《前編》 より

 

【言葉に出してはっきり言う】
 厚かましくて いいんだYO! オメーの好みを アピールしまくれYO! (p.130)
 つまりね、「日本だったら赤面して死にそうなことでも言葉に出してはっきり言う」ということ。
 「以心伝心」はやめろっちゅーうことですわ。 (p.131)
 日本国内で生きる場合と、海外で生きる場合、同じやり方では“絶対に”うまくいかない。
 そんなの “当り前” だっちゅーの。
    《参照》   『「中国人」になった私』 松木トモ (PHP) 《前編》
              【自信のあるところ】
    《参照》   『フェラーリと鉄瓶』 奥山清行 (PHP) 《後編》
              【国際化する社会における、日本人のデメリット】
              【自分がない日本人・日本企業】

 

 

【楽しむために生きている】
 仕事というのは所詮人生の一部ですから、楽しむべきことを楽しむべきだ、俺たち、だから生きてるんだろ、というのが日本の外の考え方です。(p.164)
 勤勉という言葉に洗脳されていたチャンちゃんが、ビジネスマン駆け出し時代に、上記書き出しのような内容が書かれていたのを初めて読んだのは、堺屋太一さんの著作であったような記憶がある。イベント・オリエンテッド・ポリシーという政策を日本万国博覧会で実現して見せていた官僚さんの著作である。しかしその当時は、その内容を実感を伴って理解していたのではない。
 その後、海外で経験した「この国で“勤勉であれ”といわれたら、死んでしまう」という体験や、日本的視点で見たら「杜撰すぎる」海外の数多の実状に触れて、「諸外国の人々は、生きる上での視点が、日本人とは根本的に違うのである」という当たり前のことを、自ずと理解するようになったのである。
    《参照》   『14歳からの社会学』 宮台真司 (世界文化社) 《後編》
              【仕事に「生きがい」?】
    《参照》   『流学日記』 岩本悠 (文芸社) 《後編》
              【ぽれぽれ】

 

 

【夢を売る奴ら】
 日本では若者こそ、海外で働け!!」とドヤ顔で煽っている元政治家さんとか、うさん臭い海外就労コンサルタントみたいな方がおりますが、この人達、絶対にこの「就労許可を取るのが大変だ」という件に関しては語りませんね。
 なぜか?
 語ってしまったら海外では働けないということに気づいてしまう人が多いので、この人たちのうさん臭い本とかセミナーにお金を払う人が減っちゃいますからね。
 あくまで実態を伝えないで夢を売ってるだけなんです。(p.218-219)
 高度な技能を有し、稼げる人、頭の良い人(例えばIT技術者とか医者とか)は、どこでも就労ビザを得るのは容易。そうでない人は、ちょっと大変らしい。しかし、意欲と運があれば、なんとかなるだろう。

 

 

【ヨーロッパの南北】
 ギリシャやスペインやイタリアの若者が海外に働きに行く理由の多くも銭であります。・・・中略・・・。これらの国々は、コネがない人には仕事がないので、イギリスやオランダやドイツなど、工業生産や金融、情報通信などの世界的な企業がある土地に行かないと、教育を受けた若者は仕事がないわけです。(p.311)
 なお、北ヨーロッパでは、ギリシャやスペインやイタリアの人々は配偶者を探すのも簡単という利点もあります。なぜなら男も女も美形揃いで料理がうまく、ファッションセンスもばっちりで、情熱的であります。ただし問題は銭がないことです。
 北には金はあるがセンスと旨いものがなく、南は金がないがセンスと旨いものがある、というわけです。(p.312)
 南に“旨いものがある”という記述は、ちょっとどうだろうか? でも、イタリアやスペインのお兄ちゃんたちには、確かにイケメンが多い。
 南の3国は、いずれもヨーロッパ経済の爆弾となっている国々であることは周知のこと。今のところナマ殺し状態で破綻は回避されているけれど、財政状態がどうであろうと、以前から南の3国は、経済が強い北の国々よりおしなべて自殺率が低い国なのである。つまり「いい加減なのが普通」ないし「仕事? 人生=仕事じゃない」という感覚をもつノー天気な国民性なのである。
 ちなみに日本人はどっちなのかというと、南のほうです。つまり、イタリアとかスペインのほう。今のところ、銭はありますが、多分将来なくなります。でも、イタリア人とかスペイン人みたいに移民すればいいわけです。(p.312)
 たいそう突き放した書き方をしているけれど、将来の経済予測については、決してデタラメではないだろう。
 で、この後に、「日本人が移民するなら、どこの国がいいか」が書かれているのだけれど、チャンちゃんも4回行ったことがある国だから、その理由が分らないではない国である。

