根津美術館 企画展
茶入と茶碗 『大正名器鑑』の世界
を拝見しました。
同郷の先達茶人 高橋箒庵氏(本名 義雄)は
1861年茨城県水戸に生まれています。
明治15年慶応義塾卒業後
三井銀行、三越、三井鉱山、
王子製紙重役を歴任。
50歳にて実業界引退後は
茶の湯の世界を生き
名物の茶道具図鑑『大正名器鑑』を編纂し、
その偉大な功績は
現在の茶の湯の中に生かされています。
松永耳庵、村山玄庵 、原三渓、
野村得庵 らと共に、現在の茶の湯に
大きな影響を与えた近代数奇者として
知られています。
大海たいかい茶入も稽古道具とは
形も大きさも違い、短緒がほとんどでした。
後に関東大震災で失われた茶道具もあり、
何百年という長い間、伝世する茶道具や
日本の美術品を国内に守り続けた人々 の
おかげで現代の私達が學ぶ事ができます。
大変ありがたいことです。
祖母の着物や、祖父の道具など
誰の家にも大切なものはあります。
国宝級や文化財級の美術品も素晴らしい、
そして同等に
身近な面影も素晴らしいのが茶の湯です。
道具の「上手じょうて」「下手げて」
という区別は
その人間の心のあり様です。
茶道具は取合せのバランスであり、
本来そんなものはありません。
家にある、自分にとって大切なものを生かす
茶の湯をしましょう。
それは自分のルーツである先祖を
大切にする心につながります。
(文中敬称略)