音盤ながし -31ページ目

ボブ・ディランのテーマ・タイム・ラジオ・アワー〜シーズン3

 もうじき12月、この時期になると、お日様さえでていれば、なにか雪降り前にやっておくことはないか考える。今日も地下倉庫入り口シャッターの雪囲いをした。冬場はここに野菜を確保しておく、天然の冷蔵庫なんだよね。あとは消雪ホースの設置だけど、これはまだ早いかもしれない。なんて、雪が降れば慌てるんだけど(笑)

●『THEME TIME RADIO HOUR - SEASON 3, WITH YOUR HOST BOB DYLAN』


 ボブ・ディランがホストを務めたラジオ番組『テーマ・タイム・ラジオ・アワー』の公式コンピュレーションもこれで第三作目。こんなに続くとは思ってなかったからびっくり嬉しい。渋めというか地味目な選曲だったシーズン1に比べてこちらは実に豪華。ボビー・ブランドに始まりテキサス・ワンダラーズ~ジェシ・ウインチェスター~ジミー・ランスフォード~デイヴ・バーソロミュー~エルヴィス・プレスリー~ビリー・バトラー....と7曲までに、すでにブルース、ウエスタン・スウィング、ロック、ニューオリンズR&B、ロカビリー、R&B...とアメリカン・ミュージックの見本市のように様々な音楽をこの2CDで楽しむことができる。さらに、レゲエのトゥーツ&ザ・メイタルズ、カリプソのマイティ・スパロウ、そしてアルゼンチンのギタリストでジャンゴと腕を競い合ったオスカー・アレマンなど、アメリカ以外の音楽も選曲され、ディランの懐の深さが知れる。知らない曲もたくさんあるし、丁寧な解説つきなので楽しく勉強させていただける(笑)ってことでもう拍手喝采な音盤なのだ。全50曲とけっこうなボリュームなので、急がずじっくり聴き続けたいね。
ボブ・ディランのテーマ・タイム・ラジオ・アワー~シーズン3/エルヴィス・プレスリー;エルヴィス・コステロ;イアン・デューリー;アニー・ロス;マレーネ・デー...
¥4,620
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スタッフ・ベンダ・ビリリ『屈強のコンゴ魂』/花村萬月『ウエストサイドソウル』

 花村萬月『ウエストサイドソウル』読了。なんかコバルト文庫だったなって感想。花村ファンとして、そしてあの傑作ブルース小説『ブルース』を書いた萬月のブルース小説だってのでもの凄く期待したのに、期待のしすぎで肩透かしって感じ。面白かったんだけど、俺の期待が大きすぎた、、、。主人公の少年が天才過ぎで、仲間が金持ち過ぎ、ようするに出来過ぎた話で、最後には読みながらシラケてきた。少年のあっけらかんとした理屈っぽさも、しだいに鼻についてきたし。あ~~~残念。

●STAFF BENDA BILILI 『TRES TRES FORT』

 スタッフ・ベンダ・ビリリ!キンシャサの奇跡!そんな謳い文句もだてじゃないね。この逞しい軽やかさは凄いよ。去年リリースされたアルバムで、人相の悪いおっさん達が改造バイクみたいなのに乗ってるイラストのジャケットが印象的だったけど、その実態はまったく知らなかった。彼等はコンゴ共和国の首都キンシャサのストリート・ミュージシャン、しかも下半身不随というハンディキャップを持ちながら音楽をやっている、まさに邦題どおり『屈強のコンゴ魂』の人達なのだ。
 コンゴと言えば、ザイールの時代からフランコやパパ・ウェムバなどの大スターを輩出したアフリカの音楽王国と呼ばれたところ。ザイーレアン・ルンバ(ルンバ・コンゴレーズと同じ?)というキューバ音楽の影響を強く受けた音楽が大衆音楽として人気のあった国なのだ。そしてこのベンダ・ビリリの音楽にもルンバは現れる。生活に根ざしたルンバって感じだ。そしてジェイムズ・ブラウン。JBもアフリカで絶大な人気がある。本盤の特典映像ってやつを見たら、歌の合いの手にセックス・マシーン♪~
セックス・マシーン♪~がしきりに出てきて可笑しかった。不思議な哀愁を奏でるのは空き缶で作った手製1弦ギター。17才の天才少年(まさに!)の弾くこの音色は素晴らしい。JBと共に人気と影響力があるのがボブ・マーリーで、そのレゲエのリズムとともにメッセージ性もベンダ・ビリリの音楽の重要な要素となっているようだ。彼等のけして楽ではない生活と環境を、より良くしようとポジティブに歌われる歌詞が多い。例えば『ポリオ』という曲、「オレは強い男に生まれたのに、ポリオで身体が不自由になってしまった 今のオレを見てくれ、三輪車にネジで止められているようなものさ 杖なしでは歩けない男になってしまったんだ。......親達よ、頼むから予防接種センターに行ってくれ 赤ちゃんにポリオから守るワクチンを与えてやるんだ」と歌われる。『トンカラ』という曲では「オレはかつてボール紙の上に寝ていたが ツキに恵まれてマットレスを買った 同じ事が起こり得るんだ、お前にも、彼にも、彼等にも...」と歌われる。
 最貧国と言われるコンゴの現実を歌う下半身不随のストリート・ミュージシャン、スタッフ・ベンダ・ビリリのポジティブなパワーは音楽の源を思わせる。
屈強のコンゴ魂/スタッフ・ベンダ・ビリリ
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西方之魂 (100周年書き下ろし)/花村 萬月
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JUNIOR WELLS & THE ACES『LIVE IN BOSTON 1966』

