自衛隊へ行こう | 秋山のブログ

秋山のブログ

ブログの説明を入力します。

労働者の解雇の要件を緩和するというニュースが出ていて、私もちょこっとコメントしたのが、そのコメント欄で公務員の待遇改悪が先だという意見が支持を集めている。アメーバニュースのコメント欄を見て、いかに世の中の人々が理解していないか、勘違いしているか、騙されているか、感じるのだが、今回は特に強く感じた次第である。

まず公務員を削減したり、給与を減額したからといって、民間の雇用条件が改善されるわけではない。あぶれた元公務員によって求人倍率はさらに下がり、給与はさらに低くなるだろう。公務員の給与が下がれば、その公務員は消費を減らすため、以前に比べて売上げも下がるだろう。生活保護の話でもしたが、支出をけちって(緊縮財政で)得られるものは何もないのだ。(公務員の待遇悪化を主張する人の趣旨は、緊縮財政のための増税等である可能性はある。しかしそれならば増税の方を反対するのが筋である。緊縮財政自体があくまでも間違っているのだから)

ギリシャの例などでも誤って原因とされているので、公務員が多いことが、それだけで悪いことのように思ってしまう人もいるのだろうが、需要が足りずに供給が余っている状況では、民間の待遇から大きく逸脱しないようであれば、全く問題はない。

不況は、そして人々の生活の悪化は、労働分配率の低下が主因である。現在の日本人の生産性の高さは今まで散々書いてきた通りであり、本来少子化もほとんど問題ではない

労働分配率を改善するために一番重要なことは、企業の業績が改善することではない。世界に蔓延っている企業の役割に関する誤解(株主の利益を最大にすることが企業の唯一無二の目的というもの)のために、企業の業績が改善してもそれが労働分配率に反映されたり、需要に繋がったりほとんどしない。それを実現するためには、政府による規制(例えば最低賃金)だったり、労働組合だったり、人材獲得競争をおこなっている社会状況が必要だろう。
労働分配率が上がるということは、需要も拡大するので、結果的に企業の業績も改善、景気は好転するだろう。企業の業績が上がらなければ賃金も増えないなどと短絡的に考え、分配率を上げるような規制を廃止すれば(企業減税も同等)、結局分配率も上がらず、景気も好転しない。

人材獲得競争とはほど遠いというのが、現在の状況である。であれば獲得競争がおこなわれるように国が雇って何か仕事をさせるというのが当然の方法だ。つまり公務員を増やすことこそが正解なのである。財政政策は、何か新しい分野ができるのでなければ、永続的な効果はないが、国による新たな業種作成を実行すれば永続的に経済にプラスだ。公務員に程々の給与(現在介護職につけられている、労働に合わない、とんでもなく低い設定でなければよい)を与えるようにすれば、民間の給与は影響を受けて上がるだろう。(同時に中小企業対策や高すぎる金利規制などすべきことは多々ある)

イメージがわくように過去の実例で説明しよう。

今時の若い世代には想像できないかもしれないが、四半世紀前自衛隊では隊員を集めるのに必死だった。地方連絡部(名称が変わったらしい)という組織があって、街角でブラブラしている若者がいれば自衛隊に入らないかと声をかけてしつこい勧誘をしていた。地連には厳しいノルマが課せられていて、達成できれば天国、できなければ地獄と、地連に異動した部下から話を聞いたことがある。とにかく数を入れることが重要なので、シンナーで歯が溶けているようなこれはどうかというものまでとにかく入れようとした。そんなどうしようもないものを国防にあたらせてどうするのだという感想もあるかと思うが、軍隊の教育というのはその手の人間をまともにし、時には普通以上にすることもありうる。街角の勧誘で入ってくる隊員は、任期制隊員といって、そのうちの優秀な一部の人間しか、定年まで自衛隊に残ることはできない。よって質に関しては心配する必要はほとんどない(自衛隊の強さは下士官の質の高さである)。一方、任期(数年)で放り出される人間に関しては、国費で大型免許を取らせたり、様々な資格をとらせて社会で活躍できるようにもする。その経験をいかして一角の人物になった例も山程ある。
自衛隊に入らなくても、当時は仕事がたくさんあって、国が雇用を増やさなくてはいけない状況ではなかったが、うまく働いていなかった労働世代を活用するという意味も含めて、経済に様々なよい効果があっただろう。労働者を取り合う状況が強ければ強いほど、労働分配率は高くなる。

もちろん、自衛隊を増やせと言っているわけではない。あくまでもこれは例だ。しかし誰であれ、ちょっと考えれば、増やすべき仕事を思いつくはずだ。例えばiPS細胞に関わる大規模研究所とかで、博士浪人を大量に吸収するとか。
業務仕分けなどという愚劣の極みではなくて、業務を増やすアイデアを出すことこそ今すべきことである。