講演ネタ 経済とお金2 | 秋山のブログ

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経済とお金の話の話の続きです。
前回、現代のお金は誰かの借り入れによってのみ発生するものであると説明しましたよね。まずその証拠を提示したいと思います。
これは日本の金融資産の推移です。家計、企業、政府が持っている資産と負債の差を経年的にグラフ化したものです資産の総額と負債の総額が完全に一致しているのが分かると思います。借り入れによって誰かに負債が計上され、同時に金融資産が発生した結果、このようなことになります。
 
グラフに関して少し検討してみれば、1990年代前半までは政府の負債はほとんどなく、企業は負債を負って活動していたことが分かりますね。その後、政府が負債を増やしています。しかし家計は常にプラスの状態です。個人は、若い時に働いてお金を貯め、老後はそれを切り崩して生活するというのが基本ですから、それは当然のことでしょう。そしてそれを実現するためにも企業なり、政府が負債を負っている状態が健全です。政府と個人を混同して、政府の借金が多くて大変だなどと考える人がいますが、明らかに間違っているわけです。
さて、1990年代後半から政府が負債を増やしているわけですが、もしここで政府が負債を増やさず、企業が負債を減らしていったとしたら経済はひどい不景気になって壊滅状態になっていたでしょう。企業が負債を減らした分、家計の資産が減らなければなりません。家計の資産が減るということは、支出以上に賃金が抑制され企業の借金返済、もしくは内部留保に回されるということです。モノの買い手である家計の収入減はすなわち有効需要の減少です。
それでは企業は何故借り入れを減らし、内部留保を増やす方向に舵をきったのでしょうか。それは以前は借りるほうが得であったのに対し、借りる方が損になったからです。以前に比べて現在の金利ははるかに低いですが、相対的にみれば現在の金利のほうが高いということです。何に対して相対的かといえば、それは成長率です。高い金利で借りても、世の中のモノの価格が高くなった率と、生産し消費されるモノの量が多くなった率を掛けあわせた成長率より低ければ借りた方が得です。ところが現在は、お金を持っていて、誰かに貸したほうが得という状況になっているので、内部留保貯めようとするのも当然でしょう。
さらに、何故そのような状況になったかと言えば、インフレターゲットというとんでもない愚策のためです。インフレターゲットというのは、インフレを2%に抑えるために物価が上昇したら金利を上げてインフレを抑制するという政策です。ちなみに何故2%かと言えば、実証による根拠は存在しません。理論的にそうすると経済が最も効率的になると主張する経済学者が存在しますが、その理論も実証の裏付けのないものです。

インフレターゲットをおこなうとどんなことが起こるか説明するために、ここでもう一度前回の図を提示しますね。

 
金利を上げると貨幣の循環からお金が失われる量が増えます。消費量が増えるにせよ、価格が上がるにせよ、そのためには消費者の収入が増加する(貨幣の循環のお金が増える)必要があるということから分かるように、この循環からの貨幣の流出は、当然インフレを抑制もしますが、同時に必ず成長を抑制し、景気を悪化させます。
すなわちこのインフレターゲットという政策は、景気を悪化させ、経済のパイ全体を縮小させるというとんでもない政策であることが分かります。
 
◆まとめ
  • お金は資産と負債を合わせると必ずゼロになる。
  • 企業や政府が負債を負っている状況が健全。
  • お金を借りると損な状況なので、企業は内部留保を貯めようとする。
  • インフレを2%にするとよいという実証的根拠は存在しない。
  • インフレターゲットという政策は、景気を悪化させ、経済のパイ全体を縮小させる。
また次回に続きます。