《前編》 より

 

【ホンダのアメリカ進出、ことはじめ】
 「世界一であってこそ日本一」をモットーに、ホンダは1959年、まずアメリカ市場に進出する。(p.147)
 主力商品は、ドリーム(250cc)、ベンリイ(125cc)、スーパーカブ(50cc)の3つ。その中でカブはそれほど期待されていなかった。ところが、日本で生産されたドリームとベンリイは、長時間走行を視野に入れていなかったのでエンジンが焼け付くという重大な欠点が露呈してしまった。で、結果的に、排気量が一番小さなスーパーカブが、オフロードバイクとして人気を集めたのだという。
 スーパーカブを購入したのは、『イージーライダー』に出てきそうな、革ジャンのアウトローではなく、一般市民だったのだろう。
 因みに、チャンちゃんが5年前に買って乗っているのは、ホンダの中古のカブである。カブって、昔から燃費などの基本的な性能は殆ど変わっていない(!)のである。つまり、発売当初からかなりの優れものだったということ。

 

 

【「意図的戦略」か「創発的戦略」か】
 「意図的戦略」とは、簡単にいってしまうと机上で考える戦略のことだ。・・・中略・・・。
 一方、「創発的戦略」は、現場からボトムアップで生まれてくる戦略のことだ。(p.151)
 ホンダの事例が物語るように、日本企業が圧倒的に得意なのは、この創発的戦略のほうである。(p.152)
 ホンダに関しては、まだ後がある。
 世界的な経営コンサルティング会社のなかで、最も早く日本に進出したのはBCG(ボストン・コンサルティング・グループ)だが、1981年、その最初の顧客となった日本企業がホンダだった。ホンダは欧米流の意図的戦略も必要だと考え、いち早く取り入れたのである。(p.152)
 で、ビジネス戦略の選択として、ホンダが得た結論は、「どちらにも長所と短所がある」という当たり前のこと。ビジネス戦略に限ったことではない。
 ところで、ハーバードでは、本田宗一郎の豪胆なエピソードが、経営者の人間力を意味するものとして、今でも語られているらしい。おっさんビジネスマン世代にとっては、昔読んだ懐かしく面白い話ばかりである。

 

 

【コスト削減をするだけで・・・】
 JALは再建1年目の2011年に黒字化に成功。その後、13~17%の営業利益率を達成している。準政府機関や、政府の規制に守られてきた会社は、民間企業に比べると、もともとムダが多い。ケスター教授によれば、「コスト削減をするだけでも、多大な収益改善が見込める」のだそうだ。(p.177)
 地方(痴呆)行政も全くである。
 全く同じ内容の用紙1枚が入った封筒が毎月送られてくるので、地元の甲斐市役所の担当課に行って、「通帳を見れば分かることなのに、どうしてこんな無駄なことをするのか? 送付する必要があるのか?」 と詰問したら、早速止めることにしたらしい。この文書を発送するのは、毎月100軒程度と言っていたから、年1回の発送にすれば、これだけで年間10万円(≒80円×11か月×100軒+用紙代+トナー代)以上のムダが回避できる。
 公務員というのは、意味のないことであっても前例踏襲が基本で、ルールが出来ればルール作成の目的は度外視してルールを守ること自体を目的にするという、恐ろしく知性のない連中なのである。しかも、公共事業につぎ込んだ不正支出の事実を隠蔽し証拠を残さないために、資料は5年経過後に全て廃棄するというルールを作った上で、市民が自分の家の固定資産台帳を閲覧しようとしても、「5年以上経過しているので、コピーはお渡しできません」と、驚天動地の対応をするのである。このような邪悪かつウルトラ間抜けな行政サービスをするのは、山梨県甲斐市だけだろうか?
 「公共のため市民のために、奉仕する貢献する」という気が少しでもあるなら、下記のリンクに紐付く公務員特有の指摘に関して、まずは“ズレている”という自覚を持つことから始めたらどうだろうか。
   《参照》  『ハーバード、マッキンゼーで知った一流にみせる仕事術』 富阪美織 (大和書房) 《前編》

