音盤ながし -33ページ目

義父永眠

 10月23日12時20分、義父根津豊一が永の眠りにつきました。肺炎による高熱で、あっという間の旅立ちでした。80歳でした。農業一筋、日に焼けた贅肉のない体付き顔つき、頭にはいつも手拭いを巻き、愛嬌のある顔でじつに旨そうに酒を飲む、そんな愛すべきお義父さんでした。先に逝った父栄一もお酒が大好きなので、ふたりの父が天国で美味しそうに酒を飲み交わす姿が瞼に浮かびます。親は先に逝くものです。それでも寂しくてなりません。合掌

JIVE! SPIRITS OF RHYTHM/THE CATS & THE FIDDLE

●SPIRITS OF RHYTHM『1932-34』
●THE CATS & THE FIDDLE 『Killin' Jive 1939-40』
 『Hep Cat's Swing 1941-46』

 ジャイヴの名バンドザ・スピリッツ・オブ・リズムとザ・キャッツ&ザ・フィドルを楽しむ。ジャイヴってなに?と尋ねられたら、ほらあの30年代のナット・キング・コール・トリオだよ、と答えてみるんだけど、関心のない人は全く知らないよなあ。ウキウキと気分の良い音楽なんだけどね。コーラスとストリング・バンドによるスウィング・ジャズって感じ。" sing-swing " って言葉で表現されたりもするらしい。また演芸(ショー)の臭いもするから、見ても楽しい音楽をやってたんじゃないかな。ストリングス・バンドとして面白いのは、ギターとベースの他、両バンド共ティプレという南米コロンビアの小型10弦ギターが使われている。当時南部のストリングス・バンドによくあったのはバンジョーとフィドルだから、その点ももしかして都会的だったのかもしれない。ジャイヴからは洒落た都会的な音楽って雰囲気も感じられるから。そしてギター好きにはこの名人ふたり、テディ・バンとタイニー・グライムズのスウィンギーなプレイが聴けるってことでも大推薦ですよ。
Spirits of Rhythm 1932-1941/Spirits Of Rhythm
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Killin Jive, 1939-40 - The Complete/Cats & The Fiddle
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Hep Cats Swing, 1941-46 - The Complete/Cats And The Fiddle
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CCRとCSN&Y/平安寿子『おじさんとおばさん』

 身につまされる、おじさんおばさん小説だった。平安寿子『おじさんとおばさん』読了。そこは平さんだからユーモアいっぱいなんだけど、でも身につまされた。俺も五十代だからね。登場人物は小学校の同級生で五十代後半の男女6人。様々な障害を抱えながらも皆さん男女でトキメキあうのだ。これは五十代のトキメキ小説だな。でも渡辺淳一じゃないから、登場する皆さんはごく普通の五十代、うっとりロマンティックなんてことはない。現実はキビシイのだ。そして皆さんは大人なのだ。ラストの『希望』(あの大ヒット曲の)が巧いオチとして歌われる、この落とし方は見事です。

●CREEDENCE CLEARWATER REVIVAL『COSMO'S FACTORY』
●CROSBY,STILLS,NASH & YOUNG『Déjà vu』

 1970年なんだ。やたら長い英語のバンド名をCCR、CSN&Yと略して口にすると、ちょっとロック通になったような感じがしたものだ。CCRの『コスモズ・ファクトリー』は俺のハジレコ、つまり初めて買ったLP盤だった。当時CCRは日本でも人気があって、深夜ラジオでよくその曲を耳にしているうちに好きになった。なんせ、このアルバムからはシングル盤が3枚も出たわけで、レコード会社もイケイケな状態だったんだよね。驚くのは、どの曲も今聴いてもかっこいいんだよね。飾り気が無く、芯の強い(ロックの芯)音楽だから色褪せなかったんだと思う。ジョン・フォガティーの歌声の魅力に負うところが大きいのは当然だけど、なにより曲が粒よりだ。アップテンポの「トラベリン・バンド」「アップ・アラウンド・ザ・ベンド」、軽快な「ルッキング・アウト・マイ・バック・ドア」、そして
胸に沁みるミディアム~スロー「フール・ストップ・ザ・レイン」「光ある限り」。「悲しいうわさ」もいいし「ジャングル越えて」も、、、と後の曲もみんな良いんだよね。飾り気がないと書いたけど、あの沼地から立ち昇るような強烈な
田舎臭さがスワンプ臭としてCCRの魅力だったと気付いたのはすこし後のことだった。

 クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングを知ったのも1970年。ミュージックライフ新年号のポスターが彼等だった。表がレッド・ツェペリンで裏がCSN&Y(裏表なかったかも)。このことからも、彼等は当時期待のロック・グループだったんだなあ。でもこの年のうちに解体したんじゃなかったっけ?そもそも個性の強い4人のシンガー・ソングライターの集合体だったから無理もない。だからこそ、その奇跡の合体の成果『デジャ・ヴ』そして『4ウェイ・ストリート』がロック史に燦然と輝いているんだよね。俺の初CSN&Yは映画『小さな恋のメロディー』のサントラ盤として出たシングル『ティーチ・ユア・チルドレン/キャリー・オン』。この2曲は『デジャ・ヴ』収録曲だった。ジェリー・ガルシアのペダル・スティール・ギターのイントロの乗って素敵なメロディーが溢れ出すナッシュの「ティーチ・ユア...」は名刺代わりとして最高の一発だった。そのうえ「キャリー・オン」!あのオープン・チューニングによるアコギのイントロの強烈なかっこよさ、その後に飛び出す強烈なコーラス。まるごとハーモニーで歌われるロック。「キャリー・オン」のサウンドは、それまで聴いたロックに無い、強烈な新しさを感じさせた。このアルバムには4人それぞれの個性的な名曲が収められていて、それももちろん魅力なんだけど、俺はこの「キャリー・オン」こそ、CSN&Yの総力戦のように感じられ、これこそ一期一会の名曲にふさわしいと思えるのだ。だってその後現在に至るまで、こんな一瞬の強烈な風圧を感じさせる曲には出逢えていないから。
おじさんとおばさん/平 安寿子
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コスモズ・ファクトリー/クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル
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デジャ・ヴ/クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング
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近藤ようこ『逢魔が橋』/向田邦子『男どき女どき』

 すっかり秋だねえ。お隣さんから栗をいただき、配達に行けばそこのお婆ちゃんから薩摩芋をいただき、車庫裏の我が家の胡桃の木からも美味しそうなクルミが落ちてくる。でも秋はおいしい話題だけではない。今夏の猛暑のせいで米の出来はかなり悪いらしく、稲作をしている友人達は一様に諦め顔。米作りを始めて、こんなに悪い年は始めてだ、とも嘆く。、、、、んん。熊も山から下りてきてるしね。

●近藤ようこ『逢魔が橋』
●向田邦子『男どき女どき』

 近藤ようこも漫画王国新潟の出身です。だからって贔屓にしてるわけでもなく、そんなこと知らなかった『仮想恋愛』(青林堂)の頃から好きな漫画家です。
『逢魔が橋』は最新作で舞台は中世日本「...その橋は 静かな山中に 人知れずあった...」と始まります。橋のたもとには橋守がいます。この橋守は、橋を渡ろうとする人々の心の底が見えてしまう人ならぬ者、、、。今や、このヒンヤリと澄んだ物語世界は貴重なものです。近藤ようこの漫画は漫画ならぬ漫画だったりするね。

 向田邦子『男どき女どき』は妻の本棚からしっけい。短編小説にエッセイが加えられている。テレビ・ドラマの人気脚本家としてしか知らず、それも「寺内貫太郎一家」のような見ていて面白いものしか知らなかったので、初めて向田邦子の小説を読んだ時(「思い出トランプ」だったか..)、そのいじわるな視線に驚いた。いじわるはひどいね。人の内面をあばき出す視線かな。そしてその視線の拗ねている感じが可愛いく、ああ向田さんて素敵な人だなと思ってしまう。ホーム・ドラマにヒヤリを持ち込む手腕は、この人の真骨頂だった気がする。
逢魔が橋/近藤 ようこ
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男どき女どき (新潮文庫)/向田 邦子
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NATALIE MERCHANT『TIGERLILY』/10,000 MANIACS...

今年リリースされた新作アルバム『LEAVE YOUR SLEEP』があまりに素晴らしかったので、一気にファンになってしまったナタリー・マーチャント。
●NATALIE MERCHANT『TIGERLILY』
●10,000 MANIACS『IN MY TRIBE』

 情けないことに新作アルバムが初めて聴くナタリー・マーチャントだった。ナイスタイミングというか、パラパラ読み直していたミュージックマガジン増刊『ウッドストック・サウンド』に彼女の『
TIGERLILY』が載っていた。そうか!彼女もベアズヴィル・スタジオでアルバムを録音していたのか、という遅すぎた発見(笑)さっそくamazonから取り寄せた。
 『
TIGERLILY』は'95年作で彼女のファースト・ソロ・アルバム。全曲彼女の作品で、セルフ・プロデュースという意欲作。意欲作といっても鼻息の荒いわけじゃなく、素晴らしく抑制が効いている感じ。ジャケットに写る彼女の強く思い詰めたような目差しが、そのまま音楽となっている、そんな印象を受ける。なんといっても歌声が素晴らしいな。背筋がキリッと伸びた姿勢の良さが歌声に出ている。意志の強さを感じさせながら、けしてキツくなくふくよかで素直な発声だ。シンプルな演奏も彼女の歌声を引き立てている。内省的な曲が多いように思うし、けして明るいアルバムではないけど、素朴な温かさが魅力的だ。

 そんな彼女が在籍していたバンドが10,000 MANIACS。こちらも名前しか知らなかった。'80年代にR.E.M.などと同じくカレッジ・チャートを湧かしたバンドであったそうだ。そう言われたら初期の
R.E.M.にあったザ・バーズの香りが、このアルバムからも感じられる。ヒッピーの時代のフォーク・ロック。そしてここでもナタリー・マーチャントの歌声は魅力的だ。頭の3曲「ホワッツ・ザ・マター」「ヘイ、ジャック・ケルアック」「ライク・ザ・ウェザー」はポップなフックが効いていて一発で好きになった。
 なるほど、聴き漏らしてるグッド・ミュージックの、じつに多いことよ。だから音盤の聴き漁りは止められないんだよね。
Tigerlily (Omr) (Mlps)/Natalie Merchant
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In My Tribe/10,000 Maniacs
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