《前編》 より
 

 

【日本をギリシャ化させる増税】
 日本政府は、増税が「ギリシャにならないための道だ」としていますが、増税こそがギリシャに通じる道だ、という論理のほうが正解です。(p.95)
 ギリシャの実情は、課税強化による財政赤字の増大となっている。ツケは後の世代に先送りされるのである。
 日本政府の景気を悪化させるための増税は、日本経済の回復を封印し、官僚の既得権益を保持しつつ、後々資産家達からガッポリむしり取るための作為なんだろう。
      《参照》  『大災害から復活する日本』 副島隆彦 (徳間書店) 《前編》

                【もう景気回復はない】

 

 

【日本国債デフォルトという意見は完全にブラフ】
 250兆円という対外純資産を抱えた日本国債がデフォルトすると本気で考えている投資家は、まず日本以外のどこを探してもいません。・・・(中略)・・・。「デフォルトする」というのは、日本国債のいい出物を拾いたい投資家が日本人向けに流しているブラフなのです。(p.105)
 だから著者は、日本の景気回復は増税ではなく、政府日銀引き受けの復興国債にすべきだと書いている。
 東日本大震災後に起こったユーロ不安以降、日本国債が目に見えて買われているらしいから、今になってこの見解は正しいと思えるけれど、大震災前から「円高基調は確実だから」という理由に紐付けて日本国債デフォルトはありえないと説明し、言い切ってくれていたら、誰もが納得しやすかっただろう。(著者は、その頃からそう言っていたんだろうけど、チャンちゃんはそれを知らなかった)
 トップ集団を形成していた4人のうち、アメリカが抜け、フランスが抜け、いまドイツがトップの日本からずるずると後れを取り始めているわけです。
 こうした展開は、オバマ大統領がリーマン・ショックからの経済回復のために莫大な経済対策を行うと発表した段階から、かなりはっきりと予想することができたことです。投資銀行やヘッジファンドは、そのシナリオに沿って、巨額の円買いに走りました。彼らはしかたなく買っていたのではなく、こぞって円を買い、勝ち馬の乗ろうとしていたのです。(p.161)

 

 

【日本経済の発展を阻む「長期貸付の仕組み喪失」】
 1990年代後半に日債銀、長銀が破綻し、金融再編の中で日本興業銀行も姿を消してしまいました。代わりに、通常の銀行が長期社債の発行を認められ、長期資金の供給元という建前が作られましたが、実際はBIS規制でがんじがらめになっており、供給どころかいまだに貸しはがしはつづいています・・(中略)・・・これもユーロッパ銀行家の日本つぶしの一環だったのではないかと疑いますが、こうした長期貸付の仕組みが失われ、日本の民間活力はすっかり奪われてしまったわけです。(p.109)
 なるほど~~~。破綻した長銀をリップルウッドに安値で売却したのは、そこに絡む黒い政治家たちの隠しガネを隠蔽するため、というような舞台裏事情ばかりおもしろがって読んでいたけど、日本経済にとって根本的に問題なのは、著者が書いていることだろう。
      《参照》  『いやな時代こそ想像力を』  佐高信・高村薫  岩波ブックレット

               【拓銀と長銀の違い】

 

 

【社会保障の国民負担率】
 社会保障の議論のさいのお決まりは、日本の国民負担率は低いという主張でしょう。・・・(中略)・・・。
じつは、日本の国民負担率が高いことは、内閣府がスウェーデンとの比較において認めています。(p.123)
 つまり、内閣府は、日本がスウェーデンよりも高負担、低給付であると認めているということです。(p.124)
 へえ~~、知らんかった。
 イギリス、ドイツ、フランスもスウェーデンより負担率は高いけれど、一番高いのが日本!
 それでまだ増税と言っているんだから、日本が失速するわけである。

 

 