 

 

【台湾人のオデン愛】
 日本ではこんなもの夏に売ってねーわと台湾人の友人に言っても、「あなたそれ、変よ。オデンは一年中食べるよ。日本おかしいね」と激怒されるわけ。
 おかしいよな、この異様なオデン愛。 (p.320-321)
 台湾のコンビニで初めてオデンを見た時は、しかも「黒輪」という名で売られていたから、超・ウルトラ・完璧にチンプンカンプンだった。
 中国の華南地方や台湾といった亜熱帯地域では、細菌や寄生虫の問題や、漢方の食養生的な考え方があて、太陽燦々の昼まであってすら冷たいものを食べるという習慣はないのである。だからオデンだって売れる。
 「暑い国なんだから、オデンなんて売れるわけないじゃん」というのは、日本人の手前勝手な思い込みである。
    《参照》   『台湾人のまっかなホント』 宮本孝・蔡易達 (マクミラン・ランゲージハウス)
              【黒輪】

 

 

【東南アジアで日本人が人気である裏の理由】
 それは「色が白いから」であります。(p.324)
 あとですね、・・・中略・・・ ほかに、やっぱりこう、まじめで金持ちだから、なんかいいよね、ってのは確実にあるわけですよ。
 日本の会社もいっぱい進出しているし、なんかオシャレだし、憧れみたいなものがあります。で、顔はなんとなく似ているから親近感もあるし。
あと、これはちょっと裏ネタだけど、年寄りの場合は、「お前の先祖は白人と戦ったから偉い」とか言う人もいるんだよね。 (p.325)
 日本を好感触で語ってくれるにしても、世代によってその理由は違う。
 下記リンクは台湾の場合だけれど、時代を占める中心世代がどう捉えているかを理解しておくことが大切。
    《参照》   『台湾人には、ご用心!』 酒井亨 (三五館) 《後編》
              【台湾人が日本を好きな理由】

 

 

【日本にしか住まないのは・・・】
 日本にしか住まないのは、一生おんなじAVしか見れないことと同じ!? (p.336)
 外国で働くことも考慮するというのは、ライフスタイルの選択肢を広げるということです。・・・中略・・・。世界的な大都市に住みたい人、のんびりやりたい人、アフリカ音楽を習いたい人等々、ライフスタイルの選択肢は人さまざまです。・・・中略・・・。美女が好きなら美女が多い国に行っちゃえばいいんです。
 いいんですよ、好き放題で。
 人生一回だからさまざまな経験をしたい、という理由だって、ライフスタイルの選択肢の一つ。世界にはさまざまな国があるので、たった一つの国のことしか知らないというのは、つまんないことです。(p.337)
 いろんな場所に住んで見たり、好きなことをやったほうがいいわけですよ。
 ね、そう思いませんかね? (p.340-341)
 そう思いますね。
 国際的な体験を勧めるのは、個人のライフスタイルという視点からだけではない。
 諸外国を体験するということは、意識の幅を広げるということだから、あらゆる面における進化(変革・革新)という点においても、前提として極めて重要である。絶対に必要である。
 2020年の東京オリンピックで、日本に多くのメダルをもたらすのは、ハイブリッド(混血)の日本人選手たちであろうことは、現時点でも十分予想がつくだろう。
 国際体験のない人々は、名実共に日本の発展に、さしたる貢献はできない。
 その最大の根拠は、意識の幅が狭すぎるからである。

 

 

                    <了>