講演ネタ 経済とお金1 | 秋山のブログ

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今回は経済を理解する上で最も重要なお金の話をします。
まずお金とは何でしょうか?普通に暮らしている人であれば、お金を財宝のようなイメージで捉えている方が多いと思います。昔は貴金属が貨幣として使われることが多かったために、お金に関して間違った理解がなされていました。しかし信用通貨の時代になって、お金とは何か分かってきました。お金とは何かと言えば、債務の遣り取りをおこなうための経済の道具です。流動性、計算性、貯蓄性を持つ債務証書のようなものであり、俗っぽく表現するならば第三者にも通用する借用書といった感じでしょうか。
経済とお金を極めて単純化した図を書いたので御覧ください。お金は何かモノを買った時に支払われ、人から人に移動していきます。支払われればその人の懐から無くなってしまいますが、社会から無くなることはありません。一方、お金は現代社会においては銀行からの貸し出しによってのみ発生するものです。そして返済によって消滅します。これが基本です。
 
実際はこのような循環が大小たくさんあってそれが相互に組み合わさって成り立っています。また収入を全て支払うわけではなくて、税金を徴収されたりしますし、一部を預金したりもします。貸し出しだけでなくて以前預金していたものを引き出して使うこともあるでしょう(元を辿れば誰かが以前貸し出されたものです)。お金を借りている人には利息の支払いもあります。
このようにもう少し考えなくてはいけないことがありますが、この基本的構造を理解するのは有益です。これが分かると、経済において起こる様々な現象について正確に説明できるようになるでしょう。特に、お金が支払われて人から人へ移動しグルグル回っていく実体経済における貨幣の循環が重要ですので、意識してください。ちなみにこの支払い全てを合計すれば、大凡国民がおこなった生産の総計であり、消費の総計でもあります(≒GDP)。銀行の貸し出したお金の総計がマネーストック(ほぼ)です。
それではいろいろ考えてみましょう。図を見ながら考えてください。
生産能力が上がってより多く生産できるようになったとします。そして多く手に入れられるのならば消費する意欲も人々にあるとします。しかしそのままではその生産能力は活かされません。より多く買うためのお金がないからです。そのためには誰かが銀行から借り入れをおこなわなければならないでしょう。より多く生産し、より多く消費すること、すなわち経済が成長するためにはマネーストックが増加していく必要があります。(価格が下がればよいといった意見もありますが、より多く生産した者が利益を得ないのは不健全ですし、実際に価格はあまり下がりません)
マネーストックと言えば、物価との関係が有名で、以前は明らかな相関があり、またマネーストックの方が先行するので因果関係であると勘違いされていました。そのカラクリを説明すると、以前は労働者の賃金は上昇するのが常識であり、また金利も高かったために、企業が製品の価格にその分を上乗せしていたからです。そして上乗せしても賃金もあがっていたので、経済全体から見て問題はありませんでした。実際、以前の日本では賃金の上昇率が物価の上昇率を上回り、且つ相関していました。
今度は逆に、貨幣の循環から貨幣が失われることを考えてみましょう。例えば皆が使わずに貯金したり金融商品にお金を注ぎ込むことが考えられますね。金持ち程貯める率が高いので、格差が拡大すると失われることになります。また、利率が上がることもそうですし、税金や公共料金が上がることもそうでしょう(税金の場合は財政再建のためでなければ戻ってきますが、速度の問題があります)。
そして貨幣が失われる場合は、貨幣が増える場合の逆で生産能力がより活かされなくなります。すなわち景気は低迷し、失業が増えるでしょう。金利を上げることで景気の悪化はほぼ確実におこりますが、まさにそれに合致しています。景気対策である金融政策の意義は金利を下げることですから、貨幣の循環から流出するお金が減ることで効果を発揮するということが分かるでしょう。財政政策は国が借金をして貨幣を供給するということで景気を回復させます。
 
◆まとめ
  • お金は財宝などではなく、経済行為のための道具。
  • お金は使っても無くならず、人から人へグルグルまわっていく。
  • 現代のお金は誰かが借り入れることによってのみ発生する。
  • 経済を理解する上で、実体経済における貨幣の循環が重要。
  • 人々がより多く生産し、より多く消費できるようになるためには、お金が増えなくてはならない。
  • お金が減ると、需要不足になって不景気になって失業が増える。
  • 金融政策も財政政策もお金を増やすことで作用する。
ちょっと難しかったでしょうか。
他にもいろいろなことが言えますが、長くなりましたので本日はここまで。