《2/3》より
【戦の終焉】
「そなたらは勝利を得たぞ」
阿弖流為は誇らしげに宣言した。
「この二十二年の間、我ら蝦夷軍は一度たりとて敵に敗れはしなかった。それゆえにこそ敵は我らを恐れ、和賀や志和の仲間らを受け入れたのだ。もはやこの地に戦はなくなった。明日は堂々と胸を張って己の里へ戻るがいい。死ぬ覚悟で立ち向かったからこその勝利。明日からはその覚悟で生きよ。生きて蝦夷の範となれ。民らはそなたらを抱きしめて迎えてくれよう。そなたらこそ蝦夷の守り神だ」
野が兵らの喜びの声で満たされた。
「戦で死んだ者たちのために、いつまでも語り伝えよ。我らは投降という形となったが、それは蝦夷の先行きを安堵に導いた田村麻呂への恩義に報いるために選んだ道。・・・(中略)・・・。我らの使命はこれで果たした。静かに幕を引こう」(p.522-523)
22年にもわたった戦を経ながらも、蝦夷側へのいかなる処罰もなしという形で終わることができた。これも、朝廷軍の指揮官が坂之上田村麻呂であったからこそ。
《参照》 『願いをかなえる「縄文ゲート」の開き方』保江邦夫(bio)《前編》
【坂上田村麻呂とアラハバキの末裔たち】
《参照》 『吉備太秦が語る「世界を動かす本当の金融のしくみ」』板垣英憲(ヒカルランド)《中編》
【黄金の国ジパングの歴史】
【蝦夷に関する都の決済】
蝦夷投降の次第を都に送って2か月後。
「いよいよ都の決済が届いたようだな」
田村麻呂から呼び出された阿弖流為は、すっきりした顔で母礼に言った。使者が朝に柵を入ったのをこの目で見ている。
「呼び出しまでに時間がかかったのは悪い知らせであろう。田村麻呂は恩赦を願ったらしいが、通じていれば真っ先に知らせる」
「恩赦などこっちも望んでおらん。それでは伊佐西古らに顔が合わせられまい。将らが許されるのであればと田村麻呂の情に頷いただけのこと。都の判断こそが正しい」
阿弖流為は言って笑った。
阿弖流為と母礼は広間に通された。
案の定、田村麻呂の顔は暗かった。
「どうした。遠慮は要らぬ。この二月のんびりと過ごさせて貰った」
「そなたと母礼の二人ばかりは都において再吟味するとのことだ。残りの捕虜については俺の判断にゆだねられた」
「それはありがたい。都に行けるか」
阿弖流為の顔が輝いた。母礼も頷く。
「再吟味など恐らくあるまい」
田村麻呂は首を横に振って、
「都の民らの前でそなたらの首を刎ねる気に違いない。そうとしか思えぬ。・・・(中略)・・・。内裏が恐れているのはそなたら二人だけ。名もない蝦夷の首など見たくなかろう。戦が終わったと確信できればいいのだ」
「連れて行ってくれと頼んだのは俺だ。願ってもないこと。部下らが助かるとも思っていなかった。むしろ礼を言いたい」
阿弖流為は田村麻呂に本心から頭を下げた。
「俺も参る。参って大臣らに訴える」
田村麻呂は決めていた。蝦夷は脅威などではない。それを田村麻呂が一番に知っている。(p.530-531)
【詮議は同等なものに対して行うもの】
都に連行されて二十日余り。八月となってから阿弖流為と母礼が押し込まれている牢に田村麻呂が憔悴の顔をして現れた。・・・(中略)・・・。
「こうなることと知りながら・・・やはり都に連れて参るのではなかった。許せ」
田村麻呂は必至で涙を堪えた。
「我らの思いを口にすることはできぬか・・・」
阿弖流為は諦めたように吐息した。
「そなたら蝦夷が都の民と変わらぬ者たちであることを訴えたのだが・・・それならばなおさら詮議は無用と一蹴された。民らにはそなたらが鬼であると思わせておくのが大事と中納言が退けた。詮議は同等なものに対して行うもの。もはやどうにもならぬ」
