物価に関して | 秋山のブログ

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「新・日本経済入門」では、物価について取り上げている。インフレターゲットの話から初めて、物価上昇率は低い方がいいという考えが昔はあったこと。今では2%ほどがよいという考えになっていることが書かれている。
ところで、ここにたいへん問題のある部分がある。『どうして二%なのか』という項だ。二%が何故選ばれたのかという答えとして、社会的厚生の大きさを示すグラフを出しているが、これは決してしてはいけないことである。グラフは、きちんとデータを計測して作られなくてはいけない。しかしこのグラフは決してそのような手続きを経て作られたものではなく、単に仮説をグラフ化しただけなのである。また、もしこれがデータをとって作られたグラフであったとしても、まだ全然足りない。何故そのようになるのか、事実に裏付けられた要素でその構造を説明できなくてはいけないだろう。

物価に関しては今まで様々考察してきた。

基本的な考えとして、価格が上がっても購入できるお金を消費者が持っていなければ、価格が上がることは困難だろう。借金したり、貯金を切り崩したりする場合もあるだろうが、収入が上がらない前提では継続しない。
国民の貨幣に対する信任が下がることによって、物価は上昇しない。信任が下がることで物価が上昇するという話は、物価の上昇を信任の低下と言い直しただけに過ぎない。為替は現在人気投票によって決定されるので変化する(輸入品の価格は上がりうる)が、そこには一長一短がある。
価格はコスト(どこまでをコストと考えるかはいろいろな考え方ができる)に利潤を上乗せしたものに競争状態や需給バランスによる綱引きがおこなわれて調整され決まるものであるから、それらの要素は物価に影響を与えるだろう。(心理的要素も少しはあるかもしれない)
物価の上昇の経済への影響は、消費者の収入の増加、及びその偏りを必ず考える必要がある。

マネーサプライの変化とその約2年後の物価の変化が一致していたという話は少し機序が違うと考えられる。企業が設備投資した製品が市場に出回るのが平均して約2年なのだと推測する。投資した額が上がった分、返済等のためにはより高く売らなくてはいけないので、企業は上乗せして価格をつけるということだと推測した。

「新・日本経済入門」には物価に関して知らなかった事実の記載があった。デフレの特殊な状況である日本は別として、先進国でも物価は上昇しており、物価は上昇していくものだと考えていた。しかしながら、第二次世界大戦までは、戦時中に上昇し、戦後不況で低下するという現象はあるが、概ね一定もしくはわずかな上昇傾向であるものだったようだ。
理由に関しても記述がある。賃金の下方硬直性、不況時の政府による財政政策などによるとのことだ。これは確かにあるように思われる。ただ私としては、貨幣の発達によって金鉱が決めていた信用創造の限界から離脱したことを付け加えたいと思う。