千賀有花『BE FREE』/山田風太郎『幻燈辻馬車』 | 音盤ながし

千賀有花『BE FREE』/山田風太郎『幻燈辻馬車』

 もう大雪と言えるね。役場前2.5メートルの積雪となったんじゃないかな。十日町では豪雪対策本部が設置されたようだ。こうも降り続くと我が家の場合、店の前を消雪している井戸水が心配だ。2006年豪雪では井戸水が涸れて、オール人力除雪でヘトヘトだった憶えがある。まったく、もういいかげんに降り止めよ、と天を睨む。

●山田風太郎『幻燈辻馬車』

 山田風太郎の明治物は(も)断然面白い。伊藤博文、中江兆民、田山花袋、坪内逍遙、嘉納治五郎、西郷四郎、川上音二郎に貞奴などなど、明治の有名人がたくさん登場して、まるで明治の群像劇よう。そのうえブッ太い人間ドラマがそこにある。巻末の解説の中に風太郎が語った言葉として「史実に無理なく、嘘を書く」「要するに明治時代を、それ以前の時代小説みたいにもうそろそろ自由に扱ってもいいんじゃないかということですな。だからまァ、忍法帖だわね、忍者は出ないけれど。極端に言うと」という発言があり、おおなるほどと合点がいった。面白いわけだよ風太郎!
 主人公は元会津藩士干潟干兵衛と三歳の孫娘お雛。二頭の老馬の牽く古びた箱馬車の馭者
干兵衛と隣にちょこんと座るお雛。ふたりを乗せた辻馬車は今で言う個人タクシーのように開化の東京を流して回る。流し回る先々で様々な人と出会い事件に遭遇するわけだが、そんな二人を助けるのが、なんと幽霊なんですね。それもふたりの幽霊。この幽霊が隠れた主人公かな。物語に深く関わってくるから。短編連作の形を取りながら、仕舞いまで読んでみると一本筋の通ったミステリの趣もあり、見事な娯楽活劇小説でありました。

●千賀有花『BE FREE』
 日本のブルース~ソウル・シーンも、いつのまにかこなれてきてましたね。俺が二十代の頃なら、ブルースやソウルを演奏する人もそれを聴くファンもみなマニアな感じで小さなサークルだった気がします。今では、たとえばヒットチャートの若い女性シンガーが、普通にソウルフルな歌唱でJポップを歌っていますし、若い女の子のブルース・バンドもあるという話です。この千賀有花さんも若い女性シンガーで、ブルースやソウルを本格的に聴かせます。また彼女はシンガー・ソングライターとして日本語の歌をブルージーにまたソウルフルに聴かせてくれます。このアルバムはギターの西野やすしと彼女の歌によるデュオというシンプルなサウンドですが、その軽めなサウンドも心地よく、今風のブラック・ミュージックと言えるのかもですね。次作では是非バンドでの彼女の歌を聴いてみたいものです。
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