事故を防ぐのは、心の安全から。
心の安全設計室
心の安全コンサルタント
安田伸也です。

「何度言ったら分かるんだ!」
部下や子どもに対して、そんなふうに思ったことはありませんか?
昔、わたしがパワハラ上司の下で働いていた頃、その上司もよく「何度同じ事を言わせるんだ!」と怒っていました。
でも、今になって見方を変えてみると、少し違ったものが見えてきます。
何度言っても相手が変わらないのであれば、相手だけではなく、伝える側の方法を見直す必要もあるのではないかということです。
今回は、職場や家庭で起こりがちな「何度言っても伝わらない」という問題から、部下や子どもへの関わり方について考えてみます。
この記事の目次
パワハラ上司がよく言っていた「何度同じ事を言わせるんだ!」
昔、パワハラ上司の下で働いていた頃のこと。
そのパワハラ上司は、
「何度同じ事を言わせるんだ!」
とよく怒っていました。
まあ、悪い人じゃないんですが、いつも何かに怯えているようでした。
異常に本部への報告や行動を心配していましたからね。
当時のわたしは怒られる側でしたから、
「また怒られた」
くらいにしか思っていなかったかもしれません。
でも、今になって考えてみると、この
「何度同じ事を言わせるんだ!」
という言葉には、別の見方もできるんですよね。
「何度同じ事を言わせるんだ!」の裏側
その「何度同じ事を言わせるんだ」という言葉。
見方を変えると、その上司は、
「何度も効果のない指導をしている」
とも言えます。
結果から学んでいないんですよね。
「同じ失敗を繰り返している」とも言えます。
もちろん、仕事では同じことを何度も伝えなければならない場面もあります。
特に安全に関わることなら、繰り返し伝えることは大切です。
でも、何度伝えても相手に伝わらず、同じ結果が続いているのなら、
「相手が悪い」だけで終わらせず、こちらの伝え方を変えてみる。
そんな視点も必要ではないでしょうか。
伝え方が難しすぎなかったか。
相手は本当に意味を理解していたのか。
なぜそれをする必要があるのかまで伝えていたのか。
一度確認してみるだけでも、違うものが見えてくるかもしれません。
家庭でも起こる「効果のない指導」
こういうことは、家庭でもよくあると思います。
例えば、子どもに対して何度注意しても朝寝坊する。
「早く寝なさい!」
「明日はちゃんと起きなさい!」
何度言っても、また次の日も寝坊する。
すると、
「何回言ったら分かるの!」
と言いたくなりますよね。
でも、これも見方を変えると、何度も同じ指導をして、同じ結果になっているということです。
だったら、指導内容を変えるとか、関わり方を変える必要があります。
例えば、ただ「早く寝なさい」と言うのではなく、
- なぜ朝起きられないのか一緒に考える
- 何時なら寝られそうなのか話を聴く
- 本人にどうしたら起きられると思うか聞いてみる
そんな関わり方もあります。
大切なのは、同じ方法を繰り返しながら相手だけを責め続けるのではなく、
「他に方法はないだろうか?」
と考えてみることです。
相手が変わらないなら、自分の関わり方を変えてみる
つまり、行動を変えないと何も変わりません。
よく知られた言葉に、
「同じことを繰り返しながら、違う結果を期待する」
という意味の言葉があります。
これ、職場でも家庭でも同じだと思うんですよね。
何度怒っても変わらない。
何度注意しても変わらない。
何度説明しても伝わらない。
だったら、相手を変えようとする前に、まず自分のやり方を少し変えてみる。
伝え方を変える。
質問の仕方を変える。
相手の話を聴いてみる。
それでもダメなら、また違う方法を考える。
そうやって試しながら、より良い関わり方を探していけばいいんです。
今、何か思い通りにならないことがあったら、考え方を変え、行動を変えてみてくださいな。
そうしないと現実は変わりません。
職場のコミュニケーションで大切にしたいこと
これは、職場のコミュニケーションを考えるうえでも大切なことだと思っています。
上司が、
「ちゃんと言った」
と思っていても、部下に伝わっていなければ、コミュニケーションとしてはまだ途中です。
特に、わたしが長く働いてきた海上保安庁のように、安全に関わる現場では、
「言ったつもり」
「分かったつもり」
が大きな問題につながることがあります。
だからこそ、ただ指示するだけではなく、
- 相手はどう理解したのか
- 分からないところはないか
- 別の考え方はないか
- 本人はどうしようと思っているのか
を確認することが大切です。
そして、間違えた時に怒鳴られる職場では、次第に部下は相談しにくくなります。
「また怒られるかもしれない」
そう思えば、失敗や違和感を隠したくなることだってあるでしょう。
事故を防ぐためにも、部下を育てるためにも、必要なのは一方的に言うだけのコミュニケーションではないと、わたしは思っています。
相手の話を聴く。
理解していることを確認する。
必要なら自分の伝え方も変える。
そんな関係が、安心して相談できる職場、つまり「心の安全」がある職場につながっていくのではないでしょうか。
まとめ|行動を変えないと現実は変わらない
「何度同じ事を言わせるんだ!」
そう言いたくなった時こそ、少しだけ立ち止まって考えてみてください。
本当に相手だけの問題なのか。
それとも、同じ方法を何度も繰り返していないか。
何度言っても伝わらないのであれば、
- 伝え方を変えてみる
- 質問してみる
- 相手の話を聴いてみる
- 相手がどう理解したのか確認してみる
大切なのは、相手を無理やり変えようとすることではありません。
まず、自分ができることを変えてみる。
今何か思い通りにならないことがあったら、考え方を変え、行動を変えてみてくださいな。
そこから、現実が少しずつ変わり始めるかもしれません。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事が、「何度言っても伝わらない」とイライラした時に、相手を責めるだけではなく、自分の伝え方や関わり方を見直す切っ掛けになれば嬉しく思います。
筆者プロフィール|安田伸也
心の安全設計室代表・心の安全コンサルタント。元海上保安官・潜水士。
海上保安庁に約35年間勤務し、潜水士、巡視船航海士、巡視艇船長などを経験。海難救助、転覆船や沈没船の捜索、領海警備、密漁船や密輸船への対応など、3,000件以上の事件・事故に関わってきました。
一方、在職中には職場の人間関係やコミュニケーションに悩み、約20年間メンタル不調を繰り返しました。退職後に心理学やコーチングを学び、現在は心の安全コンサルタントとして、ヒューマンエラーと事故防止、心理的安全性、職場のコミュニケーション、メンタルヘルス、傾聴などをテーマに、安全大会や企業研修で講演しています。
「自死ゼロ・事故ゼロの世界を創り、笑顔で働く人を増やす」ことを使命に活動しています。
