勝手にコーヒーを2つ注文し、空いている席に腰かけて、マイコは初めて男を正面から見た。
(ちょっとだけ、ハヤミさんに似ている、かな)
惚れっぽいマイコはそれだけで偏見を覆した。
「さっき一緒にいたあの女は誰だ」
「友達です。大学の時の」
何だ、自分に興味があった訳ではないのか。少しがっかりした。
「何をしている人」
「個人情報保護法があるので言えません」
男は懐に手を入れた。身の危険を感じ
「言います言います、出版社に勤めています」
とあっさり白状した。なんて友達がいがないのだろう。
「ヤマザキだ」
男は携帯に出た。
(電話が来ただけなのね)
マイコは冷や汗を書いた。
「車が来たから行こう」
え、車。今度こそパトカーだ。嫁入り前の身でパトカーで連行される事態になるなんて。嫁入っていればいいというものではないが。
「タクシー代わりに使わないでよね」
運転手は女性だ。長いウェーブヘアに濃いメイク。いかにも夜の街が似合いそうな。
カウンタックが走り出した。抵抗する間もなかったが、これは拉致というのではないだろうか。2人ともとても警察官には見えない。このまま東京湾に重石をつけて沈められ、爆撃事件の犯人に仕立て上げるのではないか。
そっと携帯に手を伸ばした時、男がこっちを見た。あわてて手を離した。
「悪かったね。驚かせて」
男は急に優しい声になった。ハヤミと同じ香水の匂いがふわっと漂った。
2 別な拷問を受ける
3 ドッキリカメラでした
4 母の命と引き換えにスケバン刑事襲名