最近学校のランチメンバーに、ニューフェイスが加わっています。

というか、私が一緒にいる時間は長いなあ。授業中も隣なことが多いし。

 

新入りの名前はR。ブラジルから来た、クルクル巻き毛のチャーミングなヤツです。

ブラジル人てのは、原住民のインディオ(日本人と同じモンゴロイド)とアフリカの黒人とポルトガルがお見事にミックスしているので、このクルクル巻き毛が結構いるのよね。

 

問題はこのRが、HeかSheかということです。

 

現れた初日から私は、この子ゲイだと感じていたのですが・・・・。

半月くらいしたら、自信がなくなってしまいました。

だってみんなが普通にHeって言うし、年寄りの先生も褒めるときに「good boy」とか言ってるし、日本語と違って英語だと自分のことを I としか言わないし。

もしかしたら女っぽく見えるけどゲイの男の子?と、まじまじ眺める結果に。

さんざん一緒にランチしていて、いまさら「あなた男?」って聞けないもんね。

 

しょうがないので、中国人のEに「Rって男の子?」と聞いたら、そういうこと言っちゃダメよ〜と、肘でこづかれました。

なんだ、みんなわかっていたんだ。

でもって、みんながわかっていることをわかっていなかったのは私だけと。

 

若いころ、私は日本で男女問わずゲイの世界に近いところにいました。

でもいま考えると、日本でそのころゲイを認めていた人たちって、もうちょっとハードな連中だったんだよね。

それがLGBTとか別れて、自認という曖昧でもっと複雑なことになって、そこには線引きがなくて、最近では自分の立ち位置すらわからなくなってきました。

 

Rは私と同じドクターマーチンのブーツ(パンク系のワークブーツ)の愛用者でありながら、可愛いものも大好きだし、ゲイの男の子と言っても通るかもしれない。

でも、それはどうでもいいのよ。

私の最大の戸惑いはね、そういう存在を、どうやってみんなはSheかHeに振り分けているのかっていうこと。

でもって日本語もそうだけど、振り分けなくちゃならない言語は、とても不便だということ。どっちでもいいことを、言語が選択を迫ってくるというのかな。

 

私は英語での名前のタイトル(Mr.とかMrs,とかDr.というやつ)で「Ms.」を使っています。

タイトルの世界ではMx.という性別を決めないものもあります。ミタコトナイケド

でもそれより、日常で使うSheとHeをなんとかしてよと思うのは私だけかなあ。

 

R本人は屈託のない可愛いやつです。

「日本語話せるよ」というから、話してみろというと、

「サンダー(雷)はピカでしょ。クワイエット(静か)はシーンでしょ」

それな・・・・

これまでに世界中で聞いてますよ。この手の日本語。

ジャパニーズMANGAファンだったのね。

聞けば、ワンピースとNARUTOが大好きというではないですか。

うん、中身は典型的男の子だ。

 

でもって極め付けの質問がこれでした。

「ダッテバヨってどういう意味?」

この答えはたったひとつです。

「あれは訳せないの。感覚で理解するしかないね」

 

というわけで、バカ話をしながら、日々を過ごしておりますが、世界情勢はひどいことになりつつあります。

 

 

性認識には超寛容で、人種差別を許さないオーストラリアですが、政治的には偏りがあります。

アジア人の私から見ると、やはり欧米を向いているんですよ。というか、オーストラリアは、欧米そのものです。

日本もアメリカの属国と陰口を叩かれるけど、それ以上にね。

 

イスラエルがハマスの攻撃を受けて、オーストラリア社会も騒然となりました。

そして、追悼の意味を込めて、シドニーのオペラハウスがイスラエル国旗の色にライトアップされたんだけど、その周囲を囲んだのはパレスチナ系を中心とする、反イスラエル勢力。警官が出動する大騒ぎになりました。

オーストラリアの報道は、事前認識が甘かった。反イスラエルのデモを承認するべきではなかった。というところに集約しています。

 

 

でもね、これまでパレスチナが散々ひどい目に遭ったとき、オペラハウスはパレスチナの国旗の色にライトアップされたでしょうか。そして次は?

その答えはもうすぐ出るかもしれません。イスラエルが反撃を始めたら、パレスチナに相当な被害者が出るもの。

 

アインシュタインを筆頭に、ユダヤ人は世界の(欧米の)経済やイノベーションに多大な貢献をしているけど、それとイスラエルへの全面支持は別だよね。

 

パレスチナのガザ地区が壊滅的な状態になったら、また膨大な難民が生まれて、その一部は人道的移民としてオーストラリアに来るのでしょうか。

そうやってきた人々の前で、もしオペラハウスが再びイスラエルの国旗色に染まったら・・・・。

 

私の周囲にパレスチナ人はいないけれど、もしいたら、ちょっとだけでもその怒りを吐き出してほしいと思います。

どちらの国が正しいかではなく、世の中が理不尽で、暴力に満ちていることは、人類全体の問題なんだから。

 

 

希望に満ちた、移民の若者たちといると、みんな公平に幸せになってほしいと思います。

努力が報われてほしいと思います。

日本を含めた一方的な報道を見聞きしていると、そこから排斥された人々の顔が見えるような気がして、なんか辛いですね。