●JUNIOR WELLS & THE ACES『LIVE IN BOSTON 1966』

 ジュニア・ウェルズ、32才のまさに最盛期といえる時代のライブ録音盤が日の目を見た。しかもバックはシカゴ・ブルースの鉄壁トリオ、ジ・エイシズ!素晴らしいリイシューに拍手・拍手。ウェルズは俺が最初に買ったブルース・アルバム『フードゥー・マン・ブルース』のご当人で想い出深い。十代の後半、ブルースに目覚め始めた頃、タイミング良くブルース・レーベル、デルマークが日本発売となり、そのリストで一番評判の良かった『フードゥー...』を買った。輸入盤屋のない田舎の町でも買えたブルース盤だったんだよ。そんなウェルズの、しかも『フードゥー...』を吹き込んだ時期のライブが聴けるんだから嬉しいよね。
『フードゥー...』は相棒ギタリスト、バディ・ガイと共にクールでスタイリッシュなブルースを聴かせてくれたけど、ここではライブということもあり、その演奏は熱気をはらみ凄みを感じさせる。ウェルズの出世作「メッシン・ウイズ・ザ・キッド」のファンクなビートは、シカゴ・ブルースのニュー・ウェイヴって感じでかっこいい!一転、ジミー・ロジャース作の「ザッツ・オーライト」ではダウンホームなスロー・ブルースで沁入る歌と演奏を披露する。ジュニア・ウェルズ(vo,harmonica)、ルイス(g)とデイヴ(b)のマイヤーズ兄弟にドラムスのフレッド・ビロウ。やはり、こいつらホンモノの第一級のブルーズ・マンだ。
ライヴ・イン・ボストン 1966 [英歌詞/語り部分対訳、解説付]/ジュニア・ウェルズ & ジ・エイシズ
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フードゥー・マン・ブルース [初回限定盤]/ジュニア・ウェルズ
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山田風太郎『太陽黒点』/『ギター・ワークショップ vol,1』

 山田風太郎『太陽黒点』読了。山田風太郎の現代小説は初めて読んだかな。忍者モノや明治開化モノは読んでいたし、それで風太郎ファンになったんだけどね。『太陽黒点』は1963年の書き下ろしで、第一級のミステリ長編とあります。ミステリにはミステリだけど、、、なんかね、暗い悪意が底に流れる青春小説って感じかな。戦争で悲惨な青春を送らざる得なかった者が、戦後の明るい太陽族に象徴されるような若者達に向ける陰湿な視線。そして60年代にはまだ一般的に存在した階級意識。そんなものを底流とした小説だから暗く陰惨で、風太郎がこうした小説を書いていたことがちょっと以外だった。たしか劇画や映画でも、こんな感じのストーリーはあったよね。でもこの小説が特異なのは、その犯罪がシミュレーションが目的で、その結果は失敗なら失敗でもよかった、ということ。ミステリというよりは犯罪シミュレーション小説という感じを強く持った。

