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 きれいな色のカバーが目に入って、次に著者名に 「あれっ」 と思ってプロフィールを読んだら、間違いなくかつて格闘家だった人である。現在は主に作家として活躍していると書かれている。
 表紙のみならず、中もすべて緑色のグラデーションが施され、文字は左側のページのみである。

 

 

【元気】
 前書きは、以下ような書き出しで始まっている。
 僕は中学生のころから10年間ほど、ある本を活用していた。
 それは古代中国の 「易経」 という知識を簡略化した本である。 (p.3)
 これを読んで、著者の “元気” という名前について思うことがあった。この名前は、芸名ではなく本名らしい。であるならば、命名に係わったであろう御両親が、「易経」 の本を著者の身近に置いておいたのではなかろうか。
 「易経」 とは、北極神界にある “先天の気泡” が地上に降ろされた智慧の結集であり、その “先天の気泡” こそが “元(モト)の気” であり ”元気” の語源であるということを、神道を学ぶ過程で習ったことがある。そもそも、神道に関して基本的な事を知っている人々ならば、 “すどうげんき” という言霊にドキッとするはずである。
 「格闘家ならば、腕っ節ばかりで頭は空っぽなのだろう」 などと思ってもらっては困る。文武両道を成しとげている “名に違わぬ” 冴えた青年である。この著作、どれも簡潔で良質な智慧を含んだ記述に充ちている。

 

 

【 “ただいま” に生きる】
 あなたは今という瞬間に喜びを感じているだろうか。
 もしそうでないとすれば、あなたは1年先、10年先をあれこれ考えて、不安の先取りをしているかもしれない。すべての未来は今という瞬間に内包された 「苗」 であり、今という瞬間が豊かでなければ当然ながら未来は色あせて、あなたの生きるパワーを削いでしまうに決まっている。
 喜びに満ちた未来を望むなら、今という未来の苗床を豊かで活力に満ちたものにするべきだ。僕らは、過去も未来も生きられないはず。喜びに充ちあふれて毎瞬毎秒という 「今」 を過ごすあなたは美しくなる。(p.23)
 “中今の思想(唯今の思想)” ってこういうことである。
   《参照》   『どこまでも強運』  深見東州  たちばな出版
            【神道の風土】

 

 

【パレートの法則】
 イタリアの経済学者パレートが提唱した20:80の法則というものがある。全体の利益の80%が、20%の商品あるいは顧客から生み出されるというものだ。人生にも同じようなパターンがある。
 地域や学校や企業などでも、20%の人が積極的に活動して方向性を決め、残りの80%の人は傍観者となる。あなたはどちらだろうか。
 もしあなたが80%の傍観者の側に立っているとしたら、きっと自分の人生についても決定権を手放しているに違いない。あなたの人生はあなたが主役なのだから、結果がどうであれ今この瞬間からベストを尽くそうではないか。(p.121)
 ビジネス書の中で、パレートの法則を用いた解釈に頻繁に出くわしていても、この法則を自分自身の生き方の指標とする記述に、ちょっと意外というか新鮮な感じがする人々は少なくないことだろう。
 この記述は、“中庸の思想” を踏まえているといえるだろう。
   《参照》   『アイデアのつくり方』  ジェームズ・W・ヤング 阪急コミュニケーションズ
            【 「パレートの法則」 と 「中庸」 】

 

<了>