鈴木慶一とムーンライダース『火の玉ボーイ』/高城 高『函館水上警察』
言い訳をすれば、雪が降り続いたってことだ。しかも大量に。毎日除雪作業に追われた。こんな時はなかなかMacの前で遊んでる時間はなかったのだ。
ようやく昨日今日と晴れてくれ、気持ちも軽くなった。今日は節分で明日は立春だね。もうすこし頑張れば春が来る。
●高城 高『函館水上警察』
高城高が新作を発表していたのにびっくりした。日本ハードボイルド黎明期の作家、過去の作家と思っていたし、またそのかつての小説の素晴らしさと出会ったのが去年ということもあり、この(まさかの)新作の登場は嬉しかった。物語の舞台は明治の港町函館。その港湾を管轄とする函館水上警察の警部五条文也を主人公とした連作短編集。アメリカを放浪した経歴を持ち、日本の武術のみならずフェンシングも得意な五条という主人公が魅力的だ。世界に開かれた港函館とあって、登場人物もロシア人、イギリス人、カナダ人など多彩で、また港ということで荒っぽい連中も多い。事件を絡めたストーリーの面白さもあるが、やはり人物造形の巧さに感心する。山田風太郎の明治物でも思ったことだが、明治の男達の大志と気骨に感じ入ることが多かった。
●鈴木慶一とムーンライダース『火の玉ボーイ』
鈴木慶一による最新リマスタリングだぞよ!(笑) そう謳われれば、すでに何枚か持っていても買わずばなるまい。1976年リリースの想い出深い名盤なんだからね。このアルバムはもともと鈴木慶一のソロ作としてレコーディングされた。だからバックのメンバーはムーンライダース(当時はズでなくてス)だけでなく、細野晴臣・林立夫・佐藤博のティンパンアレイ組、そして徳武弘文・村上律・島村英二・松田幸一のラストショー組、さらに駒沢裕城・矢野誠・矢野顕子・南佳孝・斉藤哲夫などなど、いかにもな人脈が集まって、この時代を超えた傑作を作り上げたわけだ。76年ともなると、ロックの多様化が日本の熱心なファンの耳にも届くようになっていたわけで、DR.ジョンやらヴァン・ダイク・パークスやらリトル・フィート、また英国の10ccやら中期キンクスやら・・・。そんな様々なロックの要素がじつに気分良く注入されて出来上がったのがこの『火の玉ボーイ』なんだよね。二十代前半だったあの頃、ドライブ用に編集したテープに必ず入れていた「あの娘のラブレター」、ひとりの夜の寂しさに沁みた「スカンピン」、おしゃれに背伸びしたい気分へ誘う「午後の貴婦人」、そして俺たちのバンド、サンセットレビューでライブのラストナンバーとしていつも演奏した「髭とルージュとバルコニー」など、ほんと良い曲の揃った音盤なんだよね。売れそうで売れないバンド、ムーンライダーズの原点でもあったわけだ。
ようやく昨日今日と晴れてくれ、気持ちも軽くなった。今日は節分で明日は立春だね。もうすこし頑張れば春が来る。
●高城 高『函館水上警察』
高城高が新作を発表していたのにびっくりした。日本ハードボイルド黎明期の作家、過去の作家と思っていたし、またそのかつての小説の素晴らしさと出会ったのが去年ということもあり、この(まさかの)新作の登場は嬉しかった。物語の舞台は明治の港町函館。その港湾を管轄とする函館水上警察の警部五条文也を主人公とした連作短編集。アメリカを放浪した経歴を持ち、日本の武術のみならずフェンシングも得意な五条という主人公が魅力的だ。世界に開かれた港函館とあって、登場人物もロシア人、イギリス人、カナダ人など多彩で、また港ということで荒っぽい連中も多い。事件を絡めたストーリーの面白さもあるが、やはり人物造形の巧さに感心する。山田風太郎の明治物でも思ったことだが、明治の男達の大志と気骨に感じ入ることが多かった。
●鈴木慶一とムーンライダース『火の玉ボーイ』
