事故を防ぐのは、心の安全から。
心の安全設計室
心の安全コンサルタント
安田伸也です。

先日、丹波雇用開発協会様よりご依頼をいただき、企業向け講演をさせていただきました。
(掲載許可をいただいています)
今回のテーマは、
「心理的安全性を創るコミュニケーション
〜居心地の良い職場環境づくり〜」
職場で「こんなことを言ったら怒られるかな」「分からないけれど聞きにくいな」と感じて、言葉を飲み込んだ経験はないでしょうか。
安心して話せない職場では、小さな疑問や違和感が共有されないままになることがあります。
だからこそ、心理的安全性は特別な制度だけでつくるものではなく、日々どんなふうに話し、聴き、関わっているかが大切だと、わたしは考えています。
今回は、丹波雇用開発協会様でお伝えした内容と、海上保安庁で3,000件以上の事件・事故に関わってきた経験から感じる「職場のコミュニケーション」の大切さについてお話しします。
この記事の目次
丹波雇用開発協会様で心理的安全性の講演
先日、丹波雇用開発協会様よりご依頼をいただき、企業向け講演をさせていただきました。
今回のテーマは、
心理的安全性を創るコミュニケーション
〜居心地の良い職場環境づくり~
働き方や職場に対する価値観が多様になる中で、離職防止やメンタルヘルス、そして安心して働ける組織づくりは、多くの企業にとって大切なテーマになっています。
でも、
「心理的安全性を高めましょう」
と言われても、実際に何をすればいいのか分かりにくいですよね。
わたしは、心理的安全性を難しく考えすぎなくてもいいと思っています。
まずは、
「こんなことを言っても大丈夫」
「分からないと言っても大丈夫」
「困ったときに相談しても大丈夫」
そう感じられる日々の関係を、一つひとつつくっていくこと。
そのために欠かせないのがコミュニケーションです。
講演でお伝えした3つのコミュニケーション
講演では、主に次のような内容をお話ししました。
1.言葉だけでは伝わらない「非言語コミュニケーション」
コミュニケーションというと、多くの人は「何を話すか」に意識を向けます。
でも実際には、
- 表情
- 声の調子
- 姿勢
- 視線
- 相づち
なども、相手にさまざまなメッセージを伝えています。
たとえば口では、
「何でも相談してください」
と言いながら、パソコンを見たまま不機嫌そうに返事をしていたらどうでしょう。
部下は、言葉よりもその態度から、
「今は話しかけない方がよさそうだな」
と感じるかもしれません。
言葉と表情や態度が一致していること。
これも、安心して話せる関係をつくるうえで、とても大切です。
講演ではあわせて、言葉を使うときに起きやすい「省略・一般化・歪曲」についてもお伝えしました。
2.安心を生むコミュニケーション
二つ目は、相手が安心して話せる関わり方です。
その一つとしてお伝えしたのがアイメッセージ。
「あなたは何でいつもできないの?」
ではなく、
「わたしは、こうしてもらえると助かります」
というように、自分を主語にして伝える方法です。
同じことを伝えるにしても、言い方一つで受け取られ方は変わります。
また、講演ではカクテルパーティー効果や「笑顔」についても取り上げました。
笑顔で挨拶する。
相手の名前を呼ぶ。
話しかけられたら手を止めて顔を見る。
そんな小さな行動の積み重ねが、
「ここなら話しても大丈夫そうだ」
という職場の空気につながっていくのではないでしょうか。
3.「縦の関係」から「横の関係」へ
三つ目は、人と人との関係についてです。
職場には、上司と部下、先輩と後輩など役割の違いがあります。
でも、役割が違うことと、人として上下があることは別だと、わたしは考えています。
講演では、
- 「褒める」と「感謝」の違い
- 縦の関係と横の関係
- 違う役割でも、同じ目的でつながる組織
についてもお話ししました。
「よくできたね」と評価するだけではなく、
「ありがとう。助かったよ」
と伝える。
お互いの役割を尊重しながら、同じ目的に向かって働く。
そんな関係が、居心地の良い職場づくりの土台になると思っています。
なぜ職場のコミュニケーションが重要なのか
コミュニケーションについて、学校や会社で体系的に学ぶ機会は、それほど多くありません。
そのため、わたしたちは自分がこれまで経験してきた関わり方をもとに、人と接していることが多いように思います。
たとえば、
- 感情に任せて強く言ってしまう
- 「言わなくても分かるだろう」と考える
- 「普通はこうするものだ」と決めつける
- 相手の話を最後まで聞かずに結論を出す
そんなコミュニケーションが続けば、誤解やすれ違いが起きることがあります。
そして、
「言っても無駄だから黙っておこう」
「怒られそうだから報告しないでおこう」
「こんなことを相談したら弱いと思われるかな」
と感じる人が増えたら、どうでしょう。
小さな問題が共有されにくい職場になってしまいます。
だからこそ、職場のコミュニケーションは単に「仲良くするため」だけのものではありません。
