ラスト5分!
天野次長のスピーチは、そのまま淀みなく続く。
英語が分からなくても、話の構成や身振り、聴衆の反応から伝わってくる。
彼女の言葉が、刺さっているのがわかった。
観衆が、彼女のスピーチに引き込まれているのを、俺ははっきりと感じた。
ふと、自分の腕時計を見て驚いた。もう、あと5分に差しかかっている。
そんなに時間が経っているとは到底思えない、迫力のスピーチだ。
やがて、講演もクライマックスに差し掛かる。持ち時間、残り5分。
そして――
「最後に私はもう一度、皆さんに訴えたい。
女性が逃げ出す地方は消滅する。
つまり、東京一極集中こそが、日本を滅ぼすのです」

力強く、明快な結びの言葉。
その瞬間を待ち構えていたかのように、天野次長は頭を下げた。
"Thank you for your kind attention."
「ご清聴、ありがとうございました」
ピタリ55分。
間を置くことなく、ホールに大きな拍手が響き渡った。
それはやがて、外国人聴衆の中からスタンディングオベーションへと波及していく。
感情が、言葉の壁を超えて伝わった。――そんな場面だった。
「非常に良かったですね」
千﨑部長が静かに言う。
「……そうですね」
俺も、心の底からそう思った。
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