鈴木慶一による最新リマスタリングだぞよ!(笑) そう謳われれば、すでに何枚か持っていても買わずばなるまい。1976年リリースの想い出深い名盤なんだからね。このアルバムはもともと鈴木慶一のソロ作としてレコーディングされた。だからバックのメンバーはムーンライダース(当時はズでなくてス)だけでなく、細野晴臣・林立夫・佐藤博のティンパンアレイ組、そして徳武弘文・村上律・島村英二・松田幸一のラストショー組、さらに駒沢裕城・矢野誠・矢野顕子・南佳孝・斉藤哲夫などなど、いかにもな人脈が集まって、この時代を超えた傑作を作り上げたわけだ。76年ともなると、ロックの多様化が日本の熱心なファンの耳にも届くようになっていたわけで、DR.ジョンやらヴァン・ダイク・パークスやらリトル・フィート、また英国の10ccやら中期キンクスやら・・・。そんな様々なロックの要素がじつに気分良く注入されて出来上がったのがこの『火の玉ボーイ』なんだよね。二十代前半だったあの頃、ドライブ用に編集したテープに必ず入れていた「あの娘のラブレター」、ひとりの夜の寂しさに沁みた「スカンピン」、おしゃれに背伸びしたい気分へ誘う「午後の貴婦人」、そして俺たちのバンド、サンセットレビューでライブのラストナンバーとしていつも演奏した「髭とルージュとバルコニー」など、ほんと良い曲の揃った音盤なんだよね。売れそうで売れないバンド、ムーンライダーズの原点でもあったわけだ。
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BOB MARLEY & THE WAILERS『TALKIN' BLUES』
な~んか雪に追われるような毎日でブログまで手が回らない。というかブログの材料となる読書と音盤に向き合う時間が乏しくて。高城高の 『函館水上警察 』を読んでます。も少しで読了。
●BOB MARLEY & THE WAILERS『TALKIN' BLUES』
これは'91年にボブ・マーリー10周忌メモリアル・アルバムとしてリリースされたもの。録音は'73年、初のアメリカ・ツアーの合間の非公開セッションから、それと'75年ライブ音源から「アイ・ショット・ザ・シェリフ」が追加されている。メンバーはボブ・マーリー、ピーター・トッシュ(リズム・ギター、ヴォーカル)、アール・ワイヤー・リンド(kbds)、アシュトン・ファミリーマン・バレット(b)、カールトン・バレット(ds)。ジャマイカのレゲエという音楽が、ローカルな存在から一気に世界中に広がっていく、そのテイクオフする瞬間を切り取ったセッションとして、貴重なアルバムだと思う。世界中の黒人とその音楽に深く影響を与えた歌のメッセージ性によりマーリーはカリスマとなり、バレット兄弟による革命的なリズムは世界中で模倣された。ボブ・マーリ&ウェイラーズの名盤といえば他にも何枚かあるけど、このアルバムの1曲目「トーキン・ブルース」の切々としたマーリーの歌声が耳の奥底へこびりついていて、ふと無性に聴きたくなるアルバムです。
'81年5月、36才で亡くなったボブ・マーリー。えっ!?81年って、そんなに早かったっけ?と今から思うと意外な程、マーリーが活躍した時代は短かった。しかしその存在感の大きさと影響力の大きさゆえ、亡くなった後もマーリーの時代が続いたから、彼の早すぎた死も、無きことのように感じてきたのかもしれない。
●BOB MARLEY & THE WAILERS『TALKIN' BLUES』
これは'91年にボブ・マーリー10周忌メモリアル・アルバムとしてリリースされたもの。録音は'73年、初のアメリカ・ツアーの合間の非公開セッションから、それと'75年ライブ音源から「アイ・ショット・ザ・シェリフ」が追加されている。メンバーはボブ・マーリー、ピーター・トッシュ(リズム・ギター、ヴォーカル)、アール・ワイヤー・リンド(kbds)、アシュトン・ファミリーマン・バレット(b)、カールトン・バレット(ds)。ジャマイカのレゲエという音楽が、ローカルな存在から一気に世界中に広がっていく、そのテイクオフする瞬間を切り取ったセッションとして、貴重なアルバムだと思う。世界中の黒人とその音楽に深く影響を与えた歌のメッセージ性によりマーリーはカリスマとなり、バレット兄弟による革命的なリズムは世界中で模倣された。ボブ・マーリ&ウェイラーズの名盤といえば他にも何枚かあるけど、このアルバムの1曲目「トーキン・ブルース」の切々としたマーリーの歌声が耳の奥底へこびりついていて、ふと無性に聴きたくなるアルバムです。
