要がある。

高圧向け系統用蓄電池は特別高圧契約にならないよう、かつ蓄電池コンテナの自家消費電力をみて、パワコンを出力制限する必要がある。もちろんメーカの出力制限証明書の添付も必要だ。

なので、蓄電池のメーカーや構成により受電電力が微妙に異なる。ここでは総出力Pが1,883kWになるよう、パワコン20台のすべてが1台あたり100kWから94.15kWにダウングレードして出力制限している。蓄電池コンテナのチラー動作による自家消費の最大が116kWである算段で、電力系統からもらう充電時の最大受電電力(充電時はマイナス表記)は-1,999kW(充電1,883+自家消費116)なので、高圧受電ギリギリセーフになる。
※充電と放電は同じ有効電力としている。EMSで充放電指示の都度パワコンに出力設定できるなら違う申請パターンがありえる。この申請はEMSに頼らない構成とした。

 

(24)蓄電容量はパワコンの単機容量でなく、先ほど説明した放電時のパワコンの最大出力1,883kWを入力する。
ついつい、単機容量94.15kWとしがちだが、大体不備になる。
 

充放電の時間は3時間である。バッテリが4時間充放電システムであっても、様式5の3(設備運用方法)のグラフと一致させ、需給調整市場の三次調整力①及び②のブロック時間3時間と同じにしておく。ここに記入する時間は系統用蓄電池運用の時間であって蓄電池の時間容量スペックを示すものではない。ここでなぜバッテリを3時間充放電でなく4時間充放電システムにするのかは20年の運用による劣化率を考慮しているので。20年は経年劣化による蓄電池交換はしないデューデリをする。

三次といえばターシャリ(Tertiary)だ。余談だがトップレベルの日本在住英語話者でも知らない言葉の様子。それは日本の学校教育で教えていないからだろう。しかし英語ネイティブ話者はターシャリを知ってた。