口にしたくない言葉であったが、公平な詮議を願って投降してきた阿弖流為である。なぜそれが許されぬのか説明しないわけにはいかない。田村麻呂は自分がそうした者たちの側にあることを恥とさえ感じていた。(p.538-539)
現代の日本や世界において、基本的人権という用語が流布しているけれど、実態は本書の内容と全く変わってなどいない。
留置場にぶち込んだ者に、調書作成と言って意見を言わせながら、警察側にとって都合の悪い内容は決して書き残さない。23日間にわたって留置場に入れられたことがあるチャンちゃんの実体験に基づく事実である。各警察署内の遂行事実を内偵する内部警察というものがあって、それが動いてくれたから23日で出られたけれど、そうでなければ留置場から刑務所に直行させられるところだった。
《参照》 "警察・検察"に関する引用一覧
裁判所に関しても、畢竟するに権力のポチ公裁判官どもだけが出世して、それ以外は辺鄙な地に送られるだけの世界である。これもJA梨北による契約書偽造に絡んで、自ら訴訟し1審・2審・3審を通して分かった法曹界の腐りきった紛れもない実態である。
《参照》 "裁判所"に関する引用一覧
阿弖流為や母礼が現在の日本に生まれ変わって生きていたら、「公平な詮議ができるかのような言葉はあっても、かつてと何も変わっていないのだな」と言うに違いないのである。
「現在の日本は、公正な正義の保たれた立派な国である」などと思っているなら、ド・ド・ド・ド・ドが無限に続く超ド級のド阿呆ですよ。そういうド阿呆なら、もう間違いなく政府を信用してコロナのワクチン接種を受けているだろう。「死んだほうがマシ!」と言う必要もない。
【斬首】
「斬首はいつと定まった?」
「この十三日。明日は河内(今の大阪)に送られる」
田村麻呂は怒りの顔で伝えた。
「河内とは遠い。新しい都を蝦夷の血で汚したくないということか」
母礼は苦笑いした。それもあるが、天皇は二人が怨霊となって都の空にとどまるのを本気で恐れているのである。(p.539)
阿弖流為と母礼が送られた所は、現在の大阪府枚方市にある片埜神社付近らしい。
「二日間、埋められて晒される」
田村麻呂は苦悶の顔で打ち明けた。
「外の景色を見られるだけ退屈せぬ」
阿弖流為と母礼は動じなかった。ついに田村麻呂の目から涙が溢れた。(p.540)
【蝦夷と朝廷】
<俺もそなたたちの側に生まれたかったな>
田村麻呂はしみじみと思っていた。
今は阿弖流為らの怒りが田村麻呂にもよく理解できた。朝廷はついに最後まで蝦夷を人として認めなかったのだ。・・・(中略)・・・。
<次に勝つのは本当にそなたらだ>
蝦夷はすでに阿弖流為という神を得ている。阿弖流為の生き様が蝦夷らの道標となる。それは死をも恐れぬ力を与えるはずである。・・・(中略)・・・。
それに対して朝廷には何もない。
阿弖流為を処刑した意味さえ分からずに、一人一人が己の欲望だけで生きている。(p.546)
最後を読み終えて、慟哭しつつチャンちゃんの心に湧いたのは、「💩朝廷ども!」という露骨な思いだった。
現代の為政者どもの💩ぶりも、本書の朝廷どもと何ら変わらない。
派閥からの数千万円に及ぶキックバックを申告しないまま、超然とした腐敗権力行使によって警察も裁判所も動かさず、不問のままに終らせようとするのである。ド💩国家・日本、ド腐敗国家・日本ここにあり。
もはや腐りきった魂どもが巣食う日本に残された時間はそれほどない。
国会などいらぬ。ド💩ド腐敗の政治都市・東京は、海に沈める。
それ以外に、最速の改善策はない。
それをするのは、蝦夷たちの時代を主宰していた縄文のエネルギー。
瀬織津姫・菊理姫・縄文土偶のエネルギーが、清明な魂たちだけを残して、日本を作り替えるだろう。
【菊理姫(ククリヒメ)は、コワシヒメ】
【全部ぶっ壊す】
<了>