狂乱物価 | 秋山のブログ

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狂乱物価にかんしては以前も取り上げたことがあったが、分かりにくく修正も必要と考え、もう一度書こうと思う。

 

一部修正し、再掲する。

『インフレがピークだったのが1973年から1974年。マネーストックの上昇は、その2年前に既におこっていたことになる。第4次中東戦争は1973年10月勃発なので、このマネーストックの上昇とは関係が無い。また、原油の値上がりや輸入量から考えられるコストプッシュインフレであるとしたら、上がりすぎ』である。
『狂乱物価でのインフレがおこる2年前のマネーストックの上昇は、超高度成長促進のインフレ策で説明がつく。その後の総需要抑制政策は73年12月に始められている。』

 

ここから新しい考察である。

バブル以前のマネーストックの増大は、企業の借り入れの増大である。そのお金は設備投資などで使われ、経済を循環することになる。労働者の増加に比して、お金ははるかに大きく増えているので、一人あたりの賃金は大きく増加できる状況にある(グラフにしなかったが、賃金の引き上げ率を見るとマネーストックの2年遅れにこれもよく相関している)。もちろんマネーストックの増加が賃金に全て反映されている訳ではない。また、賃金が増加した分そのまま物価が上がるわけではなくて、より多くのモノを買って消費するようにもなるだろう。(インフレの後で、遅れて賃金があがるという主張もあるが、それは通常の場合ではない)

企業は、モノを売って回収できると考えるから融資を受けるわけで、少なくとも融資を受けた金にかかる金利分は上乗せするだろう。人件費も上がっているなら、それも商品のコストが上がる一因だ。上昇率が2年ずれて同じ傾向を示すのは、商品供給までのタイムラグ、マネーストックが賃金に波及するまでの時間、どちらも考えられるが、おそらくどちらもあって上手く回っていたのだろう。

現在のマネーストックの増大は、主に政府の財政政策によるものである。しかし多くの企業が内部留保に走り、賃金に反映させない。一方、企業は借金を返す必要もなく、価格を上げる圧力もかからないので、物価の上昇はおこらない(需要も乏しい)。当然、マネーストックの増大と物価は相関性が低くなる。このような構造が改善されなければ(企業が借金して経営をおこなうという構造にならなければ)、何も考えずにひたすら借金をしてくれる(日本の現在のGDPの何倍も)外国が存在しなければ、財政赤字が解消されることはない。もちろん、そんなことはまったくありえないだろう。この構造を解消するためには、借金をした方が得な状況、金利が成長率より低い状況を作らなくてはいけない。しかし主流派経済学は、インフレを抑えるために金利を上げるという全く逆の政策が正しいという、現実と一致しない理論を主張してきたのだ。

狂乱物価の時も、金利を上げることによって物価を抑えている。しかし本来すべきことは、市場機能を整えたり、独占等の不具合に対して介入して是正すること。賃金の上昇に偏りがあるのならば、それを再分配することだろう。終戦直後のハイパーインフレ時の公定価格導入の効果は、意見の分かれるところであるが、効果が芳しくなかったのは特別に大きな需要超過があったからであり、ある程度供給力があるところで有効に働くことは、例えば医療における分娩費用が証明している。