皆様こんにちは
今回も茶花から、茶道や日本の文化
工芸を一緒に學んでいきたいと思います。
今回は
【燕万年青ツバメオモト】~【万年青】です。
実りの秋
晩秋には様々な実がなりますが
北海道から本州の高地に自生する
燕万年青の瑠璃色の実は格別に美しいですね。
和名の由来には、
葉が万年青(オモト)に似ていて
実の色がツバメの色に似ていること
などの説があるようです。
実がなる頃には花茎を30センチ以上も立て、
このような綺麗な実がなりますから
やはり燕の説が似合いますね。
なんだか燕が飛び交うようです。
因みに万年青/スズラン亜科は
下記のような植物です。
古いお宅の庭には良く見かけますが、
その理由がありました。
万年青(オモト)の名前の由来には
常緑の葉を老母に、赤い実を子に見立てて、
老母が子を抱く姿に見なして
“母人”(おもと)という説があります。
万年青に関する和歌としては
万葉集に防人の歌として一句が伝わります。
父母が 殿の後方(のしりへ)の ももよ草
百代(ももよ)いでませ 我が来るまで
◼️訳
お父さんお母さん、屋敷の後ろに生えた
ももよ草のよ
長生きしてください。
このももよ草が、屋敷の北側という場所から
推測され菊の類ではなく万年青ではないかとも
云われています。
◼️徳川家康公の引っ越し祝い
江戸城本丸完成を祝い三河の 長嶋長兵衛が
万年青を3鉢寄贈し徳川家康が
大変喜んだという逸話が残っています。
以来、引っ越し祝いやお祝いに
万年青を贈る習慣が江戸時代から盛んに育まれ、
今日まで伝わっています。
常緑で赤い実をつける生命力が
縁起の良い植物として華道では正月にも
用いられるようです。
華道では珍重される万年青ですが、
茶道では見かけた事がないのが不思議です。