【官僚利権】
 高度経済成長が終わると、いつの間にか官僚は自分たちの利権を守ることばかり考えるようになりました。気がついてみると、日本はほころびだらけになっています。
「日本の官僚システムは、崩壊前の旧ソ連よりもひどい」
 日本の経済社会をがんじがらめにしている官僚利権の問題が顕在化したのは、1990年代後半になってからのことです。国会では、民主党の石井紘基議員が追及の狼煙をあげました。
 ところが、彼は、特別会計の問題を調査し、それを国会で追及する直前に、自宅玄関前で刺し殺されてしまいます。彼の特別会計に関する資料の入ったカバンは、そのときに紛失したと家族が話していました。(p.127-128)
 チャンちゃんも暇人だから、山梨県甲斐市の地方行政をケース事例に、情報公開を活用しているけれど、こっちが知りたいことを文章で提出したって、市側が正直に全部情報開示することなどまずない。尻尾を捕まえて「出せ」と言わなければ平気で隠しているのである。本気で追求したら石井紘基議員みたいにされちゃうんだろう。だからこうしてブログに書いておいたって、チャンちゃんが殺されても警察なんて官僚側だから決してきちんとした捜査なんかしないのである。
 大丈夫、そこまでしないよ。こっちは社会勉強としての「知りたがり趣味」の範囲だからね。
 一事が万事ですが、財政再建のためには、特別会計の内容を精査し、それを改めなければなりません。
 これを放置して増税をしても、増収分は財政赤字の解消に使われるはずはなく、官僚が好き勝手に使う金を増やすだけのことでしょう。彼らはいずれ「やはりさらに増税しなくてはやっていけない」と騒ぎ始めるに決まっています。財政再建には特別会計という非常に深いアンタッチャブルの闇が広がっているというわけです。(p.134)

 官僚というのは、国民の不満や国家的危機を食(は)んで、つねに焼け太りしようとする生き物だととらえなくてはならないでしょう。(p.215-216)
    《参照》   『霞が関埋蔵金男が明かす「お国の経済」』 高橋洋一 (文芸春秋)

              【一般会計と特別会計】 【埋蔵金の発覚】

 

 

【国力判定因子】
 私は、国力を測るもっとも根本的なものは、識字率だと考えています。・・・(中略)・・・。日本ほど識字率の高い国はありません。・・・(中略)・・・日本では文字文化が盛んで、ぜんぜん勉強してこなかった女子高校生でも、携帯電話でメールのやりとりをしています。・・・(中略)・・・
 これがアメリカやヨーロッパとなると、字が読めない人はごくふつうに、たくさんいます。・・・(中略)・・・。アメリカでも、相手が普通にしゃべっているから字くらいは読めるだろうと思っていると、「いや、私は、新聞は読めないんだ」という人にけっこう多く出会います。(p.164-165)
 日本の文字文化発達度が世界一であるということは、下記のリンクからも窺えるだろう。
      《参照》  『中国経済がダメになる理由』 石平・三橋貴明 (PHP)

               【ブログ投稿における使用言語ランキング】

 しかし、もう2年位前になるだろうか、テレビで見ていたんだけど、簡単な漢字の読み方も意味も分からないホストのお兄ちゃんたちがいっぱい出でていて、その超~~バカぶりに、番組内の参加者も唖然としていた。視聴者もかなり呆れていたはずである。チャンちゃんなんかは、「これだけ語彙力がなかったら、相手との会話ができないし、そもそも相手の心が理解できないはずなのに、どうしてホストができるんだろう」と思ったものです。見た目だけでホストに成れると思っていること自体が実に愚かしい。
    《参照》   『喫茶店で2時間持たない男とはつきあうな!』 齋藤孝・倉田真由美 (集英社)

              【会話が絡まる相手】

 でもまあ、こんな連中がいても、識字率で日本が一番なのは間違いないのである。
 日本の識字率が世界一高いということは、これからも日本の国力は上がり、下がることはないということを端的に表しています。(p.165)

 

 

【円高のチャンスを正しくとらえろ!】
 私は10年、20年もすれば、1ドル30円というすさまじい円高がやってくるのではないかと考えています。そのころには、日本人は円の購買力によって世界に進出し、各国に日本人コミュニティーを形成していることでしょう。
 たとえば、最近、日本政府がインド南部のチェンナイ近郊に日本人町を建設すると発表しました。・・・(中略)・・・これは、その走りともいえる動きです。(p.166)
 チェンナイはインド東岸側のベンガル湾に面した都市。
      《参照》  『若きビジネスマンはインドを目指す』 芝崎芳生 (プレジデント社) 《後編》

               【日本人向きは南部や東部】

私がいま非常に興味深く思うのは、日本がこの歴史的円高のチャンスを正しくとらえ、収奪と自己利益のみを追求しなければ、何かが大きく動く可能性があるという点です。かつて叶えられなかった日本の野望が全く形を変えて、この世に現出するかもしれないということです。日本は、きわめて平和的に、自らの経済圏をアジアに広げていくことでしょう。(p.167)
 これこそが日本が世界の中心となる最善のシナリオだろうけど、これは単なるイメージや夢や希望などではなく、現実の世界に舞い降りつつある日本の姿のはずである。
 これがすんなりと実現するならいいけれど、現実の世界の波はまだ高い。