景気循環に関して | 秋山のブログ

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ジュグラーの波とかコンドラチェフの波といった言葉を見ると、何十年も前の大学での経済学の講義を思い出す。「新・日本経済入門」では、成長と景気循環に関して章を設けて説明している。理論的背景として、様々な波の説明があった。

それぞれの波の説明を見れば、いついつ誰々が発見した、確認した、証明したなどという記載をみるのであるが、実際どのような証明なのか確認しようとしたところなかなかよい資料が見つからなかった。断片的なデータや文書等を調べた限りは、十分といえる証明には全くなっていないようである。

データが正確に一致しなくても、波を起こすものが分かっていて、その変動と一致していたり、それを調整することで波を操作出来るのであれば、かなり有益な概念になるであろう。設備の再投資だったり、在庫だったり、様々な要因が考えられたが、しかしこれもまた芳しくないようだ。

いくつかの波の説明とは別に、「新・日本経済入門」では少し懐疑的にリアルビジネスサイクル理論について記述されている。
このリアルビジネスサイクル理論は、そのものが正しいというエビデンスもなければ、理論を構成する要素のひとつひとつが現実と大きく乖離している。こんなものが認められたことに驚きを隠せないが、なんと2004年にはノーベル経済学賞が与えられている。ノーベル経済学賞が与えられたことが、このゴミ理論が市民権を得た大きな要因であるが、このことからもノーベル経済学賞が極めて政治的なものであり、科学からかけ離れたものであるということが分かる。
リアルビジネスサイクル理論は、不況が有効需要不足であるという正解、その帰結が財政政策(インフレをおこす傾向にある)に行き着く正解を、否定する目的で考えられたものであろう。供給側だけの問題で景気の悪化が起るというもので、このモデルを信じれば、賃金は常に適正であり、失業は自発的なもので、需要不足などないということになるが、それは証明されたものでも、エビデンスがあるものでもなく、そう決められて(もしくはそうなることが必然となる条件が与えられて)モデルが作られただけである。

景気循環は、何が景気に影響するのか、その要因を探る発端とはなりうるが、それ以上の意味はないだろう。理由も問わずに、不況を波のせいにするのは、最も愚かな態度であろう。不況の理由は別に難しくない。
生産能力が向上すれば、同じ生産をおこなうための人数は少なくなる。働いている人間一人辺りの収入が増えるはずであるが、その分を消費性向の低い資本家層が搾取して、働いている人間の所得が増えなければ、失業し転職した人間が新しいビジネスを始めても、それに払う費用は発生しない。さらには、失業者が増えることで、労働者の賃金が下がることもある。これらのことにより、有効需要が減るというのが、不況だ。もちろん、政府の失策等で貨幣が減少して起きる場合もあるが。
(労働者にしろ、資本家にしろ、消費を我慢して貯蓄しようという意欲は存在する。これをゼロにすることは無理なことでもある。そこで、信用創造が行なわれ貨幣が供給される必要がある。上手く貨幣が循環するためには、名目金利が名目成長率より低く、時間とともに貯蓄が目減りしていく必要があるだろう。そして嘗ては現実にそのような関係にあった)