'81年5月、36才で亡くなったボブ・マーリー。えっ!?81年って、そんなに早かったっけ?と今から思うと意外な程、マーリーが活躍した時代は短かった。しかしその存在感の大きさと影響力の大きさゆえ、亡くなった後もマーリーの時代が続いたから、彼の早すぎた死も、無きことのように感じてきたのかもしれない。
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千賀有花『BE FREE』/山田風太郎『幻燈辻馬車』
もう大雪と言えるね。役場前2.5メートルの積雪となったんじゃないかな。十日町では豪雪対策本部が設置されたようだ。こうも降り続くと我が家の場合、店の前を消雪している井戸水が心配だ。2006年豪雪では井戸水が涸れて、オール人力除雪でヘトヘトだった憶えがある。まったく、もういいかげんに降り止めよ、と天を睨む。
●山田風太郎『幻燈辻馬車』
山田風太郎の明治物は(も)断然面白い。伊藤博文、中江兆民、田山花袋、坪内逍遙、嘉納治五郎、西郷四郎、川上音二郎に貞奴などなど、明治の有名人がたくさん登場して、まるで明治の群像劇よう。そのうえブッ太い人間ドラマがそこにある。巻末の解説の中に風太郎が語った言葉として「史実に無理なく、嘘を書く」「要するに明治時代を、それ以前の時代小説みたいにもうそろそろ自由に扱ってもいいんじゃないかということですな。だからまァ、忍法帖だわね、忍者は出ないけれど。極端に言うと」という発言があり、おおなるほどと合点がいった。面白いわけだよ風太郎!
主人公は元会津藩士干潟干兵衛と三歳の孫娘お雛。二頭の老馬の牽く古びた箱馬車の馭者干兵衛と隣にちょこんと座るお雛。ふたりを乗せた辻馬車は今で言う個人タクシーのように開化の東京を流して回る。流し回る先々で様々な人と出会い事件に遭遇するわけだが、そんな二人を助けるのが、なんと幽霊なんですね。それもふたりの幽霊。この幽霊が隠れた主人公かな。物語に深く関わってくるから。短編連作の形を取りながら、仕舞いまで読んでみると一本筋の通ったミステリの趣もあり、見事な娯楽活劇小説でありました。
●千賀有花『BE FREE』
日本のブルース~ソウル・シーンも、いつのまにかこなれてきてましたね。俺が二十代の頃なら、ブルースやソウルを演奏する人もそれを聴くファンもみなマニアな感じで小さなサークルだった気がします。今では、たとえばヒットチャートの若い女性シンガーが、普通にソウルフルな歌唱でJポップを歌っていますし、若い女の子のブルース・バンドもあるという話です。この千賀有花さんも若い女性シンガーで、ブルースやソウルを本格的に聴かせます。また彼女はシンガー・ソングライターとして日本語の歌をブルージーにまたソウルフルに聴かせてくれます。このアルバムはギターの西野やすしと彼女の歌によるデュオというシンプルなサウンドですが、その軽めなサウンドも心地よく、今風のブラック・ミュージックと言えるのかもですね。次作では是非バンドでの彼女の歌を聴いてみたいものです。
●山田風太郎『幻燈辻馬車』
山田風太郎の明治物は(も)断然面白い。伊藤博文、中江兆民、田山花袋、坪内逍遙、嘉納治五郎、西郷四郎、川上音二郎に貞奴などなど、明治の有名人がたくさん登場して、まるで明治の群像劇よう。そのうえブッ太い人間ドラマがそこにある。巻末の解説の中に風太郎が語った言葉として「史実に無理なく、嘘を書く」「要するに明治時代を、それ以前の時代小説みたいにもうそろそろ自由に扱ってもいいんじゃないかということですな。だからまァ、忍法帖だわね、忍者は出ないけれど。極端に言うと」という発言があり、おおなるほどと合点がいった。面白いわけだよ風太郎!
