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 長谷川さんは防衛庁の教官をしているらしい方なので、経済のみをメイン・フィールドとしている人々とは、やや異なる視点で世界を見ている。過去に、世界の大きな流れを予測することに関して、当ったことも外れたこともあるかれど、いずれにせよ、経済のみの評論家では決して語れない世界中の客観的な事実を数多く教えてくれる。
 軍事経済的な視点はもちろん、国境地域の人の動向を語ることで、世界がどうなっていて、その原因が何なのかを教えてくれる。特定企業に所属する経済アナリストや特定企業そのものであるマスコミなら、封じ込めこそすれ決して表に表さない(表せない)ことがテンコモリ記述されている。

「日本チャチャチャ」の応援団長好みのヘッドラインが多くある。(p.130~p.136)
① 2006年、ついにトヨタはGMを抜いて世界一になる。
② 日本の自動車は21世紀の基調にしかりと乗ることができた。
③ 新生イラク国家が発電所を再開するとなったら三菱に引き受けてもらうしかない。
④ 鉄の分野でも日本の製鉄メーカーの世界一の座はゆるがない。
⑤ 日本の高度な工業力抜きには世界経済の未来は無い。
⑥ 普遍的な製品の生産は発展途上国に移転させる。その循環が世界を豊かにする。

【日本の国力を支えているのは、ITやアニメなどではなく工業力である】
 昨今はITやアニメなどばかりがメディア露出の前面にでているので、一般の人々は工業力など殆ど興味の対象にはなっていないのでしょうが、いまだ日本の国力を支えているのは、ITやアニメなどではなく圧倒的に工業力なのです。

【日本の工業力はダントツである】
 トヨタの自動車はアメリカ市場のみならず、環境問題に敏感な西欧で圧倒的なシェアを占めることでしょう。一般人の知らない工業用発電の世界で、日本の三菱重工など重電メーカーの品質、つまり熱効率の高さは、世界中で圧倒的に他の追随を許しません。新日鉄の製鉄技術は数十年前から、韓国の浦項(現:ボスコ)や中国の宝山などに提供され、それぞれ国家建設の基幹企業となっているのですが、両国の製鉄所がスケールメリットゆえに生産量で世界一にはなれても、今日、中韓いずれの技術力も新日鉄には遠く及びません。
 トヨタの自動車を作る高品質な鉄板は新日鉄にしか作れないのです。日本の最高品質技術は、他国企業との技術提携ではできないものが殆どです。AクラスにBクラスが1つでも入るとBクラスになってしまうからです。
 チャンちゃんは、いつも思うのですが、日本人の技術者の皆さんは本当に尊敬に値します。

【日本の工業力が世界を救う】
 自動車であれ、発電であれ、製鉄であれ、その他なんであれ、日本企業は、より良いものを目指し、絶えず革新を続けてきたのです。「世界を相手に企業競争に勝ったというよりは、人が歓ぶ物を作っていたら、地球にとって一番望ましいものを作れる最高水準の工業力になってしまった」ということだと思います。
 日本人は職人気質であるとよく言われていますが、日本人技術者の心の中には、「人に喜んで欲しい」とか「中途半端なものは作りたくない」という思いが常にあったと思うのです。神国・日本の国民は、自覚せずとも最初から「神心(かみごころ)」を分有していたのかもしれません。

【日本企業は進出先の国々を再生する】
 私は、衰退したアメリカの工業力を再生したのは日本人の技術力に寄るところが大きいはず、と思っています。間違いないでしょう。
 韓国など、戦後一貫して、多くのことを日本の技術力に依存しながら「反日」を続け、挙句の果てにIMF管理下になり、殆どの企業株式を欧米の資本家に取られてしまいました。傲慢極まりなく礼節を弁えない恥知らずな国家は畢竟そのようになるのです。
 韓国再生の可能性があるとしたら、韓国を搾取する欧米資本となった企業から、日本企業へ経済の主体が移行する場合のみでしょう。日本企業は、アメリカを再生させたように、韓国をも再生させることができるはずです。金大中・前大統領が敷いた可能性の路線を阻んだ盧武鉉・現大統領は、韓国大統領として愚かすぎたのではないでしょうか。

 

<了>

 

  長谷川慶太郎・著の読書記録

     『破綻する中国、繁栄する日本』

     『12億の常識が世界を変える インド』

     『破綻する中国、繁栄する日本』

     『アジアの行方』

     『メガ・グループの崩壊』

     『反「デフレ不況」論』

     『アジアが日本に屈する日』

     『情報王』

     『日本と世界の大潮流』

     『中国「反日」の末路』

     『大展開する日本2006』