●大村憲司、渡辺香津美、森園勝敏&山岸潤史
   『GUITAR WORK SHOP vol.1』

 1977年のギター・インスト・アルバムの傑作です。俺はフュージョン嫌いを公言しているけど、これは好き。まだクロスオーバーだから(笑)。80年代に入っても、まだこうゆう演奏してる所謂フュージョンが嫌いなんだよ。つまりは時期の問題。それが新しい試みであるうちは有意義なんだけど、それが当たり前になり、しかもハイテク・ローテンションな演奏になった時点でつまらない音楽に堕ちたと思っている。まあ俺が天の邪鬼だってこともあるけど。フォークだって拓郎の「結婚しようよ」が売れた以降のフォークなんてまったくダメだもんね。ところが「青春のフォーク・懐かしのフォーク」とかは、そんなダメ歌謡フォークばかり。
 ロックを聴いたり、ギターを弾いたりしてきて思うのは、'72~3年頃からロックを取り巻く情報が急に増えてきたこと。スタジオ(セッション)・ミュージシャンの存在も知られるようになり、その使用機材の情報まで知ることができた。新しいサウンドも直ぐに聴けるようになったから、敏感なミュージシャン達は仕事の合間にセッションを繰り広げ、本場の演奏に引けを取らないほどに腕を磨いていった。ここで聴ける演奏は、そうしたクロスオーバー青春期とも言えるもので、だからとても活きが良い。青春期といっても、この4人のギタリストはすでにキャリアを積んだ知名度の高いミュージシャンだ。大村は赤い鳥、渡辺はジャズ、森園は四人囃子、山岸はウエストロード・ブルース・バンドとして知る人ぞ知る存在だった。そんな4人が当時の新しい音楽として取り組んでいたのがロック、ジャズ、ソウルなどによる異種格闘技クロスオーバーだった。バックにも優れたミュジシャンがたくさん参加していて、あの坂本龍一だってクロスオーバーだったのだから。久しぶりで聴いて、あっそうかとびっくりだったのは山下達郎がコーラスで「GROOVIN'」を歌っていたこと。これも見事にハマっている。みんな新しいことに夢中だったんだよね。
太陽黒点 山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)/山田 風太郎
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ギター・ワークショップ Vol.1/渡辺香津美,森園勝敏,山岸潤史 大村憲司
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北重人の絶筆『火の闇』/大橋トリオ『NEWOLD』

 北重人『火の闇~飴売り三左事件帖』読了。これで北の既刊は全て読んだわけだ。そしてここに収録の「火の闇」が彼の絶筆だった。北は去年の8月、61才であの世へ旅立ってしまった。2004年『夏の椿』でデビューだから遅咲きの作家であった。しかし残された作品はどれも艶やかに磨き込まれた文章による素晴らしいものばかりだ。彼は1級建築士であり、都市計画の専門家でもあった。それゆえか、彼の描く江戸の街並みや水路の様子には立体感と臨場感があった。風景の描写も人物の造形も素晴らしかった。そのうえ、忍者ものや剣劇といった活劇シーンもじつに巧かった。つまり、デビュー時にはすでに出来上がっていた成熟した作家だった。全作品を読み終えた今、あらためて冥福をお祈りする。

●大橋トリオ『NEWOLD』

 できたてホヤホヤの新作しかも絵本付き。大橋トリオ、去年ミュージック・マガジンに記事が載っていたので名は知っていたけど、あまり興味も湧かず内容も覚えていないので、彼についての予備知識はゼロ。で、なぜ買って聴いてるかと言えば、浜田真理子が参加しているから。1曲「this is the love」でデュエットしているだけなんだけどね。せっかくの機会だ、新しい人を聴く。大橋トリオといっても3人組ではなく、大橋ヨシノリという人のひとりユニットのようです。歌・作曲・演奏・録音などマルチな才能があるようで、もちろんプロデュースも彼。「ずっと聴いていたい、幸せになる『優しい歌声』」と帯にあるように、良質なBGMにもなりえる洒落た音楽。ロック的なモノを求めてはいけません(笑)でも大人のロックとして現代のAORなのかもね。浜田さん参加の曲はフィーリー・ソウルのような都会的な感じで粋な男女の歌となっているけど、真理子さんの声をもっと前に出して欲しかった。メインで歌わせても良かったと思うけど(浜田ファンだからね)。同じゲスト・シンガーでも手嶌葵の方はくっきり前にでているからね。ゲストと言えば布袋寅泰のギターは流石だね。この色艶の良い音色は凄いよ。フレーズにもセンスが溢れているし、存在として好きなワケじゃないけど、、、参りました。
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