主人公は元会津藩士干潟干兵衛と三歳の孫娘お雛。二頭の老馬の牽く古びた箱馬車の馭者干兵衛と隣にちょこんと座るお雛。ふたりを乗せた辻馬車は今で言う個人タクシーのように開化の東京を流して回る。流し回る先々で様々な人と出会い事件に遭遇するわけだが、そんな二人を助けるのが、なんと幽霊なんですね。それもふたりの幽霊。この幽霊が隠れた主人公かな。物語に深く関わってくるから。短編連作の形を取りながら、仕舞いまで読んでみると一本筋の通ったミステリの趣もあり、見事な娯楽活劇小説でありました。
●千賀有花『BE FREE』
日本のブルース~ソウル・シーンも、いつのまにかこなれてきてましたね。俺が二十代の頃なら、ブルースやソウルを演奏する人もそれを聴くファンもみなマニアな感じで小さなサークルだった気がします。今では、たとえばヒットチャートの若い女性シンガーが、普通にソウルフルな歌唱でJポップを歌っていますし、若い女の子のブルース・バンドもあるという話です。この千賀有花さんも若い女性シンガーで、ブルースやソウルを本格的に聴かせます。また彼女はシンガー・ソングライターとして日本語の歌をブルージーにまたソウルフルに聴かせてくれます。このアルバムはギターの西野やすしと彼女の歌によるデュオというシンプルなサウンドですが、その軽めなサウンドも心地よく、今風のブラック・ミュージックと言えるのかもですね。次作では是非バンドでの彼女の歌を聴いてみたいものです。
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ジョージ・ベンソン『It's Uptown』
喜びも悲しみも雪しだい(笑)大雪と予報されながらあまり降らないと、やっほ~もうかった~と喜び、やまずに降り続く雪を眺めては、やれやれまたタダ働きの雪カキだと悲しくなる。まったく雪国の生活は雪に振り回される。
只今、山田風太郎『幻燈辻馬車 上巻』読み終えて下巻ちゅう。
●GEORGE BENSON QUARTET『It's Uptown』
ブリージンより10年前、'66年のジョージ・ベンソン。颯爽と精悍でかっこいいよ。バリトン・サックスとオルガン、それにベースレスでドラムのカルテット。ソウルフルでグルーヴィーなジャズですね。僕が最初に聴いたベンソンも、ジャック・マクダフのオルガンをバックにした演奏だったから、オルガンを入れたソウル寄りのジャズってのが彼の十八番だったのかな。歌もすでに歌っているし、当時からシンガーでもあったわけですね。ロニー・スミス(リストン・スミスじゃないよw)のオルガンがファンキーで黒い。オルガンってゴスペルっぽさも感じられるから、そのへんが黒さの源かなと思ったり。ロニー・キューバーのバリトン・サックスも溌剌としていて良い感じ。スタイリッシュなジャズなんだけど、ベンソンのギターの音が、割れる程太くワイルドな瞬間もあり、ジャケット写真の痩せたベンソンからの印象もあって、野生のかっこよさも感じられて、このジョージ・ベンソンは良いですね。
只今、山田風太郎『幻燈辻馬車 上巻』読み終えて下巻ちゅう。
●GEORGE BENSON QUARTET『It's Uptown』
ブリージンより10年前、'66年のジョージ・ベンソン。颯爽と精悍でかっこいいよ。バリトン・サックスとオルガン、それにベースレスでドラムのカルテット。ソウルフルでグルーヴィーなジャズですね。僕が最初に聴いたベンソンも、ジャック・マクダフのオルガンをバックにした演奏だったから、オルガンを入れたソウル寄りのジャズってのが彼の十八番だったのかな。歌もすでに歌っているし、当時からシンガーでもあったわけですね。ロニー・スミス(リストン・スミスじゃないよw)のオルガンがファンキーで黒い。オルガンってゴスペルっぽさも感じられるから、そのへんが黒さの源かなと思ったり。ロニー・キューバーのバリトン・サックスも溌剌としていて良い感じ。スタイリッシュなジャズなんだけど、ベンソンのギターの音が、割れる程太くワイルドな瞬間もあり、ジャケット写真の痩せたベンソンからの印象もあって、野生のかっこよさも感じられて、このジョージ・ベンソンは良いですね。
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