            【マッキンゼーと官僚組織】

 ついでに、甲斐市の保坂武市長の悪魔ぶりをリンクしておこう。対立候補が全くいないまま3期目をやっているけれど、やりたい放題である。
   《参照》  『これが[人殺し医療サギ]の実態だ!』 船瀬俊介×ベンジャミン・フルフォード 《1/3》

            【日本国の人口削減は「拷問殺人」によって強要されている】

 

 

【社内英語公用語化】
 「楽天が全社英語化したのは、そのほうが作業の効率につながり、ナレッジ(知識)も有効に共有することができる、と判断したからです。一方、私が調査したヨーロッパ企業の中には、社員20万人のうち、管理職1000人のみが公用語を英語化した、という企業もありました。それがこの会社にとって、は最適な割合だったからです」 (p.189)
 日本企業の社内英語公用語化は、それぞれの企業の任意であるけれど、これから向かう地球人類の進展方向から言うなら、明らかに間違っている。
 楽天の社長はハーバード留学組であり三極委員会の参加者でもあるから、欧米パワーエリートのやり方に洗脳されたがっているのだろう。
    《参照》   『今こそ世界は《本物JAPAN》の光臨を待っている!』 河合勝 (ヒカルランド) 《前編》

              【日本語再び】

 ついでに、日本人の英語教育について、まともな語学力のある有識者の意見は、以下のリンクに示すように、ほぼ同じ「No」である。
    《参照》   『江戸の知恵』 養老孟司・徳川恒孝 (PHP)

              【英語教育は全員に必要か?】

 さて、気になる楽天の社内英語化だが、その後、5年間で驚くべき成果を上げている。
 英語公用語化計画をスタートした2010年10月、526点だったTOEICの社内平均点は、2015年11月には814点にまで上昇した、というのだ。・・・中略・・・。
 近々、この結果もハーバードの授業で発表されることだろう。学生がどんな反応をするか、楽しみである。(p.189-190)
 ここで言っている“成果”とは、TOEICの点数が上がったということ。これを言っているだけである。社内英語化が、楽天のビジネスに具体的にどのような成果をもたらしたのかは、何も書かれていない。経営学の事例に多くのページを割いていながら、この記述は、間抜けすぎるだろう。
    《参照》   『それでも「日本は死なない」これだけの理由』 増田悦佐 (講談社) 《後編》

              【単一言語国家日本で、英語を公用語に?】

 〔追記〕その後、下記リンクの著作を読んだので、リンクしておきます。
    《参照》   『たかが英語!』 三木谷浩史 (講談社)

 

 

【「出る杭」の悩みと「同質社会」の欠点】
 多くのハーバードの教員が「出る杭は打たれる」という日本の諺を引用し、これこそが日本社会の大きな課題だと指摘していた。筆者もよく「出る杭」の悩みを日本企業の社員たちから聞くことがある。・・・中略・・・。
 日本の同質社会は大きな強みでもあるが、同時に弱みでもある。異質なもの、自分とは違ったものを受け入れて、なおかつ生かす、というのは日本にとって大きなチャレンジだ。(p.235)
 海外に留学した経験のある人たちが必ずと言っていいほど書いている、共通な見解である。
 チャンちゃんは留学などしたことはないけれど、平均的な日本人よりは海外渡航回数が多く、異文化に関して読んだ書物数が比較的多いというだけでも、留学経験者たちが記述する、日本の同質社会に対するジレッタイ心境は非常に良く分かるのである。
    《参照》   『榊原式スピード思考力』 榊原英資 (幻冬舎) 《前編》

              【同質と異質】 【常識に疑問を持つ】 【仕事のできる集団】

              【「考える力」は、異質な世界の人との出会いから】

 

 

