鵯花(ヒヨドリバナ) キク科フジバカマ属
8月29日撮影 榛山


皆様こんにちは

今回も茶花から、茶道や日本の文化
工芸を一緒に學んでいきたいと思います。

今回は
鵯花ヒヨドリバナ】です。

原産は中国で、
日本では北海道~九州まで分布しています。
ヒヨドリが里に来て鳴くころに
咲くことから鵯花ヒヨドリバナという名前が
付いています。



同属の秋の七草の藤袴との見分け方は
藤袴の葉は深く3裂(3枚に見える)する
部分でのみ可能なようで、とても難しいと
評判です。

 



今回は【鵯花ヒヨドリ~山鳥】を

掘り下げてみます。


◼️平安貴族の流行!「鵯合せ」
平安時代の貴族の間では
ヒヨドリを飼うことが流行り、
鵯の鳴き声や羽毛の色、
籠の趣向の良し悪しなどを競い合う
「鵯合せ」が盛んに行われたといいます


◼️和歌の中の山鳥は「明鏡止水」
万葉集の時代から山鳥が
数多く詠まれてきました。

【万葉集巻十四の東歌】
山鳥のをろの初麻(はつを)に鏡懸け
唱ふべみこそ汝に寄そりけ

⚫意味
山鳥の尾のように長い初麻に
鏡にかけて唱えて祈ったからこそ
あなたと寄り添えました

枕草子】では
山鳥、友を恋ひて、鏡を見すれば慰むらむ、
心若ういとあわれなり。
谷隔てたるほどなど心苦し。

⚫意味
山鳥は、友達を恋したいて鏡を見せると
(鏡にうつった姿を友だちだと思って)
心が晴れるそうだが、
純粋でたいそう心をひかれる。

(夜になって山鳥の雌と雄が、)
谷を隔て(別々に暮らし)ている時などは、
かわいそうだ。


山鳥と鏡が数多く読まれてきた理由は、
光沢のある雄の山鳥の尾に、
(谷をへだてた雌の影がうつるというところから) 
尾が光って影が映るのを鏡にみなしていったもの。異性への慕情のたとえなのです。


このように「山鳥の尾の鏡」を意識してみると

拾遺集 柿本人麿の有名な歌も

違って見えてきますね。


あしひきの
山鳥の尾のしだり尾の
ながながし夜ひとりかも寝む


山鳥の長く長く垂れ下がった

尾っぽのように長い夜の中に映る

慕情が見えてきませんか。





そんな万物を映す「鏡」「明鏡止水」
茶道の中にも存分に生かされています。

まず柄杓を構えた際の「鏡柄杓」
まさに「明鏡止水」

蹲踞のたっぷりと溢れる豊かな水も

そして前回紹介した石水博物館の特別展
「瀟湘八景図八角釜」があり、
釜蓋は銅鏡でした