必要な情報を伝え、分からないことを確認し、困ったときに相談するための仕事の土台でもあるんです。
心理的安全性は「相談できる職場」の土台になる
わたし自身、海上保安庁在職中には、職場の人間関係やコミュニケーションに悩み、長い間メンタル不調を繰り返してきました。
だからこそ、今になって強く感じることがあります。
それは、
困ったときに「困っています」と言えること。
分からないときに「分かりません」と言えること。
つらいときに誰かへ相談できること。
こうした関係が職場にあることは、とても大切だということです。
もちろん、心理的安全性があれば、メンタル不調や離職がすべてなくなるという単純な話ではありません。
人の心や離職には、さまざまな要因が関係します。
それでも、日頃から話を聴き合い、相談や報告をしやすい関係をつくっておくことは、働く人が一人で問題を抱え込まないための大切な土台になると、わたしは思っています。
海上保安庁の経験から感じる情報共有の大切さ
わたしは海上保安庁時代、海難救助をはじめ3,000件以上の事件・事故に関わってきました。
その経験を通じて感じてきたのは、事故を防ぐうえでも、コミュニケーションや情報共有がとても重要だということです。
現場では、一人ひとりが持っている情報が違います。
誰かが気づいた小さな異変。
いつもと違う音。
作業手順への疑問。
「ちょっとおかしいな」という感覚。
そうした情報が、
「こんなことを言ったら笑われるかな」
「上司に言ったら怒られるかな」
という理由で共有されなかったら、危険を見逃してしまう可能性があります。
だから事故防止を考えるときにも、わたしは設備やルールだけではなく、
「気づいたことを言える職場になっているだろうか?」
という視点が大切だと考えています。
心理的安全性と事故防止。
一見、別のテーマのようですが、わたしの中では根っこでつながっています。
安心して声を上げられることが、人の心と命を守る。
それが、35年間現場にいたわたしが、今の講演活動で伝えていることです。
自死ゼロ・事故ゼロの社会へ向けて
わたしが企業講演を続けているのは、
「自死ゼロ・事故ゼロの社会」を実現したいから。
海上保安官として、命に関わる現場を数多く経験してきました。
一方で、わたし自身も長い間、職場の人間関係やメンタル不調に悩んできました。
だからこそ、
事故を防ぐこと。
心を守ること。
人間関係を良くすること。
これらを別々の問題だとは思っていません。
人と人とが安心して話し合える。
何かあれば「助けて」と言える。
危険に気づいたら、立場に関係なく声を上げられる。
そんな職場が一つでも増えていけば、心や命を守ることにつながっていく。
わたしは、そう信じています。
講演では、海上保安庁での実体験と心理学・コーチングで学んだことを交えながら、職場ですぐに実践できるコミュニケーションについてお伝えしています。
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まとめ|心理的安全性は日々の関わりからつくられる
今回、丹波雇用開発協会様では、
「心理的安全性を創るコミュニケーション〜居心地の良い職場環境づくり~」
というテーマでお話しさせていただきました。
心理的安全性というと、少し難しい言葉に聞こえるかもしれません。
でも、その第一歩はとても身近なところにあります。
- 笑顔で挨拶する
- 相手の話を最後まで聴く
- 感謝を言葉にする
- 分からないことを聞きやすくする
- 気づいたことを安心して言えるようにする
こうした毎日の小さなコミュニケーションです。
一人ひとりが安心して話せる職場をつくること。
それが、働く人の心を守り、事故やすれ違いを防ぐための大切な一歩になると、わたしは考えています。
事故を防ぐのは、心の安全から。
これからも「自死ゼロ・事故ゼロの世界」を目指して、企業や団体の皆さまにお伝えしていきたいと思います。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回の講演が、安心して声を掛け合い、相談できる職場について考える切っ掛けになれば嬉しく思います。
そして丹波雇用開発協会様、このたびは貴重な機会をいただき、本当にありがとうございました。
筆者プロフィール|安田伸也
心の安全設計室代表・心の安全コンサルタント。元海上保安官・潜水士。
海上保安庁に約35年間勤務し、潜水士、巡視船航海士、巡視艇船長などを経験。海難救助、転覆船や沈没船の捜索、領海警備、密漁船や密輸船への対応など、3,000件以上の事件・事故に関わってきました。
一方、在職中には職場の人間関係やコミュニケーションに悩み、約20年間メンタル不調を繰り返しました。退職後に心理学やコーチングを学び、現在は心の安全コンサルタントとして、ヒューマンエラーと事故防止、心理的安全性、職場コミュニケーション、メンタルヘルス、傾聴などをテーマに、安全大会や企業研修で講演しています。
「自死ゼロ・事故ゼロの世界を創り、笑顔で働く人を増やす」ことを使命に活動しています。