【同質社会になるのは、日本人は「内向き志向」だから?】
 上記の書き出しに続いて、以下のように記述されている。
 なぜ日本人は内向き志向になってしまったのだろうか。ジェフリー・ジョーンズ教授は次のように分析する。
 それは、日本が非常に快適な社会だからです。・・・中略・・・。戦後、日本人は懸命に働き、国を復興させ、快適な社会を作り上げました。ところがその快適な社会が足かせとなって、成長が停滞してしまうことになりました。(p.235-236)
 ハーバードの教授といったって、この程度の陳腐で当たり前のことを言っているだけで、立派に商売になるのである。
 ところで、そもそも「内向き志向」と「同質社会の生成」との間に、有意な相関があるのだろうか?
 近代以前の長期にわたる交通手段未発達段階という歴史的文明状況と、島国という地理的状況が、日本を同質社会にしてきたのであって、日本人の「内向き志向」と「同質社会」を関連付ける見解は、(日本語がもつ本質に言及していないのであるなら、)実体のない空論だろうと思っている。
 そもそも、内向きな個性は機縁によって外向きな行動に容易に変わるはずである。現に、「海外の旅先で出会った一人旅の日本人の若者たちと話してみても、自分自身を含め内向きな人の方がむしろ多い」 と思っている。「外向きな個性であればこそ、生まれながらに快適な日本社会で十分楽しめるのだから、海外に行く(環境を変える)必要など感じないはず」 である。
 故に、同質や異質に対する行動様式は、内向きか外向きかという性格傾向では測れないはずである。それどころか、内向きな海外一人旅経験者の方が、異質な者に対する良き理解者になれるのである。理の当然だろう。
 単純に割り切って表現するなら、異質な者に対する行動様式の差は、単に、体験や書物を通じての「経験量の差」に依るのではないか。しかも、体験量と読書量は、顕著な比例相関関係を示しているはずである。
 交通手段未発達段階の日本人は、島国に住んでいたのだから、間違いなく「海外体験量」は少なかった。しかし、江戸時代の日本において一般庶民に流布していた「書物の量」は、諸外国のそれを圧倒的に上回っていたのは事実である。故に、日本人はむしろ、島国に住んでいたからこそ、「“(潜在的)外向き志向”を、大いに膨らませていた」はずである。
 この場合の「(潜在的)外向き志向」は、なにも海外体験だけを意味するものではない。訓読み本来の大和言葉が醸し出す「内向き」なイメージ世界への没入は、クラインの壺を経巡るように宇宙意識へと向かう世界への旅路なのである。霊主体従を基盤とする日本文化の基となる日本語(言霊)は、そもそもからして宇宙語なのである。だから、日本語を使う日本人の意識は、潜在的に宇宙に向けて最も開かれている。日本人は、地球維新を成し遂げ、宇宙へ向けた意識の解放を先導すべき役割を担っている民族なのである。
    《参照》   『淡路ユダヤの「シオンの山」が七度目《地球大立て替え》のメイン舞台になる!』 魚谷佳代 《前編》

              【はじめにことばありき】

 スピリチュアルな人々は、このことに気づいているけれど、海外駆け出しの“出羽の守”や、中途半端な教養人は、日本文化の基(もとい)である日本語の真価を全く正しく理解していないのである。
 “出羽の守”の意味が分からない場合は、下記リンクを。
    《参照》   『トヨタ流英語上達術』  スティーブ・モリヤマ (ソフトバンクパブリッシング) 《後編》

              【善悪や優劣の価値観という罠】

 ハーバードの教員のあいだで、日本を再評価する機運が高まってきている(p.32)

 としても、七沢賢治さんのもとに集って日本語のエッセンスを解明している日本人科学者たちの実績に触れ、これを評価できるようにならない限り、ハーバードの教育など、あくまでも2流である。

   《参照》  七沢賢治・著の読書記録

     『言霊設計学』

     『言霊はこうして実現する』

     『天皇祭祀を司っていた伯家神道』  船井幸雄・推薦

 

<了>