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 七田さんの著作には右脳関係が多いけれど、その中でも、この本はよりコンパクトで実用的な構成になっているように思う。2006年2月初版。

 

 

【がんばらずに、能力の次元を上げる】
 がんばらずに、自分らしく、自然の摂理にしたがって能力の次元を上昇させる。本書では、その考えにのっとって、私が今いちばんお伝えしたいマインドチューニング法をご紹介します。(p.3)
本書では、①統合の力、②読書の力、③記述の力、④音楽の力、⑤イメージの力、⑥暗示の力、⑦波動の力という、誰でももっている7つのパワーに注目してマインドチューニングを行います。(p.5)
 何故がんばらないかというと、がんばるという言葉は、ほんの少し左脳に効く程度であって、右脳には何らアピールしないから。右脳は、がんばれば動き出すのではない。右脳は、イメージや暗示(催眠=変性意識状態)によって励起される仕様になっている。

 

 

【人が成功の階段を上り始める時】
 人が成功の階段を上りはじめるのは、時期や能力が備わったときではありません。自分のイメージを大きく広げはじめたときなのです。(p.31)
 自分自身のイメージや自己評価や自尊心が低いままだと、時期や能力が備わっていたとしても何ら活きない。
 ACミランへ移籍することになった本田選手のように、「自分はビッククラブに相応しい人間」と自ら堂々と言い切れるのは、そのような自己イメージが前からあったからなのだろう。謙虚さを尊ぶ日本文化の中にあっては、“ちょっと引いてしまう”けれど、謙虚さを保ったまま自分自身のイメージや自己評価や自尊心を高く維持するのは不可能ではない。何はともあれ、まずは自分のイメージを大きく広げる。実力は後付けでいい。それが右脳的生き方のコツ。
 本田選出とは反対に、自己評価が低いままだと、かまやつ女やかまやつ男になってしまう。
    《参照》   『「かまやつ女」の時代』 三浦展 (牧野出版)
              【自己評価が低いかまやつ女】

 

 

【自分自身の言葉に変えて書き留める】
 本で読んだこと、人から聞いたことのなかにも、あなたの人生のヒントは散りばめられているでしょう。それを受け流してしまうのではなく、あなた自身の言葉に変えて書き留め、心に刻み込むようにしましょう。情報を、左脳の知識として与えて学び、それを右脳の潜在イメージにつなげるのです。(p.96)
 “自身の言葉に変えて書き留める”ことがポイント。自分自身の言葉に変えて書き留めた(表現した)とき始めて、(左脳的に)理解したといえるのだし、(右脳的にも)イメージがより鮮明に定着する。自分自身の言葉に変えてないと記憶にすら残らない。

 

 

【言語と音楽】
 音楽は言葉と同じです。言葉と大きくつながっています。例えば、フランス人の演奏するブラームスとイギリス人の演奏するブラームスは違います。アメリカ人の演奏するべートーベンと、ドイツ人の演奏するベートーベンも違うのです。
 音楽表現にその国の言葉の影響があるのはなぜだと思いますか。それは、各国の言語にはその言語特有の特別な音があり、音域の周波数も違っているからです。
 例えば、日本語は20の音から成り立っています。ドイツ語の音はその倍あって40音からなり、フランス語なら37音、その2つの言語の影響を受けた英語は45音から成り立っています。(p.104)
 日本語は一般的に言えば50音だろうけど、どうしてここでは20音と書かれているのかわからない。周波数を測定すると重なってしまうものがあるのかもしれない。
 ところで、それぞれの言語の音域の周波数帯が違うことで、「聞き取れる・聞き取れない」という事態が生ずる。人間の脳は、「聴き慣れない音は、聞き取れない」という反応を示すのである。
 各国の言語の周波数帯域の違いを示すグラフは、下記の写真に取り込んである。
    《参照》   『奇跡の音 英語聴覚セラピー』 篠原佳年 (きこ書房)
              【言語によるパスバンドの違い】

 日本語は、もっとも周波数帯域の低い言語である。

 

 

【高速化のメリット】
 日本語は高速化すると高周波音になり、高速化にともなって聞きやすくなるというデータが出ているそうです。(p.113)
 だったら、外国人が日本語を学ぶとき、速聴すれば聞き取りやすいのかもしれない。
 日本人も、高速の日本語を聞いて高周波音に慣れておけば、日本語より周波数帯域の高い諸外国語が聞き取りやすくなるのだろう。
 高速化のもう一つのメリットは、左脳を停止させ、右脳の「高速大量記憶機能」と「高速自動処理機能」を励起させること。
    《参照》   『右脳がぐんぐん目覚める4倍速CDブック』 七田眞 (総合法令)
              【高速スピードの効果】

 もともとモーツァルトの曲には高周波音が多く含まれているから、モーツァルトを高速で聞けば、さらに素晴らしい効果が得られると書かれている。

 

 

【右脳のイメージ思考】
 こんな話があります。
 中学一年になったK君が、数学の実力テストを受けました。10問中8問までは、すらすらと解くことができました。ところが、あとの2問はなかなかの難問で、どうしても解くことができません。
 K君はやおら目を閉じると、リラックスして問題をすらすら解いているイメージを頭の中に描きました。すると問題の回答がまぶたの裏に現われ、2問とも見事に正解することができたのです。(p.129)
 こういうのって、自分で体験しないことには信じ難いことだけれど、長いこと抱えていた懸案事項が閃きによって解決できてしてしまったという経験がある人は少なくないだろう。
 右脳のイメージ思考は、閃きの能動的活用法と考えればいいのかもしれない。

 

 

【右脳を働かせる変性意識状態】
 右脳が働くのは、左脳が働くのとは違った意識状態にあるときです。その状態のことを「変性意識状態」といいます。
 ちなみに人間は、通常の状態ではβ波の脳波が出ています。β波が出ているとき、人は左脳を働かせていることが多いのですが、変性意識状態に入るとθ波が出やすくなります。(p.131)
 瞑想の訓練をつむのも、θ波(シータ波)が出やすくなる方法だけれど、もっと簡単な方法がある。
 まずは他者催眠で導いてもらって、催眠状態(変性意識状態)に入る条件付けをしてもらうと、以後は自己催眠に入るのがとても楽になります。
 瞑想し、丹田呼吸を3回もすると、血圧が下がってきます。脳内ではセロトニンというホルモンが分泌されていき、心身の緊張がすっかりとれてくるようになります。催眠とは、左脳の意識の働きをゼロにして、右脳の意識を活かす状態を作り出すことなのです。(p.144)
 グル(導師)と共に瞑想して変性意識状態に誘導してもらうか、催眠をかけてもらう。
 グルがいないなら、ヘミシンクCDを用いるという方法もある。

 

 

【癒しの力はあなた自身の中に】
 一人ひとりが右脳をひらいていくと、癒してくれるものを探さなくても、自分の中にその力があることを実感できるようになるのです。
 人間は言葉を手に入れ、理知的になることと引き換えに、どんどん右脳を使わなくなってしまいました。
 癒しの力は自分自身の中にあります。それなのに人から癒されたいという人は、まだまだ右脳を使いこなしておらず、その恩恵を体験できていない人です。
 自分のなかにある癒しの力で、自分を、人を、幸せに導きましょう。それを実現するのが、右脳をひらくという意味でもあるのです。(p.168)


 

<了>