山崎豊子(1983)『不毛地帯(四)』新潮文庫
不毛地帯 (4)/山崎 豊子

¥820
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戦いは終わった。
私欲の抑制にこそ美学がある、とこれまでのわたくしは考えていた。しかし作中の壱岐をみていると、私欲がない人間は不幸だと感じるようになった。自分ではなく、他人の人生を背負い続けた壱岐の人生には結局、「贖罪」の意識しかなかったように思う。彼の葛藤は、一度でも彼自身に希望をもたらしたことがあったのだろうか。私欲に満たされ続けることがあれば、どんなに楽だったろうか。人が生きるとは、これほどまでに悲壮なものなのだろうか。
いずれにしろ壱岐の葛藤は強い覚悟を生み、その覚悟は近畿商事を救った。そんな彼は今後とも、あるべき英雄像としてわたくしの心の中に深く刻みこまれることだろう。

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戦いは終わった。
私欲の抑制にこそ美学がある、とこれまでのわたくしは考えていた。しかし作中の壱岐をみていると、私欲がない人間は不幸だと感じるようになった。自分ではなく、他人の人生を背負い続けた壱岐の人生には結局、「贖罪」の意識しかなかったように思う。彼の葛藤は、一度でも彼自身に希望をもたらしたことがあったのだろうか。私欲に満たされ続けることがあれば、どんなに楽だったろうか。人が生きるとは、これほどまでに悲壮なものなのだろうか。
いずれにしろ壱岐の葛藤は強い覚悟を生み、その覚悟は近畿商事を救った。そんな彼は今後とも、あるべき英雄像としてわたくしの心の中に深く刻みこまれることだろう。
吉川英治(1989)『宮本武蔵(一)』吉川英治歴史時代文庫
宮本武蔵〈1〉 (吉川英治歴史時代文庫)/吉川 英治

¥734
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「書物はいくらでも見よ。古の名僧は、大蔵へ入って万巻を読み、そこを出るたびに、少しづつ心の眼をひらいたという。おぬしもこの暗黒の一室を、母の胎内と思い、生れ出る支度をしておくがよい。肉眼で見れば、ここはただ暗い開かずの間だが、よく見よ、よく思え、ここには和漢のあらゆる聖賢が文化へささげた光明が詰っている。ここを暗黒蔵として住むのも、光明蔵として暮らすのも、ただおぬしの心にある」
という沢庵和尚の言葉が胸を打った。
武蔵は沢庵に諭され、新たな人生を歩みだす。本巻では吉岡道場、そして宝蔵院へと訪問までが描かれる。
作中に武蔵が陶器師の技に感動を覚え、陶芸の道と自らの剣の道を重ね合わせ、自身の不遜に熟慮する箇所がある。これぞ、一周遅れのなんとやらの精神であろう。他にも剣の道をただ極めようとする武蔵が、一見無関係な遠回りをする描写が幾度か描かれている。そうすることで、求道とは何たるか、我々に問いかけてくれているのかもしれない。

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「書物はいくらでも見よ。古の名僧は、大蔵へ入って万巻を読み、そこを出るたびに、少しづつ心の眼をひらいたという。おぬしもこの暗黒の一室を、母の胎内と思い、生れ出る支度をしておくがよい。肉眼で見れば、ここはただ暗い開かずの間だが、よく見よ、よく思え、ここには和漢のあらゆる聖賢が文化へささげた光明が詰っている。ここを暗黒蔵として住むのも、光明蔵として暮らすのも、ただおぬしの心にある」
という沢庵和尚の言葉が胸を打った。
武蔵は沢庵に諭され、新たな人生を歩みだす。本巻では吉岡道場、そして宝蔵院へと訪問までが描かれる。
作中に武蔵が陶器師の技に感動を覚え、陶芸の道と自らの剣の道を重ね合わせ、自身の不遜に熟慮する箇所がある。これぞ、一周遅れのなんとやらの精神であろう。他にも剣の道をただ極めようとする武蔵が、一見無関係な遠回りをする描写が幾度か描かれている。そうすることで、求道とは何たるか、我々に問いかけてくれているのかもしれない。
塩野七生(2004)『ユリウス・カエサル ルビコン以前(下)』新潮文庫
ユリウス・カエサル ルビコン以前(下)ローマ人の物語10 (新潮文庫)/塩野 七生

¥460
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ついに実現されたガリア征服。しかしここから、国内問題はむしろ混迷を極めていくことになるのである。カエサルの栄光はどこへ。
筆者のカエサルへの愛を最も感じた巻だった。彼の高い先見力、卓越した謀略の数々、常に確信めいた指揮。その全てが余すことなく詳細に綴られている。筆者の想像を交えながら。
政争に次ぐ政争。この時代、圧倒的な存在感を示しているはずのローマの世情になぜこんなにも不安を抱いてしまうのだろうか。政体と呼ばれる統治形態について考えるとき、ローマはなんと優れたサンプルなのであろうかということが改めて思い起こされる。

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ついに実現されたガリア征服。しかしここから、国内問題はむしろ混迷を極めていくことになるのである。カエサルの栄光はどこへ。
筆者のカエサルへの愛を最も感じた巻だった。彼の高い先見力、卓越した謀略の数々、常に確信めいた指揮。その全てが余すことなく詳細に綴られている。筆者の想像を交えながら。
政争に次ぐ政争。この時代、圧倒的な存在感を示しているはずのローマの世情になぜこんなにも不安を抱いてしまうのだろうか。政体と呼ばれる統治形態について考えるとき、ローマはなんと優れたサンプルなのであろうかということが改めて思い起こされる。

