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 小学生や中学生を読者対象として書かれたのだろう。簡単コンパクトに記述されている。「厚い本を読む気になれないから」という理由だけで読んだ本。2006年8月初版。

 

 

【どこからが宇宙なのか】
 航空法では宇宙と地球の境目があります。一般的には国際航空連盟(FAI)が定めた「高度100キロメートル以上が宇宙」という定義が使われています。(p.36)
 大気の組成分布が100kmを境に急に変わるわけではない。単なる便宜的な数値上の境界。

 

 

【宇宙の意味】
 宇宙という言葉は、中国の古い書物に由来します。宇宙の「宇」は、“上下四方すべての空間”を、「宙」は“古往今来=すべての時間”を意味します。つまり宇宙とは、“すべての空間と時間、およびそこに存在する物事全体”のことで、地球も人間も、いわば宇宙の一部だと考えられます。この意味の「宇宙」は英語で言うと“ユニバーズ(universe)”です。また「カオス=混沌」の反対の意味で“秩序ある体系”としての「宇宙」のことは“コスモス(cosmos)”といいます。
 宇宙にはもうひとつの意味があります。
 それは“大気圏外の宇宙”という意味で、英語では“スペース(space)”または“アウタースペース(outer space)”といいます。 (p.42-43)
 “宇宙”という記述のある中国の古い書物とは、『淮南子(えなんじ)』 のこと。
 横道に逸れるけれど、道徳的・宗教的教養のある人は、“陰徳”に関する文言のある著作として『淮南子』の名を聞いたことがあるだろう。“宇宙”と“陰徳”の出典は『淮南子』と覚えておこう。
   《参照》   『新しい中国で成功する』 高橋基人 草思社
              【陰徳あっても陽報なき現在の中国】

 

 

【瞬間移動(テレポーテーション)】
 実際に宇宙に存在する時空のトンネルを使った瞬間移動が理論的に考えられています。宇宙には「ワームホール(虫食いの穴)」と呼ばれる時空の穴がいたるところにあると言われています。・・・中略・・・。
 ワームホールを使った瞬間移動は理論上は可能ですが、実用的ではありません。ワームホールをもたらす大きな重力はブラックホールであり、ブラックホールにいったん吸い込まれると宇宙船も人間も粉々になって生きて帰ってくることはできません。(p.67-68)
 アインシュタインの理論に則して考えるとこういうことになってしまう。仮に光速に近しい速度での飛行が可能だと仮定しても、それに乗って行って帰ってきた人の時間はさほど進まなくても、地上で待つ人はとんでもない時間が経過していることになってしまう。いわゆる浦島太郎現象である。こんなのは、実際の宇宙の実態を何ら反映していない。
 「プラズマ宇宙論」でなければ、宇宙の真実は語り得ないことなど、日本以外の今日の最先端の科学者たちは“常識”として知っているはずである。
   《参照》   『太陽の謎とフォトンベルト』 飛鳥昭雄・三神たける (学研)
             【プラズマ宇宙論】

 また、アセンション系列の著作には、ワームホールではなく「ポータル(次元の扉)」を経由して、宇宙存在たちが地球にやって来ていることが“普通”に記述されている。
 ロケットを飛ばすだけならいいけれど、人類の進化に関わるなら、アインシュタインの理論の外に一歩も出られない知性では、お話にならない。
   《参照》   『生命と宇宙』 関英男 (飛鳥新社)
             【念波と天波】
   《参照》   『まもなく世界は5次元へ移行します』 エハン・デラヴィ&中丸薫 (徳間書店) 《後編》
             【多次元宇宙の本質を封印する現代科学の「規範」】
   《参照》   『次元「超」突破』 エハン・デラヴィ×中丸薫 (ヒカルランド)《前編》
             【40年前、人類は火星に行っている】
             【光速という速度定数の嘘】

 

 

【デブリの見張り役】
 デブリとは、ロケットの打ち上げによって生じた破片などの人工ゴミのこと。1cm以上のゴミは10万個以上、1mm以上ものなら3千万個以上もあると書かれている。
 デブリを地上から観測し、宇宙の安全を守る施設が日本にもあります。岡山県の美星町と上斎原にあるスペースガードセンターです。美星町からは光学望遠鏡で、上斎原からはレーダーでデブリや地球近くの小惑星を観測しています。衝突事故から宇宙を守る宇宙のガードマンの役割を担っています。(p.94-95)
 静止衛星などは、秒速7.8kmほどの高速(マッハ23)で移動しているから、わずか数センチのゴミでも、当たった場合の破壊力はすさまじい。大事件になってしまう。
 美星町は岡山県西部の井原市に、上斎原は北部の鏡野町にある。(最近、iPadの全国市町村ジグソーパズルに嵌っていたから、ニュースなどで地名を聴くと、だいたいどこでも分かるようになった。どうでもいいことだけれど、現在、チャンちゃんのパズル完成の合計時間は46:20。全国順位は62位)

 

 

【宇宙開発の副産物(スピンオフ)】
 強さと軽さを両立させるために、ロケットの表面を三角形の凹凸で組み合わせる構造があります。この技術はキリン缶チューハイの缶(アルミダイヤカット)に使われています。
 また宇宙用手袋のために開発された、寒い時に暖かく、暑い時に涼しくなる素材があります。これはアウトラストといって、ユニクロのフリースとして販売されています。(p.125-126)
 フリースって、暖かいだけだと思っていたけれど、本当に、暑い時に涼しくなる?
 他に、ハンググライダー、バスケットシューズ、リモコン、水リサイクル浄化装置、レーザーなどもスピンオフだと書かれている。
 古い例では「面ファスナー」があります。これはアメリカでは「ペルクロ」と呼ばれ、日本では「マジックテープ」と呼ばれるものです。(p.126-127)
 これは、スイスのメルトラルさんが考案したもので、ズボンのファスナー部分に用いて販売したけど売れなかったという。しかし無重力空間の宇宙では面ファスナーは大いに役立った。それ以降、地上でも面ファスナーの用途がいろいろ考案されたらしい。
 また、面ファスナー同様に、本来的には宇宙開発のスピンオフではないけれど、毛利さんが持っていったレトルトカレーは、今日では宇宙食の定番になっているという。タイの観光地では、「空芯菜」が空を飛んでいる けれど、日本のレトルトカレーは、本当に宇宙を飛んでいる。

 

 

<了>