ニュースを斬る 民間給与、4年連続増 | 秋山のブログ

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民間給与、4年連続増=非正規との格差拡大続く」という記事が、時事通信社のページにあった。今回はこれに関して。

 

民間給与(正規社員)が4年連続で増加しているのは喜ばしいことである。しかし以前の水準にはとても達していない。デフレで物価が下がっているというが、その下がり方は比較すれば問題にならない程度であり、各種給付の減少、公共料金その他の上昇によって生活費が増大していることを考えれば、スタグフレーションに状況は近い。現在は適切な状態にはまだまだほど遠いだろう。

 

ちょっと蛇足だが、比較してもらえば分かるが、賃金の推移は、およそ失業率の推移と逆相関している(元々のフィリップス曲線である)。

 

さて、この記事の問題点を上げれば、「非正規との格差拡大続く」という表現だ。

 

非正規の利用は、失業者を買い叩いているものであり、ワークシャアリングに近い性格のものである。

また、非正規の中には、扶養の限度内で働いている主婦もかなりの割合で含まれるため、平均すれば構造的に低くなるであろう。(同じ理由で、この記事のデータを元に、女性が虐げられていると主張したならば、それも誤りである)

一人前の労働力としての代価は支払われていないので、正規雇用と比べる事自体が間違っている。

 

さらに言えば、格差が広がっているなどと書くと、非正規が受け取るべき代価を、正規が横取りしているように誤解される可能性がある。現実は、資本家や会社(内部留保として)に両者とも搾取されていて、非正規がその立場の弱さからより大きく搾取されているだけなのであるが、正規の待遇を落とせという話を生みかねない。(同じ性質のもので、公務員の給与を下げろという主張をよく見かける)

 

何故、記者がこのような表現をしたのだろうか。

民間給与が4年連続増で終わっていれば、単純にアベノミクスの成果がでましたという話になってしまう。そこでわざわざ同時にマイナスなことも起こっているという話を見つけてきたのだと思われる(例えば安倍政権が非正規を軽視していて何もしていないといった印象を植え付ける)。見つけて来たと言っても、この件に関しては何も非難すべきことは存在しないというのが現実である。すなわち、この記者のやっていることは、印象操作で安倍政権の足を引っ張っていることに他ならない。

 

報道の自由が何故尊重されるのかと言えば、正しい情報が民主主義にとって重要だからである。最も影響のあるマスコミの姿勢がこのようなものであることは、大変な問題である。

 

既に多くの人が指摘するように、安倍政権の経済政策には間違っているものもたくさんある。そういうものを批判すべきであって、捏造しておかしな情報を垂れ流すのは、反社会性が極めて強い。