好きな舞台やミュージカルは、できる限り何度でも鑑賞するようにしている。
2017年に一番たくさん見た作品は「レ・ミゼラブル」。
言わずと知れたミュージカルの名作中の名作。
ミュージカルファンなら誰でも大好きな超メジャー演目だ。
「レ・ミゼラブル」は人気演目ということもあり、2017年バージョンは東京、愛知、大阪、福岡と4カ所で上演され、開幕となった東京・帝国劇場での5月21日のプレビュー公演を皮切りに、愛知・中日劇場での10月16日の千秋楽まで5ヶ月間に渡った超ロングラン公演となった。
しかし、5ヶ月同じ演目ながら、主要な配役のほとんどは複数の俳優・女優がキャスティングされたこともあって、毎日の公演ながらさまざまなキャストの組み合わせで上演されたので、何度観ても楽しめるミュージカルだった。
もともと好きだった作品ということもあり(わざわざイギリス・ロンドンまで鑑賞しに行ったこともあるほど)、2017年バージョンは合計5回も劇場で鑑賞した。
舞台やミュージカルを劇場で何度も鑑賞することの魅力の1つは、始まったばかりの頃の演技と比べて、後半を迎えた公演での俳優陣の演技が明らかな変化が楽しめることだ。
もう一度観たいと思った理由は、若いキャストの本気度をヒシヒシと感じて、彼ら彼女たちが公演を重ねてどんなふうに成長するのか、若手とベテランとの融合がどのくらい高まるか、を観たいと思ったからだ。
毎日同じシーンで同じセリフを発するごとに、俳優たちは原作者がその台本に込めた思いを掴み、乗り移ったように表現していく。加えて、俳優陣の信頼関係が高まることで、序盤の公演と終盤の公演ではまったく別の演目を見ているように感じるほどだ。
単に「レ・ミゼラブルなら何度でも観たい」という思いと、俳優陣たちの演技の変化を観たいということ、それにプラスして、せっかく同じ舞台を再度観るのだから、できるだけ鑑賞する座席の位置を変えて、さまざまな角度からこの作品を観てみたいと思った。
最初は最前列のセンターブロック左寄りで鑑賞。2回目は数列後ろのセンターブロック右寄りの席を選んで鑑賞した。
最初の鑑賞はキャストの演技する表情から小さな仕草まではっきりとわかる距離だったが、一方で全体を俯瞰して観るには不適格な位置だった。
2度目はある程度キャストの細かい動きや表情も見れて、しかも全体の動きも一目で把握できる位置で、最前列とは別の楽しみ方ができる席だった。
「レ・ミゼラブル」という同じ作品を劇場で5回も鑑賞して気づいたこと。
それは「違う角度からモノを見る大切さ」。
人気アイドルのあの子とデートすることを目標に、人生を変えることをめざすアラフォー世代の男にとって、「レ・ミゼラブル」を5回鑑賞した中で感じたこと。
それは、人は成長するためには、最初の目線で見たものや立ち位置で見えたことだけですべてを判断するのではなく、さまざまな位置から高さから物事を見ることが絶対不可欠だということ。
さらに、自分という目線だけでなく、別の人格になったつもりで物事を見ること。
違う性別、違う世代、違う趣味思考……、さらには仕事を一緒にするビジネスパートナーやお客さん、さまざまな形で関わってくれる関係者など、多重人格になってたくさんの角度から物事を見れるようにすることが大事だ。
舞台やミュージカルを劇場で鑑賞するのと違って、映画やテレビドラマは、基本的に1度目と2度目で観えるものは同じだ。
けれど、生きている舞台は、同じ脚本で同じ出演キャストでも、まったく同じ舞台というのは絶対にない。
人も人間関係も生きている。
だからこそ1つだけの視点で観るより、複眼的な視点で物事を見ることで、1度目では気づかなかった隠れていた大切なことが、たくさん見え、気づくことができるはずだ。