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 「辰」 は、十二支の中では唯一想像上の動物であるから、やや特殊である。日本では、古来 「辰」 と言ってきたけれど、東洋的な表現で言えば 「龍」 である。
 著者は、十二支のそれぞれについて1冊ずつの本を著している。

 

 

【東洋と西洋、そして日本】
 東洋と西洋では、飛ぶということに対するイメージが違っている。東洋では、飛ぶことに必ずしも羽は必要ないのである。
 羽がなければ飛べないというのが西洋人の常識である。東洋人は羽はなくても飛ぶものは飛ぶ。だから天馬にも羽はついていない。聖徳太子の黒駒にも、羽はついていない。ところがペガサスには羽がついている。
 ペガサスとドラゴンと天使の三つを、天馬と龍と天女、この3つに対照してみると面白い。すべて羽がついているかついていないかで判別できる。
 さらに、東洋で神聖な霊獣として君臨する龍も、西洋では邪悪な怪物とされる。これはキリスト教の 「古き蛇」 という 「赤い龍」 がいるからなのである。・・・(中略)・・・。 (p.34)
 さて、日本に戻ろう。
 ヨーロッパではいざ知らず、日本では、龍すなわち辰歳生まれは生まれながらにして神に仕える身。神の声が一番聴ける人間である。表の神も、裏の神も理解できる立場にある。清濁併せ呑み、自信を持って生きていこう。 (p.35)
 丑歳生まれの著者が、辰歳生まれの人々のためにエールを送っている。
 東洋で最も先に西洋化を成し遂げた日本は、破綻して行く両極(東洋と西洋)を、「和力」 と 「技術力」 で仲介し、「世界の平和」 を実現する 「辰」 としての役割があるのだろう。

 

 

【龍神信仰は大和が源流】
 松下グループの松下幸之助さんなど、企業家たちが持っていた龍神信仰を紹介した後、以下の様に書いている。
 それでは、このように現代の大企業家たちが篤く信仰する 「龍神信仰」 はいかにして発祥したのか。ここからはそれを見ていく。中国あたりの思想家と思ったら、大間違い。龍神信仰こそ、日本生まれの強力なパワーを持った大和の信仰なのである。 (p.132)
 中国の皇帝は 「龍」 を象徴として衣類に縫い込んだりしているけれど、日本の天皇は 「龍」 など身につけない。そんな衣類を身につけるのは、せいぜい在日朝鮮系のヤーさん程度である。(因みに、日本のヤクザの5割は在日朝鮮系の方々である。在日朝鮮人は、なかなか日本企業には就職できないのだから、それは必然だろう)
 そもそも日本列島自体が龍体を現しているのだけれど、国土の形状を動物に例えるなら、中国は鶏、南北朝鮮半島は虎と言いたがっているけれど、どうみても兎である。
 日本の 「辰」 は、言霊で考えると分かりやすい。自然現象的に 「たつ」 を考えたほうが良いのではないだろうか。「たつ」 は、立つ、建つ、絶つ、裁つ、断つ などの働きの表象と考えることができる。「剣(つるぎ)」=「太刀」 の働きに重なる。
      《参照》  日本文化講座⑨ 【 日本神道と剣 】
 神権の働きとしての 「剣」=「太刀」。 自然力の働きとしての 「辰」 なのだろうか。
 

【龍神宿る良き水】
 龍神とは切っても切れない関係にある水は、とても重要である。
 甲斐駒ケ岳のふもとの道場で、毎月剣道に汗を流す当家一族は、白州の水の偉大な神秘の力を知っている。
 この素晴しい水で、ウイスキーをつくった会社がある。サントリーである。いい水がなければいい酒はできない。サントリーの 「山崎」 は、京都の名水山崎の水で誕生する。甲斐駒の水で生み出されたウイスキーは、「白州」である。このウイスキーのマザーウォーターを、天然水として世に出した。
 世界中を牛耳る 「エビアン」 を超えた、白龍の偉大なる神秘の力を宿したよき水を生み出したのである。(p.188)
 山梨県の白州から産出される水が、国内シェア、ナンバー1の 「南アルプスの天然水」。
 著者はサントリーのスポンサーをするつもりでこれを書いているのではないだろう。聖徳太子以来の伝統を守り、文武百般を継承する大和古流の当主なのだから、聖徳太子の黒駒に縁ある土地として甲斐駒ケ岳のふもとに道場があるということなのだろう。
 山紫水明の地、日本。環境汚染で日本の水の中にも汚れてしまった所が在るけれど、それでも日本ほど清らかな水が流れる国は、世界の中に他にない。 
 
<了>