オーストラリアのスーパーの卵売り場は、やたらめったらバラエティに富んでいます。
でもって、値段もバラエティに富んでいます。
日本の場合、この値段の差は卵のクオリティの差ですよね。なぜかわからないけれど、赤玉の方が人気があったり、餌に海藻を混ぜてますとか、ビタミンが強化されているとか、味や栄養価が高い卵に高い値段がついています。
でもオーストラリアの場合、高い卵にそういうものは期待しないでください。
オーストラリアの卵の値段差は、鶏さんたちの幸福度の差なんです。
まずは、もっとも幸せな FREE RANGE(フリー レンジ)
要するに放し飼いです。鶏さんたちは、青空の下、緑の大地を走り回っています。
でも広い場所が必要だし、餌やりや卵を集めるのも大変なので、そこに原価がかかって卵は高くなります。
次は真ん中価格の CAGE FREE(ケージ フリー)です。
鶏さんたちは、屋根のある体育館のように広いスペースで、自由に走り回っています。
そしていちばん安いのが CAGE EGGS(ケージ エッグス)で、日本の卵はほとんどがこれです。
鶏は狭いカゴ(ケージ)に入れられて、餌がベルトコンベアで来て、卵も同じように集められます。
機械化されていて効率はいいですが、鶏さんは生涯にわたって狭い檻の中。生きてる卵製造機のような扱いです。
この卵ですが、いちばん売れるのはいちばん安いケージエッグスです。
でもね、ケージフリーやフリーレンジもけっこう売れるんです。
買う人が金持ちというのではありません。目的は動物愛護です。
鶏に幸せに生きてほしい人は高い卵を買います。そして経済性と鶏の幸せと、どちらも程々のところを望む人は、ケージフリーを買います。
でもって、ケージフリーやフリーレンジが売れるとなると、生産者の方も「じゃあケージから出すか」になるわけです。
これは日々行われている、国民投票みたいなものです。鶏さんの幸せを望む人は、こっちの卵に1票みたいな感じですね。
オーストラリアの動物愛護は、社会の中に根付いています。
ただ「かわいそ〜」「ひっどーい」と感情的になるのではなく、どうしたら少しでも良くなるか根本を考える習慣があるというのかな。
それは卵だけではなく、例えば野菜は地元産のものを売る地元の八百屋で買うとか、自分達の消費行動が、社会全体を変えることを考えて動きます。
地元の野菜が新鮮とはかぎらないんだけれどね。
我が家では、卵はケージフリーを買います。でも昨今のように次々値上がりが続くと、時々はケージエッグをかっちゃうなあ。
最安値のケージエッグでも12個で4.5ドル(423円くらいか)するんだから。
でもフリーレンジは絶対に買いません。鶏にはベストですが、公衆衛生的には問題があると思うからです。このことについては、いずれちゃんと書きたいと思います。
ところで卵の値段ヒエラルキーで言えば、トップに来るのはFREE RANGE ORGANIC(フリー レンジ オーガニック)です。
オーガニックな餌が、鶏の幸せに直結しているとも思えないので、こいつは人間の幸せ用なんでしょうね。